俺はいわゆるオタク野郎
「はあ。」
ここは太平洋のどこであろうか。つかの間の休憩中に想いをはせていた。
俺は記憶を辿っていた。どこでどう間違えたのだろうか。それとも今の状況は俺の普段の行いからくるものであり、必然であったのであろうか・・・。
今となっては懐かしい。日本で日常生活を送っていた頃が・・・。それはまるで遠い過去かの様である。
===== まだ俺が日本でいた頃 =====
ある日に俺はアニメイベントにいく。駅から歩いていける、川沿いの公園だ。
いつもは人通りもまばらな田舎なのだが、この日は違った。
これは県外からも訪れる人がいるという、盛大なアニメイベントなのである。
アニメ声優のトークショー、コンサート、展示会、ゲームの体験・・・等々、来た人を飽きさせない位にバラエティーに富んだコーナーが並んでいる。でも俺の目当てはただ一つだ。他はそれなりに見回す程度なのだ。そしてそのお目当てとは・・・。
清流沿いに人がたくさんいる。今日は天気も良く、心地よい風が吹いている。そしてその人ごみの中にいる人とは・・・。
これは正に非日常そのもの。奇抜なキャラクター、セクシーな女性、可愛い子達・・・。そうこれはコスプレイベントなのだ。
綺麗なお姉さんの西洋プレードのレプリカを持った勇ましい女騎士・・・。元気な子のアクションアニメ主人公。お菓子のマスコットの中年親父もまた微笑ましい。
それはそれでとても楽しいのだが・・・。ひときわ目に着くキャラたちがいた。それは・・・。
制服女子キャラ・・・。何をいまさら制服(?)、と思われるかもしれないが、それは特別な事なのだ。
実際に制服を着用しているアニメキャラは多い・・・。日常系からSFものに至るまで、特に女子中高生はキーとなるキャラだったりする。それに制服のデザインも各々特徴があり、派手だったりする。色使いが原色系でリアルにみると、不自然な感じがするのである。でも・・・・、そこがまたいい・・・・!
俺は礼儀正しい人物を装い、制服コスプレの女の子の写真撮影を試みるのであった。勿論可愛い女の子は人気が高い・・・。撮影には行列に並ばなければいけないのだ。でも今の俺は礼儀正しい男・・・。こうして制服女子をターゲットに絞って、カメラに収め続けるのであった。
「ふう・・・。」
一仕事をやり上げた気分だ。もう俺としては思い残す事は無い・・・。
ところがそれで終わらなかったのである・・・。
何か俺のレーダーが反応したのであった。
今思えば、これが運命の分かれ道だったのかもしれない。
このまま大人しく帰宅すれば良かったものを・・・。
彼女はポツンと人込みの淵に立っていた。何やらぎこちない雰囲気だ。
白人の制服女子。
それは決してメイクではなく、本当の白人・・・。
その時、俺は確信した。
恐らく彼女は今回が初めてのコスプレなのであろう。キャラクターの制服の着こなしも慣れていない感じだし、表情もなんだか硬い・・・。そう言った要因が重なって、周りも声が掛けにくいのであろう。
でも・・・、それがよい・・・・。
「ちょっと大丈夫でしょうか?」
俺は無難な男を装い声を掛けた。
「は、はい・・・・。」
女の子は挙動不審に返事をした。
「お写真よろしいでしょうか。」
「は、はい・・・!」
その時、俺はニヤッと笑ったであろう。
彼女には色々と注文をつけてポーズを取ってもらった後にしゃがんでもらった。戸惑いながらも女の子は俺の指示に従い続けた。狙い通りの絵が取れた。しゃがみパンチラショットにも成功した。
さらに調子に乗った俺は女の子を至近距離から撮影した。それでも彼女は拒否しなかった。胸元からブラが妖しく覗いていた。
やはり俺の見立ては正しかったのだ。
「有難う。」
俺はペコリとお辞儀をして、潔よく彼女を別れた。
しかし俺はここで終わらせるつもりは毛頭なかったのである。
~~~~~ 金に糸目はつけない。 ~~~~~
どうも俺は金銭的才能なあるらしく、投機的な事で儲けていた。因みに投機とはギャンブルの要素の強い投資である。
いつ仕事を辞めても、暫くは食っていける自信はある。
気持ちに余裕があるから、職場でも飄々とした態度でいるのだ。
よって俺は適当にサラリーマンを続けながら、趣味に生きていられるのである。
俺は探偵を雇った。彼女の素性は簡単に分かった。
名前は斉藤恵という。地元の母親と二人暮らしだそうだ。いくつかの写真も手に入れた。
俺は彼女に脅迫まがいに迫った。彼女は怯えていた。それが俺の加虐心をますます煽ったのである。
俺は無理やり彼女をホテルに連れ込み、恥ずかしい姿を撮影した。
もはやコスプレなどどうでも良い。斎藤恵は俺の性奴隷に成り下がったのだ。
有頂天の俺は自宅に戻り、明日からの生活を楽しみに夕食をとった。そして寝る間際まで、彼女をどの様に虐めてやろうか考えたのだった。
しかし・・・。
探偵が消された。
そして俺は拉致された。
今思えば、彼女は反社会的な組織の人物の娘だったのであろう。母子は援助を受けて暮らしていたのだろう。
つまり俺は地雷を踏んでしまったのだ。
===== 休憩が終わった 回想終 =====
今の俺は何処かの海で、蟹漁に従事している。それは強制的な労働だ。
強制労働以外では、食うこと寝ることしか出来ることはない。
俺は体調を崩すまで働かされ、そして短い人生を終える事であろう。
~ 俺はいわゆるオタク野郎 ~ < 完 >