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カエルの子  作者: おしぼり
21/34

回転するもの

 例の巨大クラゲを倒してから数日が経った。

 トーカさんのいる倉庫でトーカさんと一緒にニュースを見ている。

 トーカさんと一緒と言っても同じ画面を二人で見ているわけではない。

 俺は巨大なトーカさんの顔にもたれ掛かるように座り、目の前にモニターを出現させそれを見ている。トーカさんは視界をテレビに切り替えることができるのでそのまま見ていた。

 ちなみにエリカさんは忙しそうにPCをいじり、アイラさんは倉庫の隅に自分で持ってきたソファで寝ている。

 

「先日のクラゲ、モビーリアって名前が付けられたそうですよ?」


 返事はない。トーカさんは興味のないことにはあまり返事はしない。

 モビーリアという名は、赤ちゃん用のベッドの上などに吊るすオモチャの名前からきているらしい。

 確かにそう言われると見えなくもない。

 オモチャにしてはかなり凶悪な存在ではあったが。

 というか凶悪という意味では、世界各国同じ感想のようだった。

 俺たちが遭遇して以来モビーリアは世界中で観測され、各国のガーデンに甚大な被害を出していた。

 エムズが観測されてから約50年。極小数のエムズしか現れなかったのが急にまとまって攻めてきたのだ。

 そもそも先日のハーピィすら数十年ぶりの新種だったのだ。

 

「エムズにいったい何があったんでしょうか」

「まぁ何かはあったんでしょうね」


 そう答えたのはエリカさんだった。

 

「ハーピィの出現は明らかに正規隊の遠隔操縦を阻害するためのものだ。あんな電波障害なんぞ侵略にほとんど意味を成さないからな。しかしそれがあっという間に打ち破られてしまったので、やはり今度は物量で攻めてきたってとこだな」

「でもバードソングを実戦投入した時にモビーリアはいたんですよ。ハーピィを倒されたから来たってのは考えにくいんじゃ」

「確かにそうだな。ということは、はなから対策されることは前提だったのか。いや、ハーピィで戦力を削いだところに一気に物量で攻める作戦だったのかもしれない。つまりは今までのように散発的に攻めてくるんじゃなくて確実にやりに来てるってことだな」

「では今までは偵察だったってことですか?」

「いや偵察をしているようには感じなかったが、もしかしたらデータは取っていたのかもな。そればかりは奴さんに聞いてみないことにはわからないが」

「トーカさんはどう思います?」

『さぁね。どちらにしろこのままでは大変なことにはなるでしょうね』


 ハーピィの時とは違い、モビーリアは純粋な攻撃力なので対抗は出来なくはないのだが、その戦力に各国の防衛軍も苦戦をしている。

 トーカさんがたった1人で倒せたことが奇跡なのだ。

 

「まぁモビーリアをもう少し綺麗に倒してくれれば解析のしようもあったんだけどね」

「むちゃ言わないで下さいよ。こっちはいきなりのことでいっぱいいっぱいだったんですから」

「初めては誰だって戸惑うものだよ。そのうち慣れるさ」

「そのうち慣れるって言われても」

『エリカ? やはり1人で出来るようにするってわけにはいかないのか?』

「無理だよ。体は機械でも頭は人間なんだ。いっぺんに処理しきれないよ。それともやっぱりタッドがイヤなのか?」

『イヤってわけではないが、、、』

「じゃあ良かったのか?」

『何を言って、、、!』

「いやタッドの操縦技術の話だよ。なんだと思ったんだ?」

『別に、、、とにかく、タッドがコックピットに入る時の感度はどうにかなるだろ』

「まぁそれは次回までになんとかしておくよ。私も少しやりすぎたからね」


 そう言ってエリカさんは少し笑みを浮かべた。

 ホントこの人はどこまでが本気なのかわからない。


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