三色
『トーカ? それがアンタの新しい身体でワケ? ずいぶんとセクシーになったじゃない』
若い女性の声がオープンチャンネルで聞こえてくる。
新たに出現したモビーリア迎撃のために出撃した俺たちの下へと1体の機体がやってくる。
トーカさんの機体より細身の機体は全身を黄色く塗装されている。頭には二本のツノのような物が見えるがアンテナか何かだろうか。しかしそれより機体より大きく見える鈍色のハンマーを背負っていてそちらに目が行く。
『ロボットの身体になったってウワサは本当だったみたいね。それで? 将来はどうするつもり? ロボットの男でも見つけて結婚でもするの?』
その声は人を小バカにしたような嘲笑を交えて発せられていた。
『うるさいのが来たな』
「どちら様です?」
俺はトーカさんの中から聞く。
『如月ヒカリ。こう見えて株式会社野いちごって会社の社長。政府からの委託でエムズ討伐をやっている会社。ようはタッドが昔いた会社の同業ね』
「へぇー社長さん、、、」
『こう見えてっていうのがちょっと引っ掛かるけど。そう女社長ってやつよ。まぁ今では女社長もそう珍しいものでもないかもしれないけど。閃光の雷兎って聞いたことない?』
「すみません、ないです」
『ちょっと、その男アンタの部下でしょ? ちゃんと教育しておきなさいよ』
『別に部下でもないし、それに業務に必要のないことを教える必要はないだろ?』
『ちょっとこの業界で生きていくには必須項目でしょうが。私のような素晴らしい戦い方をお手本にして若者に成長してもらい業界全体を盛り上げていかないと』
『若者への指導をするってことは自分が若くないことを認めるのね』
さらに新しい声が入ってきた。若いというよりは幼い少女のような声。
そこにはトーカさんの機体より二回りは大きな機体がいつの間にかやって来ていた。
全体をピンク色に塗られたその機体はそれだけでかなり目立つ。パッと見た感じ武装は見当たらない。
『アンタも来たの? ちんちくりん』
ヒカリさんがそう呼ぶが、どう見てもちんちくりんには見えない。もしかしたら搭乗者が小柄なのかもしれない。
『私もまだ老けたつもりはないけどアンタみたいに無理に若作りするつもりもないから』
『単に幼く見えることを若作りとか言わないで。ひがみ?』
『別にアンタに興味なんてないわよ』
『二人共、いい加減にしろ。言い争いをしに来たわけではないだろ』
「彼女は誰です?」
『アリス。私と同じように1人でエムズ討伐やってる子』
「二つ名とかはないんですか?」
『ないわよ。そんなダサいの』
『アリス今ダサいって言ったな!』
『別にアンタのことを言ったわけじゃないわよ。でもダサいとは思ってるけど』
『ダサいダサい言うな! アンタだって、ちょっとしたことですぐに不機嫌になるからわがまま小熊って言われてるでしょ?』
『それ二つ名じゃなくてただの悪口だし。それに昔のことだから』
『社長。そろそろ時間です。持ち場に、、、』
そこで男性の声が入ってくる。
三下器械のセンブのようだ。特に目立った改造をされているようには見えない。
ここで社長と言えばヒカリさんのことだろう。彼女の部下かもしれない。
『わかったわ。お二人さん。邪魔はしないようにね』
そういうと黄色い機体は遠ざかっていく。雷兎だから黄色くて頭に耳があるのか。そこで理解する。
『トーカ? 私たち三人を呼ぶなんて正規隊は相当切羽詰まっているようね』
『そうね。残飯処理じゃなくてメインディッシュを回してくれるなんて、彼らももうお腹いっぱいなのかもね』
『でもメインはクラゲだけどね。お腹壊しそうでイヤだわ』
そう言うとピンクの機体も去っていく。
『まったくいったいなんだったんだ』
「トーカさんってお友達多かったんですね?」
『やめてよ。騒々しいだけだから』
トーカさんは心底イヤそうに言い放った。




