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13

 これは罰だ。

 湧き上がる憎しみと情欲を必死に抑えながら、私は両手をそっと女の首元に近づけた。

 足元にはガムテープで手足と口を塞がれた女が一人。

 睡眠薬が効いているのか、すうと寝息を立てて眠っている。

 これから、私がこの女のすべてを終わらせる。

 そのことを想像すると、私の股間は酷く膨張し、熱を帯びた。

 あくまでも、これは制裁なのだ。私は自分に言い聞かせる。

 しかし、鼓動はますます早くなるばかりで、身体の疼きは一向に収まらない。

 渇き。そう、渇きだ。

 一度でもあの甘美な倒錯を味わってしまったら、さらにそれを求めずにはいられない。

 そういう類の渇きが、私を支配していた。

 女の安らかな寝顔を見つめながら、私は少しずつ、指先に力を込めていった。

 柔らかく透き通った肌に、親指がゆっくりと沈み込んでいく。

 肌越しに伝わる女の体温の温かさが、これから不条理に奪われようとしている生の現実感をより一層引き立たせる。

 私は情動に耐え切れず、首元を絞める力を一気に強めた。

 刹那、女がかっと目を見開いた。

 自分の置かれている状況を、まだ理解できないのであろう。女はしばらくの間、ぼーっと虚空を見つめていたが、やがて息苦しさに気付いたのか、熱湯で茹でられたカエルの如く暴れだした。

 必死に足掻く女の姿を見て、私の胸は多幸感で満たされていった。

 しばらくその様子を眺めていると、やがて女は抵抗することを諦めたのか、またぼーっと虚空を眺めるだけになってしまった。そして、びくりびくりと数回ほど痙攣した後、完全に脱力して息を引き取った。

 私は、指先に込めていた力を緩めた。

 いつの間にか、私の下着はぐちゃぐちゃに汚れていた。

 しかし、そのようなことを気にする余裕など私にはなかった。

 今は、ただ、この幸福感に浸っていればいい。

 それだけだった。

 不意に、手の甲に冷たい触感を覚えた。

 見ると、女の首から汗が一筋伝い落ちている。

 私はそれをそっと舌ですくい、味わい、嚥下した。

 香水の甘い香りが鼻孔をくすぐる。

 それはまさに、死という花から生み出される蜜の香りであった。

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