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57.ジェイバーの選択②

「俺は…  もし、もしもお嬢様がお許し下さるなら、お嬢様の護衛を続けさせて頂きたいです…!

自分は、護衛任務を引き受けたにも拘わらず、誠実に職務にあたらず怠慢に過ごしていました。

こんな自分はお嬢様の護衛にふさわしくないと、辞するべきだと分かっております。

それでも!

お嬢様がもしも私にやり直す機会を下さった時は、今度こそ誠心誠意、お嬢様をお守りすることを誓います!!」



ジェイバーはリリーの前に跪き、震える声でそう述べた。



「いえいえジェイバー、貴方はよく務めてくれていましたよ!誠実じゃないなど、思ったことはありません。

ただ、貴方のような有能な騎士が、私のような子供の護衛に就くのは、人材の損失というか無駄遣いというか、とにかく勿体ないと思うのです」


慌ててリリーは言った。



「いいえ!!私はこの度、自分の見識の低さ、狭量さに初めて気づかされました。 気づかせて下さったリリーお嬢様は、間違いなく私の主君です。 どうか、私に一度だけ慈悲を頂けないでしょうか…!」



最後の方はもはや懇願だった。



うーん… なんでこうなったんだろ…

困ったな。

私はまだまだ鍛えるつもりだから、絶対護衛騎士とかいらなくなると思うのよねー。

何て言って断ろう…



リリーがちらりとジェイバーを見ると、あんなに屈強頑丈なジェイバーが、チワワの瞳でこちらを見上げていた。



うっ…



「はぁ…。分かりました。

でも、砦の兵団に戻りたくなったら、絶対私に遠慮せずに言って下さいね。お父様は私が説得しますから。」



リリーは目をつぶってそう言うしかなかった。



「あ、、ありがとうございます!!!」


ジェイバーは歓喜の声をあげ、これまで仮面のような表情だったのに、サッと頬に朱が刺し、キラキラとした瞳でリリーをまっすぐ見つめていた。



あれ? ジェイバーって、こんな感じの人だっけ…?



ディアマン家に、また盲目的なリリー推し強火担が生まれた瞬間だった。




※※※※※※※※※※※※



ただただただっ タッタ


トンッ(手)


タンッ(足)

 

トンッ(手)


タンッ(足)


トンッ(手)


ダンッッ(足)



くるくるストン!



「おぉおぉぉ〜〜〜〜〜!!」



あれからアシュトンとジェイバーが床技を少し見せて欲しいというので、前方倒立回転+前宙1/2ひねりを見せてみたら、えらく喜ばれた。



「すごくカッコいいですね!!どうやってするんですか!?」

ジェイバーは興味津々だ。



「え? えっとね、まずこうするでしょ」

リリーは両手をバンザイした。


「そして、こうするでしょ」

足の前の床に両手をついた。


「そして、床を蹴って…」

片足ずつ床を蹴って逆立ちを通り越し、そのまま弓なりに身体をのけぞらせ、足を手の前に着かせる。


「そして、起き上がる」

ブリッジの姿勢からお腹に力を入れ、手で床を押して身体を起こす。


「ただ、これを繰り返すだけ、よ」



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」



みんな、そんなこと言われてもできるわけがないという顔をしていた。

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