15.プレゼント
誕生日会は意外にも楽しい、賑やかなものになった。
お父様は元気になったリリーを飽きることなく眺めては、そんなこともできるようになったのか、そんなに食べられるのかと、当たり前のことに驚いたり喜んだりされていた。
体育館については、1週間後に来る建築家とロータスとリリーが建物の場所や規模や内容を細かく打ち合わせることになった。
お兄様には、結局レイピアをお願いした。
「リリー、レイピアだなんて何に使うんだい?」
「お兄様、レイピアなら軽いから女性も扱うことができると聞きました。護身用に持たせて下さい」
「リリーには護衛をつけるから、多分そんなものはいらないけど、リリーが欲しいと言うなら、装飾のついた可愛いレイピアを用意するよ」
病弱令嬢リリーがまさか使う気とは露ほどにも思わないお兄様は、護身用というより鑑賞用の剣をくれるつもりのようだ。
「…私はまだ力があんまりないので、なるべく軽いものをお願いしますね」
宝石ゴテゴテのはいらないよー
お父様とお兄様は翌日、今生の別れを惜しむレベルで私との別れを嘆きながら別邸に帰宅していった。
あ〜〜〜〜疲れた。
リリーの実の親兄弟であっても百合子にとっては他人であるローレンス(父)とウィリアム(兄)とのスキンシップはなかなかの試練だった。
溜まったストレスの解消には運動が1番!!
なんだけど、あんまりドタバタした音が階下に響いてはいけないと思って、2人の滞在中はトレーニングを自粛していたのだ。
これでやっと再開できるわ。
3日の遅れを取り戻すのには倍かかるんだから!
レイピアは見た目はフェンシングで使うような細い剣。軽くて鋭利であり、女性でも扱いやすいとされる。




