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41.初めてのお茶会①

「ねぇ、聞いた? 今日ディアマン公爵家のリリー様が来られるんですって」

「えぇ!? リリー様って病弱で、一度も社交界に出られていない方でしょう?」

「ええそうよ、きっと青白くて枯れ木のような姿なんじゃないかしら」

「でもリリー様って、アルジェント王子様の婚約者なのでしょう?」

「それはディアマン公爵様が先の戦争の報酬に無理矢理お願いしたことだから、ただの政略婚約よ。お可哀想な王子様…」

「しっ 静かに! マルグリット伯爵夫人に聞かれたら大変よ。夫人、リリー様のことをベタ褒めなんだから。」

「そりゃ、自分が家庭教師に呼ばれている家の子は優秀って言いたいわよね。でも絶対、言う程たいしたことないのよ。」



クスクスと令嬢の噂話は絶えない。



基本的に貴族の子女は、最初は母について回り色んな家のお茶会に参加する。

その中で、付き合う家や立ち居振る舞いを実践的に学ぶのだ。

だがリリーは母を早くに亡くしているのと身体が弱すぎて全然無理だったので、これまで一度も参加したことがない。

正真正銘、これが初めての社交界デビューだ。






マルグリット伯爵夫人のお茶会は、招待状を貰った翌週だった。


私は朝から身体じゅうを磨き上げられ、髪は下ろしていたが、薔薇の香りの香油をなじませてふわふわに揺れている。

髪飾りが無いのも寂しいので、耳の上に王子様に買ってもらった白に銀糸のステッチが入ったリボンをつけてもらった。

ドレスはいつか着なかった、花びらで作ったような可憐なピンクのドレスを着せられ、胸元には真珠と公爵家の象徴であるダイヤモンドで作られたネックレスをつけた。



全身がキラキラと光ってみえる美しさに、使用人一同が言葉を失った。



「お嬢様、お綺麗ですわ…!お茶会参加者の、誰より美しいに決まってます」

「ドレスはお似合いですね。」

「もう、お姫様を地で行かれてます…!」

「お茶会ではお嬢様の話題で独占間違い無しですな」

「やっぱりリリー様はお嬢様だったのですね」

最後の感想はマリーだ。



「お嬢様、行ってらっしゃいませ」


みんなに見送られて、ジェイバーのエスコートで馬車に乗った。

伯爵夫人邸はわりと近いらしい。

私は緊張と不安で震えていた。



か… 帰りたい…


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