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第0話 プロローグ

初投稿作品です。

よろしくお願いいたします。

王国歴223年5月(ケン19歳)


「斬り捨てろ! 突撃だ!」


坂の下から、開戦を命じる代官の叫び声が聞こえる。

ケンが慌てずに仲間達に「弓矢だ」と声を掛けると、それに応じて七人が立ちあがって弓を構えた。


「よく狙え……放て!」


ケンの声に応じて、一斉に矢が放たれた。

手製の粗末な矢だが、第一射には、試射で取り分け真っ直ぐ飛んだものを選りすぐっている。

狙いは違わず、何本かが敵の隊列の先頭の荷馬車を引く二頭の馬に当たった。


「グヒーッッ!」


馬が痛みに暴れ出して後ろ足で棒立ちになり、荷車は坂を転がり落ち始める。

それに引きずられて馬が倒れ、そのはずみで馬を荷車に繋いでいた留め具が外れた。

荷車は坂を下り落ちる途中で転覆し、立ち上がった馬はその横を通り兵を撥ね飛ばして逃げて行った。

兵も何人かが傷ついて倒れたらしく、複数のうめき声が坂の上まで聞こえて来る。

さらに第二射、第三射を送り込むうちに、無事な敵は全員がいったん曲がり角の向こうへ逃げ戻ったようだ。

こちらから見通せる範囲には、立ち上がっている者、こちらへ進んでくる者は一人もいない。



「柵を立てろ」


ケンは坂の上に矢避けを立てるように仲間に指示を出すと、大きく息をつき黒髪を掻き上げた。


初戦は思い通り、いや、思った以上の出来だ。

準備が整わないうちに突っ込もうとした敵の機先を制し、出鼻を挫いた。

馬と荷馬車を使い物にならなくし、何人かは戦力外になっただろう。

こちらは意気上がり、誰も傷ついていない。

用意した手の内も、まだ弓矢しか見せていない。


だが、安心しちゃだめだ。

相手の出方が予想できたのはここまでだ。

ここから先は、相手の手次第で機敏に対策を変えなければならない。

覚悟を試されるのはここからだ。

俺が仲間たちの先頭に立ち、何としても村と、村のみんなを守り切るんだ。


ケンはもう一度大きく深呼吸し、柵の間から坂の下の様子を窺って黒い瞳を光らせた。

まだ動きは見えない。


どうする?

あの無法代官野郎はどう出て来る?



拙く地味な作品ではありますが、どうかお読みくださいますように。

よろしければ御評価、ブックマーク、御感想等をいただけると有難く、お願い申し上げます。

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