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22.音楽を嗜む①

マルグリット先生によると、普通の貴族の子女は7〜8歳までに読み書きと基本的な計算、音楽を身につけるものだそう。

11歳まで教育の機会を逸していた私は、まずはこの初等教育から始めることになった。


読み書きについては、病床で本を読めるようになるためにジニアに少しずつ教わっていたので、特に問題はないようだった。




「まっ…! リリーお嬢様は天才でございます! 初めて計算をなさるのに、ご理解が早すぎます…!!」


りんごとみかんを足したり、花の本数を減らしたりする問題に答え、今は12個のクッキーを4人で分けたらひとりいくつかの問いに即答したら、先生に吃驚されてしまった。



だってそれは… 精神年齢18歳だから…




家庭教師の先生と接することになった時、リリーは①知らないフリをして年相応にふるまうか、②見た目は子供、頭脳は大人!を地で行くかを悩んだ。



結局、アホなフリをして知ってる内容を習い直すためにトレーニングの時間を削るのは耐えられない!!と思い、飛び級スピードで必要な勉強をサクッと終わらせてトレーニングに邁進しよう!という結論にいきついた。


結果、先生が教えた内容を秒で理解する天才令嬢が爆誕したのだ。 




国語算数?はそんな感じでクリアしたが、音楽はそうはいかなかった。

楽譜はドレミくらいは読めるけど、細かい記号は分からない。

しかも、どうやら最終的には演奏までできる必要があるようだ。


ピアノ、ハープ、ヴァイオリン、リュートから選ぶように勧められて、困ってしまった。

音楽は楽器に応じて専門の先生を召喚するらしい。

そういえば、音楽室の肖像画の偉い人は、音楽の家庭教師をしていて伯爵令嬢と恋に落ちたという話があったなーと中学校の授業を思い出していた。



「リリーお嬢様? いかがされました? リリーお嬢様でしたら、どの楽器をお選びになっても、きっと素晴らしい演奏ができるようになられますわ」



マルグリット先生はもう私を何でもできる天才令嬢と認識したらしく、キラキラした瞳で私を見つめている。




うーん…

音楽は聴く専門なんだよねぇ…

楽器とか、鍵盤ハーモニカとリコーダーしか経験ない…

しかも正直、申し訳ないけど興味が無い。

譜面を読んだり楽器の練習にトレーニングの時間を割くのは嫌だ…

何とかならないか… うぐぐ


あっ




「マルグリット先生 あの、楽器でなければなりませんか? お歌などはダメなのでしょうか?」



「歌… 声楽ですか? そうですね…。 構いませんが、ヴァイオリンやハープなどの弦楽器は楽器自体が音を出してくれます。

声楽は、管楽器のように奏者が自身の身体から吐く息で演奏するものです。

お嬢様はお身体が丈夫でないと伺っておりますから、声楽はご負担が大きいのでないでしょうか」


先生は少し心配そうな表情を浮かべ、そう話した。


なるほど!

では…




私はいつもしている腹式呼吸を数回繰り返した後で、お腹に力を入れて歌を歌い始めた。

アメイジングな歌詞の、有名な歌を。



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