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宇宙の下
宇宙から見える星々は地上から見るのとはまた、どこか違って見えた。
宇宙に漂う椅子に座って星々の輝く様を眺める。
それを人が聞いたらきっと、優雅とでも言うのだろう。
だが俺はそんな気分にはなれなかった。
いつ死ぬかもわからない。これから無事帰ってベッドの上で寝られるのかどうかわからないからだ。
『お前ら起きろ。そろそろ時間だぞ』
通信機からイヤな声が響く。
毎日聴いている、不快な声だ。
『了解』
『りょーかい』
先ほどの通信に対する返事が聞こえてくる。
「了解」
俺もそれに続いてボソっと応えると、手近にあったボタンを適当に押す。すると、まさにスリープ状態だった機体のシステムが立ち上がる。
星々のきらめく宇宙しか見えなかった視界に、さまざまな文字や数字が表示されていく。
機体にも火が入り、唸りを上げ始める。
『よし野郎ども。ついてこい』
宇宙空間を切り裂くように、1機の巨大な人型の機械が飛んでいく。
それに合わせて他の機体も続いていく。
「了解」
また先ほどと同じような小さな声で返事をすると、俺もその後に続いた。