その12
◇◇◇◇◇◇ その12
「お前、なにやったんだ?。」
健一は茶化したが涼子は真剣だった。
「冗談言ってる場合じゃないのよ。イヤーな、雰囲気なの。早く起きてよ。」
「わかった。」
健一はいつもと違う涼子の様子に慌てて飛び起きた。二人は急いで衣服を整えると玄関のドアを開けた。
「どうぞ、何の御用ですか。」
「ちょっと上がらせてもらっていいですかね。」
玄関ドアの隙間に刑事らしい若い男の靴先が差し込まれて、ドアが閉じられるのを邪魔すると、もう一人が玄関に入り込んだ。
「涼子、上がってもらいなさい。」
健一の声に応じて、二人の刑事は涼子に招かれて応接間に入った。
「小沢といいます。」
一人の刑事が代表して挨拶する。
「山城みどりさんをご存じですね。」
小沢刑事はさっそく切り出してきた。
「ええ、私の友人で昨日の夜会ったばかりです。」
「その山城さんが昨日の夜、殺されたんです。」
「えっ。!」
涼子はびっくりして声を上げた。涼子の様子はもう一人の刑事が観察していた。
「どこでですか。」
涼子は気を落ち着けて小沢に尋ねた。
「自宅ですよ。」
冷静に小沢は答えた。
「死因は調査中です。」
もう一人が付け加える。
「涼子さんは、昨日の夜、山城みどりさんに会っていますね。」
小沢は話しを続けた。
「ええ、みどりから連絡が会って、諏訪中央IC近くのボンという喫茶店で30分ほど話しをしました。」
「それからどうしました。」
「みどりはすぐに約束があるといって出ていきました。」
「じゃあ、残った方がいますね。」
小沢刑事が質問を続ける。
「一緒にきた浅野和子という人と11時近くまで話しをしていました。」
涼子は話し終わると健一の顔を見た。
「なんの話しでしたか。」
小沢はさらに突っ込んで来る。