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彼の背中④魔王

作者: 若松ユウ

 陽光も届かず星月も輝きを失う程に

 厚い層を成す暗雲が立ち籠め

 周囲に野茨が跋扈(ばっこ)する堅牢(けんろう)な古城に

 稲妻を伴う雷鳴が(とどろ)き渡る

 

 切っても切っても再生する(つた)()(くぐ)

 緑や紫の肌をした羅刹共を打ち倒し

 飛び出す針や抜け落ちる床底を(かわ)し続け

 目も(くら)む金銀財宝にも惑わされず

 

 幾多の(わな)をクリアした最奥部に

 その魔王は待ち構えている

 それはパーティに裏切られて闇に()まれた

 かつての勇者の成れの果てだ


 白き勇者を黒き魔王に染めたのは

 知識を過信して呪文を誤った僧侶と

 武勇に依存して戦略を無視した戦士と

 信頼を逆手に取って逃亡した盗賊だった


 希望を失った勇者は瘴気(しょうき)(むしば)まれ

 頭から禍々しき二本の角が生え

 腰から忌々しき投げ(やり)状の尾が伸び

 耳も歯も爪も鋭利なものへと変化した


 元勇者だった魔王は懊悩(おうのう)している

 魔王が救われるのはいつなのか

 魔王を助けられるのは誰なのか

 どうすれば魔王を浄化できるのか

 

 闇に堕ちた存在を人間に戻す方法とは

 その答えを知る者は――


挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔王になってしまった勇者。 その魔王を、勇者だった者の心を救える人間は果たして─── ……なんだか、壮大な物語が始まりそうですね(-ω-) 魔王の背中が心なしか切ないですm(_ _)…
2021/06/29 20:29 退会済み
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