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デッドリィ・ストライプ  作者: 鳩峰浦
第一章 デッドリィ・ストライプ
43/58

42 黒い装甲具

「了解!」

 何でか分からないけど、急いで橋に戻る。

 後ろからワラワラと装甲具5体がついてくる。

 

 古びた鉄製の橋は、装甲具の重みでぎしぎし揺れる。

 

 「西園寺、急いで渡りきって橋を見ろ。データを転送するから、その画像データに表示された橋のポイントを、出力最大にして、思い切りぶん殴れ」

 「了解でーす!」


 よく分からないけど、話はシンプル。こういうときは従うのみ。


 結構なスピードで5体の装甲具ががちゃがちゃと後ろに迫ってくる。あたしはもう一段ギアを上げて、一気に橋を渡りきる。


 「西園寺! 今だ! 急げ!」

 

 あたしは橋を渡りきった足の勢いで一気に反転し、橋の方を向く。腕一本分の距離まで、先頭の装甲具が迫っていた。あたしをぶん殴ろうとする装甲具の腕が伸びてくる。

 その映像に重なって、赤い三角のポインターが橋の上に点滅する。

 

 「ぉおおおおぁ!!」

 

 あたしが右の拳を振り下ろした瞬間、目前に迫っていたC級装甲具の腕が、轟音とともに消え去った。崩落していく橋とともに、水路に流れ込む海水の中に5体の装甲具が飲み込まれていく。

 全身が浸水し、安全装置が働いて、5体の装甲具は活動を停止し、海水の上をぷかぷかと浮いていた。

 

 こんなに老朽化してたんだ。

 

 「西園寺、風間のフォローに回ってくれ」

 「あっちの橋は落とさないんですか?」

 「あっちはまだ新しい。多分無理」


 5体乗せて、一撃で壊せるのがあたしの方だったのか。


 モニターを切り替えると、風間君が橋を渡りきり、追ってきたコングⅡの拳を左手の防護盾で弾いたところだった。少し風間君の体勢がぐらついている。C級の力じゃない。

 風間君が一歩下がって間合いを取る。追い打ちをかけてきたコングⅡのわき腹に、あたしは跳び蹴りを放って飛び込んだ。


 ******


 サイクロンが振り下ろした腕をかわす。勢い余って地面に直撃した打撃によって、地震のような振動が起きる。


 あんなもん食らったら潰されちまう。


 背後から迫ってきたアックスⅡの腕をかわしざま、体を反転させて、アックスⅡの後ろを取る。バッテリーハッチに手をかけようとしたその時。


 ずっと視界に入れていた、あの黒い奴が消えた。

 背中に悪寒が走る。


 装甲具反応。


 確認する間もなく、横っ飛びでその場を離れる。


 アックスⅡが、黒い奴の回し蹴りで弾け飛んだ。


 敵も味方もない。理性ごとぶっ飛んでる。

 スピードも、イザナギの自動追尾モニターを、一瞬振り切るレベルだ。

 黒い奴を再度ロックオンし直す。


 まずい。

 アックスⅡ2体とサイクロンが壁になる。

 こちらを向いていた黒い奴が背を向けた。

 「風間! 英理! 黒い奴だ!」


 ******

 

 瞬間移動じゃあるまいし。

 一瞬、イザナギのレーダーから消えた。

 信じられない、さっきまで小松さんの方にいた黒い奴が、風間君の背後に迫っていた。

 

「風間君!」

 

 黒い奴が腕を振り回す。とっさのところで反応した風間君がガードを固めるが,あっさりと吹き飛ばされ,工場の壁に叩きつけられる。

 あたしは風間君の方に向かおうとしたコングⅡの背中に蹴りを入れて地面に倒す。そこに黒い奴が突進してくる。あたしは大きく距離をとって黒い奴をかわす。

 今度は橋を渡りきったリキラクが風間君に近づいていく。

 

 邪魔だ邪魔だ。

 

 やばい,焦る。

 「風間君! 動いて!」


 「っ……。すみませ……!」


 風間君の顔を黒い奴が踏みつぶそうとする。すんでのところで、風間君は左に転がり、その勢いで立ち直る。


 殴りかかってきたリキラクの右腕を両手で挟み、そのまま間接を決めて投げ飛ばし、地面にうつ伏せにする。流れるような動きで、風間君がバッテリーを引き抜く。


 すごい!やるじゃん!


 てか、風間君、そんなんできたの?


 感動してる間に、あたしに黒い奴が飛びかかってくる。風間君には、残りの6体の装甲具が群がっていく。


 ……きつい。

 

 黒い奴の右手が発光した。

 

 「何回もそんなの食らわないし!」

 

 後ろに飛んで、ローラーでさらに距離をとる。でもこれじゃ、風間君と小松さんからどんどん離れちゃう。早く加勢しないと……。

 

 黒い奴が飛び込んで来る。でも、何故かこないだほどの迫力がない。

 2回目だから、あたしが慣れたのか? 前回のデータもあるからか?

 

 何にせよ、これなら何とかなりそう。

 

 「倒す!」


読んでいただいてありがとうございます!佳境です!

もしよければ評価・ブクマ、感想等いただけたらとっても嬉しいです!

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