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190.熱病その後③

リリーは久しぶりに日常を取り戻し、体育館で基礎トレーニングを行っていた。

あの伝染病騒ぎからしばらく忙しく走り回っていたから、体力は落ちてなかったけど、柔軟体操をする暇がなかったのと王都と領地の往復の馬車移動で強張っていたからか、身体が硬くなった気がする。


こんな時はいきなり飛び技や床体操などをしたら怪我をするので、基礎トレーニングからやり直すことにしている。

入念にストレッチをしてから、三点倒立を始めた。





そんなある日、アン王女からお手紙が届いた。

あの薬のお陰で、だいぶ死者が減ったこと、更に、薬のお値段も妥当で皆が手が届く価格であり大変助かっていることが書かれていた。


国としての御礼は別として、この縁を作ってくれたリリーに個人的に何か御礼がしたい。欲しいものはないか?という内容だった。



リリーは少し迷ったが、熱帯の国なら必ずあると思われる植物と、それを使った加工品のことを聞いてみた。


返ってきた返信には、やはりその植物が広く流通しており、様々な加工品として人々の生活に馴染みのあるものだと分かった。



その国では当たり前のものでも、それが無い国にはいたく珍しい、ありがたいものになる。

まさにそれだ。リリーは嬉しくて嬉しくて、久しぶりにガッツポーズをした。



しかもその加工品を、何種類か譲ってくれることになったのだ。

そんなもので良いのかと、アン王女は心配していたが、リリーにはどんな宝物より、これが欲しかった。


パレット王国と定期的に取り引きや輸出入をしているのは、前回の騒ぎの中心であるロセウス商会だ。

あの一件でかなりの恩義を感じたらしく、ディアマン公爵家のためなら何でもする!という忠臣者となった商会に、その加工品を託して貰うよう頼んだ。


思いついてすぐにロセウス氏に打診したが、勿論快諾された。


「リリーお嬢様のためなら、例え火の中水の中!

もし相手が輸出を渋れば、どんな手を使っても手に入れて参ります!!」


気付いたらだいぶヤバい人になっていたので、この件は王女も了承済みだから穏便かつ丁寧に進めて欲しいのだとお願いした。




1ヵ月後に、ロセウス商会の船が北の港に着いたと連絡があり、ロセウス氏が超特急で積み荷を見せに来た。



今回は植物そのものでなく加工品の輸入だから、蚊のことは心配しなくて良い。

ロセウス氏が本邸に持ってきた箱を開けると、たくさんの部品と、太さや種類が様々なテープがぎっしり詰まっていた。


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