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第四話:夢の扉

あれから3日が過ぎ、未だ医療棟に隔離されたままの愛華は学校に登校することも出来ずにいた。


「(私は一生このまま望月家の言いなり、奴隷として生きていくの・・・?)」


「愛華の様子はどうだ?」

「旦那様・・・今日も排泄や入浴を除くベッドからの移動はありません。」

「ふん・・・あの子は望月家の光となるのか闇となるのか・・・」


愛華の様子は常に監視カメラによってすべて捉えられ監視されている。


「旦那様、もし愛華様が“闇”だった場合はどうするおつもりですか?」


厳四郎は躊躇なく使用人に即答する。


「殺せ、望月に必要のない者は生かしておく必要もない。」

「かしこまりました・・・。」


決まった時間に食事をし、飲みたくもない訳の分からない薬を飲まされる。


「いっそ・・・このまま・・・誰か殺して・・・。」


ベッドに腰掛ける愛華の目から一粒の涙がこぼれた。

この間、両親や弟が来ることは一度もなかった。

愛華の心は寂しさに砕けそうになっていた・・・。


「ふむ、この子が次の幸せの世界への選出者かね。」


誰もいないはずの病室内に突如男性の声が響く。

気づけば目の前にはこちらを見つめるおじいさんが立っていた。

推定50代後半から60代前半程度?瘦せ型で眼鏡をかけタキシードを着ている。


愛華はあまりの状況に驚きを隠せない。

「あ・・・・あ・・・・!」


その状況は監視カメラで監視を続けていた厳四郎も同じであった。


「こ奴・・・今一体どこから現れた・・・・?!」

「現在全カメラ確認中です!しかしどこにも映っていません!!」

冷や汗が厳四郎の額から流れる。

「と、とにかく急行だ!捕えろ!!」

『はいっ!』


一方・・・愛華は・・・

「望月愛華ちゃんだね?」

男性は腰を低くくして愛華に笑顔で視線を合わせた。


「は・・・はい・・・・。」


明らかに怯えた表情の愛華。

「大丈夫、君を助けに来たんだ。」


男性はポンポンと愛華の頭を優しく叩く。

「こいつをここ最近たくさん見てきただろう。」


男性がそういうと、目の前には例の巨大な蝶が。


「あっ!いた・・・!」

「こいつは私の使いでね、ずっと君の動向をこいつから探っていたんだ。」


「あなたは・・・いったい・・・?」


「私に名はないが・・・まぁ妖精程度に思ってくれたらそれでいい。」

「妖精・・・って羽が生えてたり小っちゃかったりするものじゃないの?」

「そういう種族もいるが・・・私達はどちらかと言えば人間に近いかも知れないね。」


「そ・・・それで・・・一体私に何の用があって・・・?」

「うん、君は幸せの世界に選ばれた。それを伝えに来たんだよ。」


愛華は固まる。


「幸せの・・・世界?」


その時だった!

バァン!と激しく扉が開き大勢の人間が突入してきた!

全員の手には様々な銃が握られている。


「貴様!愛華様から離れろ!」

「今すぐそこをどけぇ!」


怒り狂う怒声にも自称妖精は冷静さを乱さない。


「やれやれ騒がしいね・・・だがまぁ、かえって丁度いい・・・。」


パチンッ!と男性が指パッチンをした瞬間・・・時が止まったように誰も動かなくなった。


「なに・・・これ・・・・」

「この空間の時間を止めただけだよ、私の力は証明できたかな?」


笑顔を崩さない自称妖精に愛華はこくこくと頷く。


「君はこの世界でたくさんの悲しみ、絶望と出会ってきたはず。だからこそ君が選ばれた。

 一切の悲しみや苦しみのない“幸せの世界”へ・・・。来る気はないかい?」

「一切の悲しみや苦しみのない世界・・・。」

「そうだ、君は今このままここにいても死を待つばかり。現に望月厳四郎は君を殺害しようとしている。

 さぁ、どうする愛華ちゃん。こんなチャンスは一度きりだよ。」

「おじい様が私を・・・?」


愛華は答えられずにいた。

幸せの世界・・・・不安で仕方がない。

もしかしたらここよりも酷いかも知れない。

それでも、現状を打破するためには・・・。

でもそんな甘い言葉に乗っていいのか!?


暫らく経って、自称妖精は静かに口を開いた。


「すぐに答えは出ないか、それはそうだよね。じゃあ明日まで答えを待とうじゃないか。

 私は意外と寛大だからね!いい返事を期待しているよ!」


そうとだけ言うと男が再び指を鳴らす。

するとパっとその場から消えてしまった。



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