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カエルの子  作者: おしぼり
23/34

三色2

 ヒカリさんの機体が物凄いスピードでエムズの中を突っ切っていく。

 その黄色い機体の通った軌跡はまるでイナズマのようだった。

『閃光の雷兎』

 誰が見ても思いつく、そのあだ名そのものだった。


『ジャマだジャマだジャマだぁ』


 ヒカリさんの声が響く。

 ヒカリさんの凄いのはただエムズの中を猛スピードで駆け抜けているだけではない。その通り抜ける時に確実にエムズを破壊しているのだ。

 

「トーカさん、あの武器は?」

『一応教えておこうか。彼女に社員教育しろって言われたところだしね。彼女の武器はショックハンマー。殴った瞬間にハンマーから衝撃波が発生し触れた物を内部から破壊する』

『今日のマロンは調子がいいね。いい子だよぉ、もうひとっ走り行こうか』

『ちょっとヒカリさん。キモいセリフをオープンでダダ漏れにするのやめてくれます?』

『うるさいわねアリス。私とマロンの活躍に水を差さないでよ』

『何よそのマロンって名前。栗は茶色でしょ?』

『栗は剥いたら黄色ですぅ。それよりアンタだって機体に変な名前付けてるじゃない』

『あーうるさい。グリーズ、あんなうるさい女は放っておいて私たちは私たちの戦い方をしましょう』


 そう言うとアリスさんの機体はヒカリさんのマロンとは対照的に、その巨体がゆっくりと動き出す。

 すると両手両足、肩や腰から砲門が開くとミサイルやら弾丸やらを一斉に発射し目の前のエムズたちを撃ち落としていく。

 しかしそのゆっくりさ故に、先ほどの弾幕をすり抜けたエムズによってすぐに囲まれてしまう。


『あーら大丈夫アリスちゃん。もう囲まれてしまったようですけど。戦場で重要なのはスピードと火力よ。敵の攻撃を受けなければやられることはない。いかに避け、なんなら相手が攻撃する前に最大火力でぶん殴る。それが戦い方よ』


 しかしアリスさんのグリーズは違った。

 近くまで迫ったゴブリン二体をそれぞれ右手と左手で捕まえると、お互いを叩きつける。

 それにより動きの止まった二体のゴブリンに至近距離から弾丸を浴びせる。


『すべては大きさ。大きさことすべて。大きさはパワーよ』

「アリスさんは何を言っているんですか?」

『何を言っているのかはわからないけど、アリスがそう言うのならそうなんでしょ』


 トーカさんが呆れたようにつぶやく。

 ヒカリさんとアリスさんの二人の活躍により瞬く間にエムズが殲滅される。

 俺とトーカさん、そしてヒカリさんの社員の方々はほとんど何もすることがなかった。

 そしてあっという間に俺たちはモビーリアの下まで到達する。


『あーらトーカさん。ずいぶんと遅かったわね。身重の身体ではここまで来るのは大変だったのかしら。出産予定日はいつ?』

『ヒカリ? そのくだらない冗談に真面目に返すと私もアンタも火傷するわよ。やめときなさい』

『はいはい。まぁあのデカブツも私ひとりで十分よ。大人しくそこで見てなさい』


 そう言うとまたイナズマが走る。

 そしてすぐに止まる。


『ねぇちょっと何よこれ。変な触手に捕まって動けないんだけど。私、そんな趣味ないわよ!』

 

 ヒカリさんはあっという間に捕まってしまったようだ。


『社長! いま助けに行きます!』


 数機のセンブがモビーリアに向かっていく。

 そして静かになる。


『すみません社長。我々も捕まってしまいました』

『何やってんのよアンタ達。ホントに使えないわね。ちょっとトーカもアリスも、見てないで助けてよ』


 はぁ、とトーカさんのクソデカため息が聞こえる。


『アリス、タッド、行くわよ』

「はい。こっちはオーケーです」

『わかってるわよ。私は反対側から残りの触手を引き付ける。トーカはその隙にバカウサギたちを助けて。そしたら三人で一気に本体を叩く』

『オーケーアリス。それで行こう』


 一気にトーカさんの機体が加速する。いつものヤツだ。

 トーカさんの動きに合わせて俺は迫り来る触手に対して的確に照準を合わせて撃破していく。

 そしてヒカリさんたちを捕らえている触手も撃破し救出する。

 さすがに前回の単機で戦った時よりも数段戦いやすい。

 ヒカリさんがエムズをあらかた片付けてくれていたのと、アリスさんが残りの敵を引きつけてくれているおかげだ。

 

『さぁ総仕上げよ。一気に叩きましょう』

『ちょっと待ったァ』


 トーカさんの一言に待ったが入る。

 その声はエリカさんのモノだった。


『アンタたち、また敵をめちゃくちゃに倒そうとしてないよな。いい加減、綺麗な形で倒してくれ』

『そう言われてもね』

『だから今から三人に私が予測したモビーリアの弱点の場所のデータを送る。そこをそれぞれ同時に攻撃して破壊してくれ。そうすれば全壊させずに沈黙させられるはずだ』

『なんで私がそんなことをしなくちゃいけないのよ。ねぇアリス』

『まったくだ。私たちは今回こそ協力者だが、そもそも仲間ではない』

『困ったな。確かに二人の言うとおりだし』

「トーカさんもそんなこと言わずに。お二人共、なんとか協力して貰えませんか。モビーリアを持ち帰りエリカさんに解析してもらえれば、人類のエムズ討伐にまた一歩近づけるんです。お願いします」

『こんな坊やにお願いされちゃぁね』

『トーカ、今回の分け前を増やしてくれるなら考えてあげる』

『わかったよ。ヒカリとアリスの取り分を増やすよ』

『じゃあ仕事にかかろうか』

『そうね。さっさと終わらせて美味しいものでも食べに行こう』


 そして三機はモビーリアへの攻撃を開始した。

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