長い旅
「コンピュータルームね」
エリカさんがトーカさんから送られてきた映像を見て答える。
トーカさんがヒュージの頭部の中に入るとそこにはコンピュータルームのような場所になっていた。
ヒュージの制御システムというよりは戦艦のブリッジのようだ。
「トーカ、システムを繋いでこちらに送って。こっちで解析する。離れているから少しラグはあるだろうけど、私がやった方が早いだろ?」
『わかった。任せる』
「そんな。もう時間が、、、」
「私を誰だと思っている。心配するな」
そう言うとエリカさんは端末の操作を始める。意味不明な単語が羅列され、何をやっているのかまったくわからない。しかしエリカさんは、新しいオモチャを与えられた子供のように嬉しそうだ。
「これは面白い。ずいぶんと長い距離を移動してきたんだな」
「エリカさん。何かわかったんですか?」
「コイツ。戦艦でも要塞でも、何なら巨大生物でもない」
「じゃあ何なんですか?」
「ゲートだ」
「ゲート?」
「そう。ワープゲート。どこか遠くの場所とを結ぶ扉。ヒュージは、ヒュージの本星にいる仲間を呼び寄せる存在だ」
「つまりどういうことだよ?」
「わかんないかアイラ。おそらくエムズの本星に大量のエムズがいて、そこにワープゲートの入口があるんだ。そしてコイツはその出口。エムズが大量に現れたのも、大群で押し寄せてきたわけじゃない。コイツが単体でやってきて、こいつから大量のエムズが現れていたってことだ。ブレスもそう。あれだけの高エネルギーをどこに蓄積しているのかと謎だったが、本星からゲートを使って撃ってきていたとは」
「じゃあやっぱりコイツを倒せば終わるってことか?」
「まぁ一言で言えばそういうことだ。しかしこいつ、本星から一切寄り道せずに真っ直ぐ地球に向かっている。どういうことだ? いや、まあいい。もういいぞトーカ。脱出しろ」
『了解』
トーカさんが振り向いたところでその場にいた全員が息を飲む。
先ほどの人型がいたのだ。頭に穴の空いた状態で。
「トーカさん!」
『うおぉぉぉぉぉ!』
トーカさんは何発もの弾を撃ちながら人型へと駆け寄ると、穴の空いたその顔を蹴り、その勢いで頭部から脱出する。
『くっ!』
「どうしたんですか!」
「ヤツが腕を伸ばしてトーカを攻撃したんだ。背中のスラスターがやられた」
端末上でトーカさんの状態を見ながらエリカさんが焦りながら言う。
「それではヒュージからの離脱は間に合わない」
「そんな、、、」
「何とかならないのかよ」
アイラさんがエリカさんの襟元を掴みながら怒鳴る。
「やめてください、アイラさん」
俺はそれを必死に止めた。
『大丈夫。約束は守るよ。必ず帰るって言ったでしょ?』
「トーカさん?」
トーカさんはヒュージの頭を駆けると跳躍する。
「ダメだトーカ! 上手く行くわけない!」
エリカさんの叫びも聞かず、トーカさんはヒュージの口元へと飛んだ。
それに合わせてヒュージの口が開き光を放つ。
「トーカさぁぁぁぁん!」
『またね』
その瞬間、ヒュージの中心が光だし大爆発を起こしながらその体は崩壊していった。




