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病弱な令嬢に転生した体育会系女子は、今世でも鍛えたい  作者: 雪熊猫
最終章✜クルール王国 王城篇
302/325

302.スピネル男爵家④

「姉さん、と、仰いますと…?」


思わずリリーが聞き返す。

ネーロ氏はリリーを見つめては涙が止まらない様子で、なかなか会話にならない。


落ち着くのをしばらく待つと、だんだん涙も止まってきたようだ。



「ごめんね、いきなり泣き出して」


「い、いえ…(驚きましたが)」



ネーロ氏は何度か深呼吸をしてから質問をした。


「今日ここに来ることを、お父さんに話したかい?」



「勿論、話しました。 そういえば、しきりに理由を知りたがっていたと聞きました。ねぇ、ジニア?」


「はい。伝令役の騎士に何回も尋ねられたと聞いています」


「そうか…。止めなかったのなら、良いのだろう」



ネーロ氏は一人でウンウンと頷いている。

そして、小さな家族の姿絵を持って来た。



そこには、小さい頃のネーロ氏らしい子供と、その横には、ネーロ氏とよく似た少女が笑っていた。

後ろの2人は両親だろう。



ネーロ氏はその少女を指さして言った。


「僕らは双子の姉弟でね、姉はビアンカと言う」



ビアンカ… ?

ビアンカは、リリーのお母さんの名前だ。

リリーは会ったことがないため見覚えはないが、その肖像画の中で微笑む少女は、ネーロ氏にも、リリーにもよく似ていた。



「この女性が父さんのお姉さん? 綺麗な人だね」


ふわふわの金髪にグレーの瞳。色白の肌はつややかに描かれている。



「そうだよ。僕の姉であり、こちらのお嬢様のお母さんさ」


ネーロ氏が答える。



「えっ! ということは…」


「僕らは従姉弟いとこってこと??」



ネーロ氏は頷き、「その通り。君達は従姉弟だ」と言った。




※ ※ ※ ※




ネーロ氏によると、母様はスピネル家の長女で、ネーロさんの双子の姉だったらしい。


幼少期から病弱で、体調をよく知る近所の幼馴染と婚約が決まっていたそうだ。

そこに、突然勤め先の王国軍部の隊長(リリー父)から求婚話が来たのだ。


公爵家のような上位貴族は、下位貴族である男爵家と婚姻を結ぶことはあまりない。

男爵は平民に近い貴族だから、身分差が大きいのだ。

(公爵>侯爵・辺境伯>伯爵>子爵>男爵>准男爵・騎士)

 ̄ ̄ ̄              ̄ ̄ ̄

しかも、荒くれ者の多い軍部の隊長とくれば、ビアンカの体調面も心配だし、そもそも既に婚約者がいたから両親が猛反対した。

公爵家は王国領土では北側に位置し、スピネル家のある王都からも遠く、両親が頻繁に会いに行くことは難しい。


両親は、公爵家に嫁ぐなら絶縁するとまで言ったが…

しかし結局、反対を押し切って2人は結婚した。



勢いで絶縁すると言ってしまった両親は、内心心配で会いたくてたまらなかったが会いに行けず、そうこうしているうちに、


母様ビアンカは亡くなってしまったのだ。



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