その15
◇◇◇◇◇◇ その15
「そうだ。」
健一は荷物の中からタブレットを取り出し電源を入れると手早くフォーチュンへ接続した。
*************************
>あなた宛にメッセージが来ています。読みますか。
はいを選択すると最初のメッセージが読み出されて来た。
うさぎへ。
すみれを殺したのはお前だ。あんないい人をなぜだ。
*************************
「やっぱりな。」
健一がつぶやいた。
「涼子がみどりを殺したという情報をばらまいた奴がいるんだ。」
「ひどい事をするわね。誰かしら。」
「そいつがみどり殺しの犯人さ。」
涼子はメッセージの読み出しを続ける。
「犯人はうさぎだ。まちがいない。」
「地獄へ落ちろ、うさぎも死ね。」
「警察はうさぎを逮捕した。」
途中からみどりは面倒くさくなって読むのを止めた。
「最初に犯人がすみれをうさぎが殺したと犯人が書き込む。」
「そもそもその情報の真偽が怪しいんだけどね。」
「後は放っておくだけで半信半疑の奴が警察に通報し、嫌がらせのメッセージが山のように到着するというわけさ。」
「つまり、炎上ってわけね。」
「SNSって恐いわね。」
「ニュースでみどりの死亡が流されてみろ。もっと大変だぞ。」
「涼子、テレビをつけてよ。」
健一に言われてテレビをつけると丁度ニュースの時間であった。
「昨夜の女性経営者殺害事件の重要参考人のルポライター(女性、21才)が逃亡しました。この女性は被害者の同級生で警察が行方を追っています。」