その22
◇◇◇◇◇◇ その22
「では打ち合わせ通りにお願いします。」
涼子と健一はちょっとよれた服に着替え、髪をぼさぼさにした。逃走に疲れた犯人の風体ができあがりである。
小沢刑事達の乗った覆面パトカーは人ごみをかき分けながらローヴに到着した。小沢刑事も舞台の上の役者のような気分である。部下を指示し、午後四時きっかりにローヴへ突入した。
「殺人容疑で逮捕します。」
小沢は部屋に入る、と逮捕状を見せて、二人に手錠をかけた。健一と涼子は刑事数人に取り囲まれてローヴを出た。外はテレビカメラの砲列とやじうまの群れで大変な混雑である。群集を振り払いながら二人の乗ったパトカーは署に向かって走り去った。
署に着くと二人は別々の取り調べ室に入れられた。事情を知らない刑事が二人を一通り調べた後、本庁へ護送するためという名目をつけて極秘のうちにパトカーに乗せられた。そして某所で涼子と健一は丁重に降ろされ、二人は署に戻って来たのである。
「ご苦労様でした。」
小沢刑事が二人の労をねぎらった。
「小沢さん、鮮やかな手さばきだったわね。」
涼子が小沢刑事を誉める。
「いや、彗星伝説の二人に誉められるとは光栄です。」
照れて小沢刑事は頭を掻いている。
「さて、フォーチュンで動きを調べて見ましょう。」
健一がタブレットを操り、メールを探した。
「やはりうさぎへのメールはもう増えていませんね。ネタを仕込んでからマスコミが動き出すまでの時間はわずかに三〇分だよ。」
健一が報告する。
「この間に書き込まれたのは二五〇通です。すごい数だねえ。」
涼子もびっくりしている。
「これでSNSを利用して犯人をでっち上げる方法はわかったわね。」
涼子が小沢に向かっていった。
「面目ありません。いままではたれこみは有力な手掛かりだったんですが、たれこみを情報操作されちゃあ、どうしょうもありませんや。」
小沢は本当に困ったようである。




