第6話:遭遇
シンはヴィンセントが商船等への略奪行為を行っていると聞き、これ以上の被害が出ない様に決着を付けに行こうとする。
マスターからヴィンセントの行き先も聞いたシンはブラックと出航しようとしたが、港は埋まりきっていた。
そこでシンはブラックを抱えて空へと飛び上がるのだった。
シンは島から離れて眼下の海に船が無い事を確認するとしがみついているブラックに訊ねる。
「ここから落として大丈夫か?」
シンの発言を聞いて顔を真っ青にしたブラックは首を横に何度も振る。
「私、石になるって言ったじゃない!なんで、この姿で抱えるのよ!」
泣きながら怒るブラックに戸惑いながらシンは高度を落としていく。
「あのな。お前の魔力を狙ってるのはお前を追ってる奴ら以外にも居るんだよ。この間の山羊が良い例だ。だから、お前が魔石だって島の連中には知られない方が良い。シスターやマスターなら平気だけどな」
そう言うとシンは海面スレスレで羽ばたく。
「ここなら大丈夫だろ?」
シンが訊ねるとブラックは頷く。シンの腕の中でブラックが黒く光り輝き、魔石へと戻ると腕の間から海へと漆黒の魔石は落ちていく。
しばらくすると、海中から巨大な帆船が現れる。シンは甲板に着地すると翼を背中に戻し、コートから酒瓶を取り出す。
「マスターがくれたからな。よし。開けるぞ」
シンが酒瓶を激しく上下に振ってから栓を開けると勢いよく酒が吹き出る。シンは甲板を走りながら酒を撒くと酒瓶の銘柄を見る。
「おぉ。シャンパンだったのか。いくらするんだろ?」
「竜王の心臓以外にもお宝があったら良いわね」
ブラックの声が船から響くとシンは頷く。
「そうだな。じゃあ、ブラックよろしく頼む」
シンは舳先へと歩いて行く。
「了解。船長」
ブラックはそう言うと舳先を西へと向けて動き始める。
「そう言えば、貴方は最初の時もこの船を思い浮かべてたけど、この船に思い入れがあるの?元々の船とか?」
しばらく進んでからブラックが訊ねてくる。シンはメインマストの方を向き、話し出す。
「いや。この船は俺が子供の頃に読んでいた海賊の物語に出てくる船なんだ。生きた船であるブラック・ストーム号は船長の望むままの方向へと進むんだ。魔法の船だから、風や波が無くとも進めるんだ」
シンの話を聞いたブラックが「へぇ。まるで私たちみたいね?」と言うと
シンは笑い「そうだな。よろしく頼む」と言って船の正面を見据えるが周りには船影も島も見えなかった。
「何も見えねえなぁ。大分遠いのか?」
シンがぼやくとブラックの声が響く。
「シンには聞こえない?死んだ悲しみと死に際の苦しみを歌って、生きてる者を呪おうとする声が。もし、マスターに見せてもらったお話通りならデギマ島はもうすぐよ。ドンドン声が大きくなってるから」
ブラックが言い終えると気持ち良く晴れていた空に暗雲が立ち込めて生暖かい風が吹き出す。
風が強くなると波がうねり出して、大粒の雨が降り始める。
波によって船が大きく揺れる中、風と雨はドンドン強くなっていき、雷鳴が鳴り響く。
「どうやら島が近いってのは本当らしいな。でも、何処にも島は見えねえな」
シンが周りを見渡す中、何回目かの稲光で照らされた海に何隻もの船が居るのが見えた。
「ん?あんな船さっきまで居なかったのにな」
シンが目を凝らすと船尾で合図を送る船員の姿が有った。
「お?俺らに何か合図しようとしてるのか?」
シンが舳先に掴まりながら合図を見ようとすると船尾に居る船員がピストルを撃って来る。
もちろん、この距離なら当たる事は無いが、それを合図にした様に砲弾が何発か飛んでくる。
「おいおい。マジかよ。船長同士の開戦の合図も無しか」
シンはぼやきながら腕をライフルに変えると砲弾を狙撃して船を護る。
「シン。あの船に居る船員に生者は居ないみたい。生きてる奴等は皆殺しって歌ってるわ」
ブラックの話を聞いたシンは腕を元に戻すと
「ブラック!面舵一杯!!あの礼儀知らず共が誰に喧嘩売ったのか思い知らせてやろう」
「了解!思い切り揺れるから気をつけてね!!」
ブラックがそう言うと船が大きくしなるように動き出す。ブラックが舵を切り終えるといきなり右舷に横付けする様に船が現れて何体もの動く骸骨が乗り込んでくる。
「お前ら、誰が来て良いって言ったよ?俺の船に勝手に乗り込んでくるんじゃねーよ」
シンはそう言うと両手を拳銃に変えて骸骨たちを撃ち砕くが死角から斬りつけられてしまう。
「くっ!」
シンは自分を斬りつけてきた骸骨を蹴り砕くと銃撃を再開するが、銃弾が当たらなかった骸骨に蹴られてしまう。骸骨たちは追撃を叩き込もうと近づいてくるが、シンは右腕をアサルトライフルに変えると近づいてきた骸骨たちを銃撃して粉砕する。
乗り込んで来た骸骨たちを一掃したシンが横付けされた敵船に乗り込もうとすると砲撃が行われて船が大きく揺れる。その隙に骸骨たちが追加で乗り込んでくるとシンは回し蹴りを繰り出して骸骨たちを蹴り砕く。
シンが骸骨船員たちを一掃すると2m程の大斧を持った大骸骨が乗り込んでくる。
「へぇ。良い物持ってんじゃねーか」
シンはそう言うと殴りかかるが、真正面から振り下ろされた大斧に頭から潰されてしまう。
「シン!!?」
驚愕と絶望に満ちたブラックの声が響くと骸骨たちは勝利に喜んでいるのかカタカタと顎骨を鳴らして笑いだす。
だが、比較的無事に残っていた四肢がピクリと震えると飛び散った血が一か所に集まり、蠢く血によって無事なパーツが引き寄せられると肉や皮が成形されていき、潰される前のシンが骸骨たちの前に現れる。
「ふぅ。痛かった。いくらなんでも油断したか」
カタカタとなっていた骸骨たちの骨の音も止み、皮や目が無くなっていようとも骸骨たちが驚き慄いているのは誰の目から見ても明らかだっただろう。
大骸骨が再度斧を振り被るとシンは右手を拳銃に変えて撃とうとするが撃つ前に何度も斧で潰されてしまう。そのせいで甲板はシンの血や肉片だらけになってしまった。
原型を留めないほどに潰されたシンだった肉片からは夥しい(おびただしい)量の血が流れ出ていた。
だが、またしても骸骨たちの目の前で肉片や血が舞ってシンは蘇る。
シンは再度右手を拳銃に変えるが、大骸骨の大斧フルスイングで上半身と下半身が分離した状態で吹き飛んでしまう。
「がはっ!!!…痛ぇな。意識が無くなる方が復活するまで楽なんだけどな」
シンはそう言うと己の血を魔力で鎖に変えると下半身を引き寄せる。それを見た大骸骨はシンにとどめを刺そうと近づいてくる。
シンが下半身を引き寄せ終えると大骸骨は大斧を何度も振り下ろし、シンを再度ミンチにしてしまう。
だが、血や肉片が舞うとシンは元通りの姿で大骸骨の目の前に現れる。そして、右手をマシンガンにすると至近距離で大骸骨に魔弾を食らわせる。
銃撃に怯んだ大骸骨にシンが回し蹴りを繰り出そうとすると大骸骨は何度も大斧を振り下ろしてシンをミンチにしてしまう。
大骸骨はシンが復活しない様に斧の持ち柄で何度も肉片をすり潰そうとするが、肉片が斧を這い上がると大骸骨は思わず斧を手放してしまう。すると、斧を踏みつけたままシンが蘇る。
シンは右手を拳銃に変えると大骸骨に撃つが大骸骨も怯むのみでダメージは無い様だ。
「俺も大概だけどお前も頑丈すぎねーか?」
シンはそう言うと右腕をライフルに変えてジャンプすると大骸骨の頭部を狙撃する。
「裁きの弾丸」
シンの魔弾を受けた大骸骨が跪くような姿になるとシンは着地と同時に右腕をショットガンに変えて大骸骨に撃とうと駆け寄るが起き上がった大骸骨に蹴り上げられてしまう。
「どわっ!」
シンが落ちてくるタイミングで大骸骨は再度シンを蹴り上げると斧を取りに向かう。
一方、蹴鞠の様に蹴られたシンは落ちながら大骸骨の頭部を何発か殴りつけて甲板に叩きつける。
大骸骨は起き上がると同時に大斧を振り回すがシンはジャンプで躱すと大骸骨の頭に蹴りを叩き込んで大骸骨を吹き飛ばす。
シンは着地すると追撃を打ち込もうと歩くが、大骸骨が大斧をぶん投げるとシンにクリーンヒットして大斧ごとシンは船室の壁に打ちつけられてしまう。
大骸骨はシンの元まで来ると大斧を引き抜き、シンの身体に何度も斧を振り下ろす。
血と肉片が船を汚す中、大骸骨の怒りは止まないのか斧が止まる事は無かった。
大骸骨はシンの肉片が細かくなると足で踏み躙り(にじり)続けた。
「何時まで人の足踏む気なんだよ?」
シンが大骸骨の背後から話しかけると大骸骨は慌てて振り返る。シンは胡坐を書いた状態で右腕をショットガンに変えていた。魔弾を至近距離で受けた大骸骨は吹き飛ぶ。
シンが血と肉を舞わせるとシンの足も再生する。
シンは足が再生してすぐに立ち上がるが、銃撃で吹き飛んだ大骸骨は落下の慣性も利用してシンを大斧で叩き潰した。
大骸骨は部下の骸骨たちに命令してシンの肉片を海に投げ捨てる様に指示した。
骸骨たちが指示通りシンの肉片をかき集めて海へと運ぼうとするとシンの肉片や血が暴れ出し、骸骨たちを振り回して海に落としたり、大骸骨にぶつけたりした。
何人もの骸骨がぶつかり、身動きの取れなくなった大骸骨の前にシンが何度目かの復活をする。
「よぉ。海に捨てろって指示はなかなか良かったと思うぜ?」
シンはそう言うと右腕をロケットランチャーに変えると大骸骨に向かって撃ち放つ。
爆炎と共に大骸骨と骸骨たちが砕け散るとシンは落ちていたブーツを履くのだった。
シンがブーツを履いている間に敵船から大骸骨が2体乗り込んで来た。
「だ~か~ら~。お前らに乗って良いなんて言ってねぇだろうが!」
シンはそう言うとジャンプして落下と同時に蹴りを叩き込む。大斧を持った大骸骨には命中したが、大剣を持った大骸骨は剣でガードしてしまう。
「ほぉ。剣の奴はなかなか強そうだな」
シンはそう言うと独楽の様に回って大斧を持った大骸骨に追撃を叩き込むが、大剣を持った大骸骨が高く飛び上がったかと思うと着地と同時にシンを斬り伏せてしまう。
「ぐあっ!!」
シンは傷口を庇いながらもがく中で右手を拳銃に変えると大剣を持つ大骸骨に撃ち、追撃を防ぐ。
だが、今回大骸骨は2体乗り込んできているのである。大斧を持った大骸骨は今までの仕返しとでも言うかの様にシンに何度も大斧を振り下ろす。
シンの肉片が動かない事を確認した2体の大骸骨は黒嵐号の舵輪を壊しに向かう。だが、シンの身体は確実に治っていった。
大骸骨たちが舵輪を探し当て、破壊しようと武器を振り上げると背後からシンの回し蹴りが2体の大骸骨に炸裂したかと思うとシンは倒れている大骸骨を2体まとめて蹴り上げる。そして、落ちて来た大骸骨に正拳突きと同時に拳から魔力を撃ち出す。
シンは右腕をガトリングガンに変えると吹き飛んだ大骸骨たちに向かって撃ち放つ。
シンは腕を元に戻すと大骸骨たちに回し蹴りを繰り出し、大斧を持った大骸骨には当たったが大剣を持った大骸骨には避けられてしまい、斬り上げられてしまう。
「うわぁっ!!」
大剣を持った大骸骨が落ちてきたシンを再度斬り上げたかと思うと大斧を持った大骸骨が落ちてきたシンを斧のフルスイングで斬り飛ばす。
大剣を持った大骸骨はジャンプしたかと思うと意識のあるシンの上半身に剣を叩きつける様に斬り伏せる。
大骸骨2体はシンの肉片をそれぞれの武器で何度も叩き潰した後に肉片を海へと投げ捨てる。
大骸骨が勝利の雄叫びを上げると黒嵐号に骸骨たちが次々に乗り込んでくる。
「…シン。」
ブラックの声が空しく響くと甲板中に飛び散ったシンの血痕が紅く光り出す。骸骨たちが慌てた様子で周囲を見渡すと海から無数のシンの肉片が甲板へと集まる。大骸骨たちは部下の骸骨に復活中のシンに攻撃する様に命令するが、シンの肉片から魔力が発せられると骸骨たちは吹き飛んでいく。
そうしてシンは復活すると右腕をライフルに変えてジャンプしたかと思うと大骸骨たちの頭部を狙撃する。
「裁きの弾丸!」
頭部を撃ち砕かれて大斧を持った大骸骨は倒れてしまう。
シンが着地すると大剣を持った大骸骨はシンに突きを打ち込もうとするが、シンはジャンプで避けると大骸骨の頭部に蹴りを叩き込み、大剣を持った大骸骨も打ち砕く。
大骸骨たちを倒した瞬間に骸骨たちが一斉にシンに向かって来る。
「ブーツ位履かせろよ」
シンはそう言うとジャンプして集まった骸骨たちの攻撃を避けると同時に落下の勢いで蹴りを打ち込んで骸骨たちを粉砕する。だが、何処から湧いて来るのか骸骨たちの数が減る事は無かった。
シンは右手を拳銃に変えて撃とうとするが、斬りつけられてしまう。
「くっ」
シンは腕をアサルトライフルに変えると骸骨たちに連射して粉砕する。
シンは腕を元に戻すと落ちてるブーツを履きに戻る。
「来ないのか?それならこっちの番だな。ブラック。ちょっと向こう行って来る」
「気をつけてね」
シンは縄梯子を登り、敵船の甲板に向かってジャンプして着地する。
着地と同時に銃撃されるが、シンは転がって回避する。
だが、船室から出て来た骸骨たちに至近距離から一斉射撃をされると全弾命中してしまう。
「くそっ!」
シンは回し蹴りを打ち込んで骸骨たちを粉砕するが、続々と船室から骸骨たちは湧いて出てきた。
「一隻にどれだけ居るんだよ!?」
シンが叫ぶ中、マシンガンを撃たれてシンはその場に倒れてしまう。
シンは反撃しようとするが、続々と集まる骸骨たちに至近距離からピストルを撃たれて身動きが出来なくなってしまう。
骸骨たちは何処から入手したのか、グレネードランチャーを持ち出して来た。そして、周りに味方が居るにも関わらず、シンに撃ち放った。
爆発と同時に数体の骸骨たちが砕け散り、シンは吹き飛んでしまう。
「バーカ。仲間と連携取らねぇから死んじまうんだよ」
シンはそう言って起き上がると両手を拳銃に変えて骸骨達に連射する。
甲板上の骸骨たちを一掃しても骸骨たちは依然船室から湧いて出てくる。
シンは腕をアサルトライフルに変えて骸骨たちに連射して粉砕するが、仲間が居なくなったのを見はからうかの様に次々に骸骨たちは船室から現れる。
シンは腕を元に戻して回し蹴りを打ち込もうとするが、グレネードランチャーを命中させられて吹き飛んでしまう。
「うわぁっ!!!」
倒れたシンに近づきながら骸骨たちがピストルを連射する中、シンは両手をマシンガンに変えると骸骨たちに撃って粉砕する。
シンは起き上がり、両手を元に戻すと新たに現れた骸骨たちに殴りかかるが、ピストルで撃たれてしまう。
シンは腕をアサルトライフルに変えると甲板中の骸骨たちを撃ち砕く。
だシンは腕を元に戻すが、新たに現れた骸骨たちにピストルで撃たれてしまう。
シンが倒れると骸骨たちはシンが起き上がらない様にピストルを撃ち続ける。
シンは蹲った(うずくまった)まま腕を大砲に変えると近づいて来る骸骨たちに魔力の閃光を撃ち放つ。
漆黒の閃光が光り輝くと甲板に居た骸骨たちの姿は無くなっていた。
「さて。中に入るかね」
シンは腕を元に戻すと船室の中に入って行く。
骸骨たちは侵入者に攻撃しようと銃を構えるがシンの拳や蹴りで砕かれてしまう。
シンの狙いは火薬庫だったのだが、物陰に隠れていた骸骨に狙撃されて倒れてしまう。
「ぐっ!」
集まった骸骨たちはシンを蹴ったり、剣で突き刺したりしてくる。
「うっ!があっ!!」
シンは骸骨たちを足払いで転ばせると飛び上がり、着地と同時に殴りつけて粉砕する。
見張りの骸骨たちを倒してシンは腕をロケットランチャーに変えて火薬庫に向かって撃つ。
爆発が起きたかと思うとシンは爆風で敵船の甲板まで一気に吹き飛ぶ。
シンが腕を元に戻すと甲板には奇妙な生き物が多数蠢いていた。
四肢が異様に長く、全ての爪が鋭く伸びている。更には全身に毛が全く無い上に病的な程に白い肌をした巨大な猿の様な生き物がシンを睨み、威嚇して鋭い牙を剥き出しにしてきた。
「ふん。悪霊か。お前らに付き合う程暇じゃねぇんだよ」
シンがそう言うと一斉に悪霊たちが襲い掛かって来る。
シンは独楽の様に回ると飛びかかって来た悪霊たちを蹴り砕く。シンに蹴られた悪霊たちの中にはそのまま消える者も居たが、起き上がった者たちは威嚇をしながらシンとの距離を詰めてくる。
「ガッツあるなぁ」
シンがそう言うと悪霊たちは飛びかかって来る。シンは蹴りで撃退しようとしたが、避けられて爪で押し倒されてしまう。
「どわぁ!」
シンが抵抗しようとしているのを見抜いた悪霊たちはシンを爪で斬り上げる。
「ぐはっ!」
宙に打ち上げられたシン目がげて悪霊たちが飛びかかるが、シンは蹴りで撃退する。
だが、そのせいで受け身は取れず、無様に甲板に倒れてしまう。
シンが無様に倒れると悪霊たちは一斉にシンに爪を突き刺してくる。
「がぁっ!!!」
シンが痛みに悲鳴をあげ、もがくと悪霊たちは顔全体をしわくちゃに歪めながら邪悪な笑みを浮かべる。
悪霊たちは爪でシンの身体をほじると肉を抉りながら爪を引き抜き、即座にもう片方の手をシンに突きさす。
「ぐあっ!!ぎゃあっっ!!!」
シンの悲鳴の方が猿の様な悲鳴になると悪霊たちはこれ以上無い程に醜悪な笑みを浮かべながらピチャピチャと汚らわしい音をたてながらシンの血と肉を味わう。
悪霊たちはシンの身体をほじりながら空いた片手でシンを斬り裂く。
そして、爪に付いた血をしゃぶりながら少しでも多く肉を抉ろうと奥深くまで爪を喰い込ませる。
シンはもはや、悲鳴をあげる事すら出来ずに堪えていた。
悪霊たちは「ギッ、ギッ、ギッ」と鳴くと両手の爪でシンの腹の肉を抉ると中から臓腑を引きずり出し、「貪る」と言う表現しか見つからない喰らい方をした。
もう、この時のシンの悲鳴は人間の言語では無く、捕食される動物の断末魔の様な物だったのであえて書かないでおく。
シンの身体が激しく弛緩したかと思うとシンは動かなくなったが、悪霊たちは気づいていた。
シンの身体は何が有ろうと「治る」のである。あらかた臓腑を食い尽くした悪霊たちが血走った眼で空っぽになったシンの身体を見続けると悪霊たちの目の前でシンの内臓が再生する。
悪霊たちの濁った眼が輝き、鼻息が荒くなると何ともおぞましい鳴き声が海に響き渡り、悪霊たちは狂喜して我先にとシンの内臓に喰らいつく。そして、あまりの痛みに意識が飛んだシンの目が再び開くとそこには、臓腑を求めて肋骨の辺りに手を差し込む悪霊の姿だった。シンは様々な臓腑を抜かれている痛みが身体中に伝わる中、全身に電気が走ったかのような衝撃が走り、おぞましい悪寒を感じた。それは有る臓器を触られた触感だった。
「や、やめろ。やめろ!!」
シンが嫌がるのを見た悪霊はその臓腑が美味い事を確信して爪を突き刺す。
その瞬間にシンの身体から大量の血が出たかと思うと勢いよく引き抜かれたのは心臓だった。もう意味も無いのにまだ弱く鼓動を打つ心臓を見た悪霊は目を輝かせながら「ギッ、ギッギッ、ギギー!」と叫んで意識を失ったシンに見せつけるかの様に美味そうに何度も口から出してはクチャクチャと咀嚼をして恍惚に浸って邪悪な笑みをいつまでも浮かべた。
悪霊たちはシンの内臓が復活するのを待ち切れずに耳を引き千切り、目をくり抜き、舌を引きずり出して貪った。
性器も食い尽くした悪霊たちはシンの身体が治らないので諦めて骨を噛み砕き、中の髄を啜り出した。
だが、シンの身体は悪霊たちの食欲の速度に対応していなかっただけで着実に治っていた。
だが、現存する体組織が不足していた為に魔力で惹かれ合うように集まり出した。
それは、血の中に宿る魔力も臓腑の中に宿る魔力も髄の中の魔力も同じである。
今までシンを捕食していた悪霊の個体がいきなり爆散したかと思うとシンの血肉が集まり、シンの身体は修復されていく。
シンを捕食する隙を窺っていた悪霊の個体は群がり続けた者たちが居なくなった為にシンの身体に近づいてきた。
集まったシンの肉体の左腕に悪霊が喰らいつくとシンの意識が明確になる。
身体中から悪霊の唾液、胃液、悪霊の血肉の臭いがする様な気がする。とんでもなく嫌気がさす。だが、左腕を貪っている者が居る事に昏い怒りを覚えたシンは目を開けると同時に右腕をライフルに変える。左腕に喰らいついている者以外に居ない事を確認するとシンは悪霊の頭をライフルで粉砕する。
シンが起き上がると左腕以外はほぼ治っていた。
「ったく。俺を喰うから死ぬんだ」
シンはそう言って起き上がると威嚇している個体に殴りかかると避けられて爪で斬り伏せられてしまう。
悪霊たちは倒れたシンの周りに集まると爪で斬り上げる。
悪霊たちは宙に打ち上げられたシンに群がる様に飛びかかるがシンに蹴られて砕け散る。
シンは着地すると手をマシンガンに変えるがまたしても飛びかかられて爪で斬り伏せられてしまう。
悪霊はシンを爪で斬り上げようとするがシンは爪撃を避けるとジャンプして着地と同時に悪霊を蹴り砕く。
別の悪霊がシンに斬りかかるが、シンは回し蹴りで悪霊を粉砕する。
シンは右手を拳銃に変えて悪霊に撃つが、避けられた上に斬り上げられてしまう。
宙に打ち上げられたシンに悪霊たちが喰らいつくとシンは斬り伏せられてしまう。
シンは魔力で悪霊たちを吹き飛ばすと起き上がり、腕をアサルトライフルに変えて悪霊たちを撃ち砕く。
シンは腕を元に戻すと独楽の様に回り、威嚇している悪霊に蹴りを叩き込んで砕く。
悪霊の最後の一体がシンに飛びかかるとシンはハイキックを打ち込んで蹴り砕く。
「仲間が居た時はこんなに苦戦しなかったもんな。やっぱり仲間が居ないと俺はダメなんだな」
シンはそう言うとジャンプして背中から翼を出して黒嵐号に飛んで戻る。
黒嵐号ではブラックが魔力で骸骨たちと戦っていたが、延々と湧く骸骨たちに消耗戦となっていた。
シンはブラックの魔力と骸骨たちの間に降りると腕をロケットランチャーに変えて骸骨たちに撃ち放つ。
「シン!?生きてたのね!!?」
ブラックの泣きそうな声を聞いたシンは笑いながら答える。
「当たり前だろ。俺は死なねえよ」
シンは爆炎の中に骸骨の影が見えると爆炎の中に飛び込み、骸骨を蹴り上げてから自分も後を追う様にジャンプして空中で何発も骸骨を殴り、蹴り落とす。
シンは着地すると右腕をショットガンに変えて骸骨たちに撃とうとするが、骸骨たちに蹴られて倒れた隙に盾を持った骸骨隊長に斬り上げられてしまう。
「うわっ」
シンは空中で体勢を立て直すと腕をロケットランチャーに変えて骸骨たちに撃ち放つ。
爆炎が広がる中着地したシンは手を拳銃に変えて爆炎の中の影に撃つが、骸骨隊長に盾で防がれた上に斬りつけられ、骸骨たちに蹴り上げられてしまう。
「ぐあっ。がはっ!」
シンは空中で体勢を立て直すと腕をロケットランチャーに変えて骸骨たちに撃ち放つ。
爆発が起きると骸骨たちは吹き飛び、骸骨隊長の盾は砕け散る。
シンは着地後腕をショットガンに変えて骸骨隊長を撃つが、ジャンプで避けられた上に落下の慣性を利用した剣劇で斬り伏せられてしまう。
「ぐあっ!」
シンは立ち上がり、腕をライフルに変えて骸骨隊長を狙撃するがジャンプで避けられて先程と同じ剣劇で斬り伏せられてしまう。
「んがっ!だぁっ!!」
骸骨隊長は雄叫びを上げて部下の骸骨たちを四ぼ寄せるがシンは起き上がり、骸骨隊長にフック、アッパーを打ち込み、落ちてきた所に打ち込んだストレートの拳から魔力を撃ち放ち、骸骨隊長と呼ばれて集まった骸骨たちを魔力で吹き飛ばす。
シンは両腕をショットガンに変えると骸骨隊長に追撃を打ち込む為に追いかけ、倒れている骸骨隊長に至近距離でショットガンを撃ち放つ。
「零距離射撃ダブルショットガン!!」
至近距離のショットガンを受けて骸骨隊長が砕け散るとシンは腕をアサルトライフルに変えて集まった骸骨たちに連射するが避けられた上に剣劇で斬り伏せられてしまう。
「ぐあっ!」
シンが倒れると骸骨たちが群がるがシンは腕をロケットランチャーに変えて骸骨たちに撃ち放つ。
爆風を受けてシンも吹き飛んだが、どうやら甲板の上の骸骨たちは一層した様だ。
「シン。大丈夫?向こうの船から悲鳴が聞こえて私、心配したのよ?」
ブラックの声を聞いてシンは笑う。
「心配かけてごめんな?俺は不死身だから心配要らねえぞ?」
シンとブラックが話していると敵船たちが急に黒嵐号から離れていく。
「ん?」逃げるのか?」
シンが舳先に走り様子を窺うと進路の先には大渦が出来ていた。
「ブ、ブラック。面舵一杯!このままじゃ大渦に自分から入っちまう!!」
6話読了感謝です。
今回のお話は大分グロいシーンも有るとは思うのですが、このお話はこういうのが有るのでR-15設定でやらせてもらってます。
次回は敵の海賊船も居る中で目の前に大渦が現れたシンたちは無事に乗り越えられるのかを書いていきたいと思ってます。
では、失礼します