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短編

夏のブレイブストーリー

作者: oga
掲載日:2019/08/03

指定キーワード「異世界、指輪」

夏にまつわるキーワード「祭り」

 夏休みに入り、僕は友達3人を連れて近所の祭りへとやって来た。

僕らは祭り祭り言ってるけど、じいちゃんから聞いた話だと、この祭りの正式名称は「異界祭り」らしい。

僕は、薄っ気味悪いな、と心の中で呟いたけど、実際やって来ると、そんな不気味さは全然感じなかった。

会場では、オレンジの提灯が至る所にぶら下がっていて、たこ焼きとか、焼きそばとか、金魚すくいの出店とかが道の脇に並んでいる。

浴衣を着た人らが行き来する中で、僕は親からもらった500円を握り締めて、どの店に並ぼうかと考えていた。

すると、


「おい、アレ、やってみね?」


 友達のカブが、クジ引きの店を指差して言った。

僕は、あのクジに当たりがないことはユーチューブの検証動画を見て知ってたから興味無かった。

けれど、他の2人が乗り気になってしまったので、買わざるを得なくなった。


「ちぇ~、ハズレだってさ。 ウミ、ぜってー当てろよ!」


 しかし、ウミもハズレ。

結局、僕に全ての期待がかかることとなってしまった。

内心、どうせハズレだよな、とクジの入ってる箱に手を突っ込み、折れ曲がった用紙を手に取る。

それを開いて確認すると、ハズレ、の文字で無く、3番、と書かれていた。


「3番」


「おっ、当たりだよ!」


 おっちゃんが棚から掴み取ったのは、PS4…… と見せかけて、その横の小さい指輪だった。


「今年の挑戦者はボウズか。 コイツをはめると、異世界へ行ける。 はめる時は、よく考えてからはめるんだ」


 僕らは出店の並ぶ通りの裏へと行って、提灯の明かりの下で指輪をまじまじと見つめた。

古ぼけた感じの指輪で、不思議な模様が彫ってある。

カブが、誰があんな話信じるんだよ、と言ったけど、僕はすぐにその指輪を投げ捨てたかった。

じいちゃんの、異界祭り、という言葉と、指輪が繋がったからだ。


「で、誰がはめる?」


 突然、ウミがそんなことを言った。


「そりゃ、持ち主のナツだろ」


 ギクッ、として、僕は首をブンブン振った。


「や、やだよ」


「じゃあ、俺がはめるよ」


 僕は、この指輪は本物だと半分信じてしまっていて、絶対にやめた方がいい、と言った。

それでも、ウミは乱暴に僕の手のひらから指輪を奪った。










 それから数日後、特に変わった様子も無く、ウミとプールに行くことになった。

自転車をこぎながら、僕は後ろに続くウミに尋ねた。


「そういえば、あの指輪、結局ウソだったの?」


「ああ、アレ? ハナに上げちまったよ」


「えっ……」


 ハナ、とは、クラスのマドンナ的存在で、僕ら3人はみんなハナを彼女にしたいと思っていた。

僕は、ウミが抜け駆けした事に一瞬、腹を立てたけど、それよりも、とてつもなく嫌な予感がした。

自転車を止めると、ウミも、うおっ、と言いながら急ブレーキをかけた。


「……ハナは、指輪をはめたの?」


「それ、聞いちゃう?」


「ふざけんなよ! はめて、どうなったの?」


「……消えたよ」


 ウミが、逃げるように自転車をこぎ始めた。

僕は、ドクドクと動く鼓動の音を聞きながら、その場から動けなくなった。






終わり

読んで下さった方、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] 「消えた」とだけで、終わってるのがいいですね。ホラーファンタジーだわ♪
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