目覚め
「大丈夫だよ」
ベンチに座りうなだれる俺の肩をアイラさんは抱きかかえてくる。
アイラさんはそうするのが好きみたいだ。
「はい、、、」
と、小さく返事をしてアイラさんの顔を見る。
目尻が潤んでいて今にも泣き出しそうである。
「俺がもっとしっかりしていれば」
「アンタのせいじゃないさ、タッド。トーカだってそう思ってるさ」
慰めてくれてはいるが、アイラさんの声にいつものような元気さはない。
それもそうだ。
俺なんかより、アイラさんの方がトーカさんとの関係は全然長い。
「それに、エリカがなんとかするって言ったんだ。あいつがそう言った時は、なんとかする奴さ」
そう、俺は、虫の息だったトーカさんを連れてガーデンのドッグへと戻った。
戻る途中で俺はアイラさんに連絡を入れていた。
ドッグで待っていたアイラさんと、アイラさんの呼んだガーデンの医師はトーカさんの状態を見て首を横に振った。
だがそこで一人、首を縦に振った人物がいた。アイラさんの連絡を受けてドッグに来ていたエリカさんだった。
俺はエリカさんの指示の下、トーカさんを連れてとある建物へとやってきた。
その中で、一緒についてきたアイラさんと二人で待っているという状態だ。
エリカさんがトーカさんを連れて奥へと入っていってからかなりの時間がたった。
ただ、実際に過ぎた時間よりももっと長い時間が過ぎた気がした。
「お医者さんもダメだって言ってたんですよ? 本当に大丈夫なんでしょうか」
「きっと大丈夫さ。そういやあれは何年前だったか、私たちがもっと若かったころ、、、」
アイラさんが昔話し始めたところで、俺たちの座っていたベンチの前の扉がようやく開いた。
部屋から出てきたエリカさんの表情は、逆光でよく見えない。奥の部屋が明るく、俺たちのいた廊下が薄暗いせいだ。
さらに近づいて来てそこでやっと表情が見える。
彼女はニヤリと笑った。
「成功だ」
「本当ですか!?」
「よかったね、タッド!」
アイラさんは驚く俺の頭を抱きしめ喜ぶ。
二つの大きな胸が顔を覆い少し苦しいが、そんなことよりトーカさんが死なずにすんだことが何よりも嬉しい。
「で、トーカさんは?」
「奥で眠っているよ。もうすぐ起きると思う。おいで」
「はい!」
俺とアイラさんは立ち上がり部屋の中へと入る。
そして、驚きのあまり言葉を失う。
「どうした? 二人とも。そんな顔をして」
「どうしたも何も、これはいったい、、、」
そう、手術室か何かを想像していた。そして部屋の真ん中で横たわるトーカさんの姿を想像していた。
でも違った。
目の前に広がるのは巨大な倉庫のような場所。言うなればギャラクシオのような人型兵器のドッグだ。
そしてそこには見慣れない機体が横たわっていた。
その機体はゆっくりと目を開ける。そして手を上げ、手のひらを見つめていた。
「動いた? 誰か乗っているんですか? ひょっとして、トーカさん?」
「え? その声、タッド?」
機体から声が聞こえる。やはりトーカさんの声だ。
「トーカさん。やっぱり無事だったんですね? でもなんでそんな中に?」
その機体はこちらの方を見る。
「タッド。アイラにエリカも。みんなどうしたの? なんでそんなに小さいの?」
「エリカさん、いったい、、、」
「あぁ、トーカのことなんだがな。やはりあのままでは死んでしまって助けられなかった」
「そんな」
「だから、開発中の新型機に頭脳を載せてみた」
「え?」
「は?」
「どうゆう?」
俺とアイラさんとトーカさん? の疑問の声が上がる。
「だからトーカ、それがアンタの新しい体だ」
俺とアイラさんとトーカさんの三人は顔を見合わせる。
「「「えぇぇぇぇぇ!!」」」
そして三人の声がドッグの中に響き渡った。




