1-xx. 第Ⅰ章のあらすじ
山で両親に育てられたケイは、15歳を機に王立学園に入学することになった。そこで剣力測定の入学試験で世界最強金属オリハルコン製のトルソーを斬り壊し、さらに母から伝授された聖魔術で修復してしまうという騒動を起こす。
学園長ジマッツァに、両親がかつて魔王を倒した英雄「剣帝ケン」と「聖姫セイ」であることが明かされ、ケイは驚く。両親は師であると息子にまでへりくだる学園長に申し訳なく思いケイは謝罪を試みるも土下座で床が抜け、女子浴場に落下。翠の瞳を持つ全裸の少女と気まずい遭遇を果たす。
ケイは王都の別邸に住み、執事バスチァンと侍女ドメに過保護にされながらも、普通の生活を目指す決意を新たにする。入学式直前、四大公爵家のギルレイによるキナイア商会子息チャッポへの乱暴に介入し、圧倒的な力の片鱗を見せ追い払う。
入学式では、クラスメイトで学園長の孫娘ミルマリ=ピオネムから強烈な好意を示される。そして再び翠の瞳の少女と邂逅。彼女、セラフィナは生徒会長かつ王家ヴァルグレインの王女であることを知る。
学園生活が始まると、チャッポ、ミルマリに加え、法典院審議官の娘で合理/功利主義でケイを目の敵にするユスティ、聖姫である母のことを知るBL好き聖教会修道女ルミナ、四大公爵家の一人で槍使いでケイに挑んでボコられ改心するグリオン、錬金術の天才ラエル、有名菓子店の娘クッカなど、多彩なクラスメイトと交遊、時に敵対する。
部活動選択では、魔術や武技に興味を持たないケイは自由テーマでの創部を提案。演習場で特技「流気」を披露し、魔素や体力の効率化を可視化してクラスメイトに体験させる。三日で部は認可され、17名が入部。部活は呼吸法と意識集中を行い、ケイは参加者全員の流気活用を目指す。クラスメイトと距離を縮め、見学に来た学園長や教員もその価値のすばらしさを身をもって確認する。
休校日にはミルマリの邸宅で昼食に招かる仲に。父親のピオネム伯爵は、学園長の伝手でケイの両親が英雄であることを知り、ミルマリの前でそれを明かす。彼女は近くて遠いケイの存在に心が大きく揺れ動き、本気の「好き」宣言をされる。が、朴念仁なケイは仲間意識のままで気づかず。
放課後の『ケイ部(仮)』では流気の瞑想も順調に。部員たちは着実に流気を成功させていく。ある日、セラフィナ王女、弟の王子ノエル、護衛ブラドレが見学に訪れ、ケイは流気技能を王女に披露。セラフィナは翌日から参加希望を宣言するが、シスコンのノエルはケイが気に入らず、下賤と呼び決闘を申し込む。
翌日放課後には話が大きくなってしまい、演習場で大勢の学園生徒を観客にした決闘が始まる。ノエルは究極王技を駆使するも完敗。ケイは勝利の報酬としてセラフィナに二人きりの面会を望む。
王城に赴いたケイは応接の間で王女と歓談し、長く抱えていた「浴場で裸を見てしまった」謝罪案件を解消。セラフィナもまた弟ノエルの暴走について謝罪。彼女と母の王女はケイが剣帝と聖姫の息子であることを知っていると明かす。 セラフィナは面会後、ケイに惹かれ始める。また、女王レイアーネは公務でケイに会えなかったことを悔やみ、剣帝ケンへの想いを馳せる。
一方。ケイの両親であるケンとセイ、そしてドラゴンのサルマは、かつて倒したはずの魔王の居城を再訪する。魔王は核だけの異形として滅さずにおり、人族に無害としつつも新たな生物を生み出そうとしていた。理由は抽象的で定かではないが、三人は魔王に変わる新たな危機が迫っていると察知。魔王が伝える不穏、原因とみられる〝黒い石〟の調査を進めるつつ、かつての仲間たちへ報告に動き出した───




