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11.夕食①

そんなものなのかしら…


考えてみたら、もちろん百合子は一般家庭育ちだし、貴族の親子関係とか分かるわけないもんね。

そういえば外国の王室は子供が生まれても母と離して乳母が育てる的な話も聞くし、案外貴族の子は小さい頃から親と離れるのは普通のことなのかもしれないわね。


私はひとり納得して夕食のために広間に移動した。



広間にはお父様とお兄様がもう揃われていたので、慌てて席につく。

ここでも2人は驚いた顔で私を見ている。令嬢なのに走ったのがお行儀が悪かったのかしら… ちょびっとだったんだけど…



「リリーがふらつかずに歩いているだけでも驚いたが、まさか走れるなんて…。 

あと、素敵なドレスがよく似合っている。可愛いよ。」


お父様は微妙に泣きそうな顔をしている。

そんなに前のリリーはヤバかったのだろうか…。 確かにあの体力ではドレスの重さに負けて、綺麗には歩けなかったかもしれない。



ドレスはジニアが薦めてくれたもので、仕立てられたドレスにリリーが自分でビーズを刺繍して縫い止めたものらしい。ビーズがシャンデリアのライトを反射してキラキラ輝き、とても美しい。

リリーは体調が悪く動けない日は読書や刺繍をしていたらしいが、刺繍はよくドレスにしていて、ステッチだったりビーズだったりでドレスに手を加えることを楽しんでいたみたいだ。

でもリリーは体力がなくて、残念ながらこれらを着て人前に立つ機会がなく、ほとんど着ていない。



私は針仕事は全くできないので、リリーが手を加えたドレスをなるべく着ることで、リリーの時間を無駄にさせないようにしようと思っている。ドレスを褒められると、リリーの努力を認めて貰えたみたいで嬉しい。




「ドレスを褒めて頂いて嬉しいです。私も気に入っております」

笑顔でお礼を言うと、お父様がハウアッ!!と胸を押さえた。

「ドレスも素敵だけど、もちろんリリーも可愛いよ。お母様によく似てきたね。」


お兄様も目を細めて褒めてくれる。

私はお母様のお顔を知らないから分からないけど、何となく嬉しい気持ちになった。

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