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全ての想いを君に  作者: ねこのけ
第六章
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第九十九話 開戦前夜


 イリーナ達が館に来てから四日が経った。私達の居場所がバレた以上すぐに捕まえに来るものだと思っていたけど、そんな事は無く私は無事に朝を迎えられていた。


「おはようございます!!」


 相も変わらず元気でうるさい事この上ないラウラの声によって私は嫌々起き上がった。こいつのせいで早寝早起きの健康的な生活を強いられてしまっている。


「お食事お持ちしますね!!」


 そうラウラが言うと、ドタバタと足音を立てて食事を貰いにどこかへと走って行ってしまった。あんまり朝は食欲無いから別にそこまで急がなくても良いのだけど。

 そう思いながらカーテン越しに朝日が差し込む部屋の中、私は背筋を伸ばすように体を伸ばした。


「んっっ~~~っしょっと。ねっむ」


 面倒くさいから切ってなかったけど流石に髪の毛邪魔だなぁ。そろそろ切りたいしロタールに今度頼んでみるか。

 そうして私がのそりのそりと起き上がってブラシとヘアオイルを探していると、コンコンと元気なノック音が聞こえてきた。


「はいどうぞ~」

「失礼します!」


 ガラガラと私たちの食事の乗った台車を押してラウラが入ってきた。それと同時にスープの良い匂いが部屋の中に入ってきたのを感じた。


「あ!ブラシは私が持ってます!私がやるので座っててください!!」


 ラウラが使用人服からブラシを自慢げに取り出していた。かなり物の良い奴だから、そんな扱いして欲しく無いんだけど。

 そう不満を抱きつつも眠い目を擦って椅子に座ると、ラウラが目の前に食事を配膳してくれた。


「じゃあ食べててくださいね!」


 朝から元気な子供だなぁと思いながら私が食事を始めると、早速ラウラが私の髪の毛をブラシし始めていた。


「今日のご飯美味しいですか!?」

「美味しいよ」

「そうですか!良かったです!」

 

 あんまり私が答える気が無いい感じで返事しているのに、ずっとこんな感じで質問を飛ばしてくる。ゆっくり食事を取りたいから話しかけないで欲しいのが本心なのだが。

 

 するとその時また部屋の扉がノックされた。それに反応してラウラがブラシを置いて扉を開けに行ってていた。


「し、失礼します」


 どうやらノックをしたのはルーカスとカーラだった。しばらく役目も無いから部屋に待機してもらってたけど、こんな朝から何か用事でもあるのだろうか。


「どうしたの?」


 ルーカスはともかくカーラとか良く分かんない怖い子だしあまり関わりたくない。こんな荒んでるカーラとか見たことないし、やっぱりエマちゃんが死んじゃった影響だろうか。

 するとルーカスが周りを気にしながら部屋の扉を閉め数歩前に出て小声で話しかけてきた。


「あ、あの。実は僕達ある提案をされてて・・・・」


 ここから聞いた話を大まかに纏めるとこうだ。

 今日か明日に私たちはロタールに暗殺される。その時にルーカスとカーラに裏切る様ロタールに提案されて承諾したと。それで交渉の結果私の身の保証を得られたから、恐らくロタールの目的はあのクソジジイを殺す事だと。でもその提案にカーラはあまり乗り気ではないらしく説得してくれないかと。


「ってかそれ私が殺されない保証はあるの?」


 話を聞いてて思ったけどルーカス自身は戦えない訳でもし私が殺されるってなったら、この広い館でどうやって逃げる算段をを立てているのだろう。


「そ、それは・・・・」


 そこまで考えてない感じか。状況が状況なだけにルーカスも混乱しているのかもしれないけど、あまりに無鉄砲すぎやしないか。


「で、でもエルシアの事は保護してくれるってロタール様が、、、、」

 

 すると今まで黙っていたカーラが口を開いた。随分身長伸びてるけど今何歳だっけか。


「ロタールが殺す気ないって言ってるなら、エルシアさん的にルーカスさんに協力する義理ないでしょ」


 どっちでも良いけどそれはそうなんだよな。私がロタールに裏切りを提案されていない以上余分な事して殺される可能性だってあるんだし。てかそもそもロタールの言う事を馬鹿正直に信じるのもどうかと思うが。普通に方便であっさり私もろとも殺すと思うのだが。

 

 てかそれよりもだけどあのクソジジイは並大抵の手段じゃ暗殺出来ないのも、こいつは分かっているのか。


「なんでも良いんだけどさ。ルーカスはあのクソジジイを殺せると思ってるの?」


 私も何度もやり直して大体の元凶のあいつを殺そうとしたけど、どれもこれも全部失敗している。だから諦めてあいつの元上手く生き残る方法を模索してきたのだし。


「で、でも後で聞いた話だと百人は超える人を集めるらしいよ!だからさ!」


 百人か。まぁメンバー次第だけどあいつからしたら逃げるのは余裕で出来そうな人数だな。やっぱりこの話は聞いていない事にして協力しない方が良いな。私としては今死のうが生きようがどうせやり直しになるからどっちでも良いけど、死ぬのは痛いから先延ばしにしたいし。


 でもルーカスからしたらあのクソジジイから逃げ出せる千載一遇のチャンスに見えるのだろうな。私もこれが初めての人生ならそう思って、この提案に乗っていただろうし気持ちは分からんでもない。


「まぁ私は良いかな。ルーカスが勝手にやるのは何も言わないけど」


 というかあのクソジジイの事だからその辺の計画も察知してそうだし、大方成功しないのだろうけど。

 てか成功するなら次の世界で私がそれ採用してやる。

 私はそう思っての拒絶だったけど、ルーカスはそれ以上粘るつもりは無いのか肩を落としてしまっていた。


「・・・・・そう。分かった」


 今まで病弱気味な事もあって何も出来ていなかったもんな。いつもの世界だとフェリクスがそこまで頭良くないから代わりの頭脳役として活躍してたんだけど、この世界はあいつがいるせいで無理だったからな。それにルーカスの体調がより悪い世界引いてるし、踏んだり蹴ったりなパターンだな。


「カーラちゃんはまだ何かあるの?」


 ルーカスが残念そうに部屋を去った後何故かカーラちゃんだけは部屋に残っていた。まだ何かあるのかと黙りこくっている彼女を窺っていると、意を決したように口を開いた。


「私には貴女が昔とは別人のように見えます。貴女は誰なんですか」


「・・・・・誰って私は私だけど」


 昔っていつの事だろうか。カーラが来たときはエルシアとしての私を演じてはいたけど、その時の事を言っているのかな?確かに今はそんな事気にせず割と素で生活はしているけど、そこまで変わったかな私って。


「なんかこう・・・・昔は人間ぽかったと言うか感情が見えたというか・・・・」


 十歳前後だろうに随分周りの事を見てきたんだろうなと伝わってくる。

 本当の事を伝えても良いが分からないだろうし、そしそれがあのクソジジイに伝わると面倒くさそうかと思い、私は立ちあがってカーラの頭を撫でた。


「私だって人間だから変化するのが普通なんだよ。だって着ている服ですらこんなに変わったんだから」


 そう昔の私はまだいるよと言わんばかりに、優しい笑みを浮かべた。すると所詮まだ子供なだけあってか、それで安心したように頷くとカーラは部屋から出て行ってしまった。

 聡いとはいえ十歳だしあんなものだろうな。でもどこか私に似ている気がして、珍しく子供を嫌いに思わなかったかもしれない。流石エマちゃんの妹だし、次の世界では助けてあげるか。


 そう私が椅子に座り直して、冷めかけた朝食に手を付けようとするとラウラが私に頭を向けてきていた。


「何」

「撫でてくれませんか!」


 やっぱり子供は嫌いだな。こいつみたいに言っている意味も分からないし支離滅裂で、理屈では動かないのが普通なんだ。

 そう嫌々ながらもうるさくされたらたまった物じゃないと、頭を撫でてあげて私の朝は過ぎていったのだった。


ーーーーー


「ふぅん。やっぱりねぇ」


 あの眼鏡の子が不用意にエルシアにペラペラ喋ってくれたお陰で完全に裏が取れた。まぁどっちにしても既に事は動き出しているのだけどね。


「じゃあナイフでも研いでおかないとね」


 今の準備なんてそれで十分だ。少しは期待したけどそれでも警戒しすぎて色々手を回したけど、元々低かったけど更に期待外れだったよ。ちょっと大事にしすぎたけど多少紛れがあるなら、このつまらない騒動も面白くなるかな?

 

 そう私が階段を下りていくと、その当人であるロタール君がまるで私を待っていたかの様に立っていた。


「ちょっと茶でも飲まないか?」


 そういえばロタール君って貴族の癖してお酒が嫌いなんだっけか。


「せっかくのご当主様のお誘いですからね。断る理由ありませんよ」


 私がそう言うと少しだけ嫌そうに顔をしかめていたけど、そういう腹芸も苦手なんだっけね。そう所が成長できないから私が期待外れだと切り捨てた理由なんだけども。


 そうしてロタール君に招かれて外に出ると庭が良く見えるテーブルの所に座らされた。どうやらここでお茶を飲むらしいけど、おっさん二人で飲むにはちと場違いな気もするのだけど。


「計画は進んでいるのか」

「順調だよ~」


 まぁ何も進めてないんだけどね。でもロタール君が裏切る以上今動いたってしょうが無いしね。


「私はお前がいないとここまでの貴族には慣れなかった」


 私の事嫌っていると思ってたけど、そういう所はちゃんと認識出来ているなんて少し感心だね。でも君が十年ぐらい前に中央追い出されたの私が原因だって、気付けてない辺りやっぱり落胆せざるおえないのだけど。


「その事は感謝している。でも今回のは別だ」


 今までは一応隠そうとして来ていた負の感情をありありと出して、ロタール君が私を睨んできていた。


「この地位も財産も賭けてお前の計画に乗ったんだ。あまり勝手な事をされたら困る」


 最初は一任するって言ったくせに自分に都合が悪くなったらこれだ。最初から自分が動いてればよかったのに、本当にこういう所がダメだよなぁこの子は。それと違ってフェリクス君は色々自分で動いてくれて予想が出来なくて面白いし、目の前のこいつと違って実力も頭もあるから目移りするのは仕方ないよ。


「聞いているのか」

「聞いてる聞いてる。それで何?」


 もういっその事ここで殺しちゃっても良いかな?さっきの眼鏡の子の話的に期待できそうな私の暗殺計画じゃなそうだし待つのも面倒くさいな。


「これ以上勝手をするなら私はお前を処分しなければいけない。だから大人しく、、、」


 その時いつもの使用人の男が館から飛び出すと、すぐにロタール君を見つけて駆け寄ると耳打ちをしていた。

 するとその話を聞くにつれ焦ったようにロタール君の目が見開かれて行って、次に私を睨んできた。


「貴様何をした」

「ん?いやぁ?何も?」


 私がそう答えると分かりやすく舌打ちをして館の中へと走って行ってしまった。もう明日か今日には本国の軍が来るって言うのに気づくのが遅すぎだよ。


「いやぁお茶美味しいねぇ」


 この様子だとやっぱりあの宰相の子に伝えなくても良かったかな。でもあの子にとってもロタールは邪魔だろうしいつかの貸しという事にしておこうかな。前はお金貰ったのにエルシアを処刑台から逃がして契約反故しちゃったし、そのお詫びもかねてそういう事にしておこう。


「今日の夕飯は何かなー」


 私は慌ただしくなり始めた館の中へと戻って行ったのだった。


ーーーーーー


 私たちの馬車はロタール様の館での任務を終えて、一路帝都を目指して進んでいた。色々あったが結果としてエルシア様のいる事は確定したし、後は本国に伝えるだけで私らの役目は終わりだ。


 そうして任務を終えて三日目の夜の事だった。あと二日弱もすれば帝都という所で私達は野営をしていたのだが、帝都の方面の道の先から地面を揺らすような轟音が向かって来ていた。


「・・・・なんでしょうね」

 

 私がそう隣で焚火を弄っていたアーレンス少佐に聞くと、オレンジ色に揺れる光を反射した顔を上げた。


「戦争でも始まるのですかね。千人ほどは居そうな音ですが」

「・・・・音でそこまで分かるんですね」


 この人の耳はどんだけ良いのだと驚いたが、まぁこの街道は南に行くとき必ず通る道だから、大方また南の国と小競り合いでも起きたのだろう。それにしてはかなりの大規模な援軍な気がするけど。

 

 そう二人で真剣に話していると割り込むようにイリーナ少尉の間延びした声が聞こえてきた。


「そんなの良いから飯まだか?」


 するとアーレンス少佐はイリーナ少尉の方を見て不機嫌そうに顔をしかめると。


「そもそも貴様がやるべき事であろう。やってもらっているのだから文句を言うな」

「でもそっちから進んでやってたじゃねぇか」

「だからそういう事では無くてだな・・・・」


 相変わらず二人は相性が悪いと言うか、イリーナ少尉が軍隊とか組織に向いていない感じがありありとしていた。まぁそれでもなんだかんだアーレンス少佐も許している感じがするから、意外に仲が良くなりそうではあるけど。


「まぁまぁその辺にしておいて。もうそろそろいい感じになったのでは?」


 私がそう言うと思い出したようにアーレンス少佐が焚火の上にあった鍋の蓋を外した。すると中から黄金色の液体の中に様々な野菜が入ったスープの姿が見え、コンソメの良い匂いが辺りに広がった。


「料理お上手ですね」

「別にこれぐらい普通ですよ」


 アーレンス少佐はそう言っているけど大体の上流貴族なんて料理しないし、してもこんな家庭的な物は作らない。見た目は厳しそうで堅物って感じだけど、意外にこういう所があるのだと驚く。


「熱いから気を付けてください」


 アーレンス少佐が取り分けもしてくれて器にスープを移して私に手渡してくれた。そしてさっき言い合いしていたイリーナ少尉に対しても。


「ほら貴様もだ」

「お、旨そうだな。ありがとな」


 もう諦めたのかアーレンス少佐は、イリーナ少尉のタメ口には反応しなくなっていた。

 そんな二人を見ながら私はパンを取り出して全員に配ろうとすると、アーレンス少佐はもう何皿かにスープを入れて立ち上がった。


「どうしました?」

「従者達にもと思いまして」


 それだけ言って馬車の番をしていた御者と護衛にスープを手に届けに行ってあげていた。まだ寒いからアーレンス少佐なりに気を使っているのだろう。


「案外あの人優しいよな」

「・・・そうですね」


 あんな人がなぜ左遷されていたのかが気になってしまう。能力はかなりあるようだし気配りだって出来て、家柄も申し分ない。士官の足りないこの国ならあの歳だと中佐かそれ以上の階級がありそうなものなのに。

 って、今はそうじゃなくてイリーナ少尉を注意しないと。そう私は目の前に座るイリーナ少尉を見た。


「ちゃんと上官には敬意を払ってください。アーレンス少佐は許してくださってますけど、他にやったら言葉通り首が飛びますよ」


 これからイリーナ少尉が軍内で生きていくなら、最低限の礼儀を弁えて欲しい。するとこちらも案外聞き分けが良いのか反発はしてこなかった。ただ単にアーレンス少佐が嫌いなだけなのだろうか。


「・・・・わかっt、りましたよ」


 だがイリーナ少尉からは、敬語に慣れていないのかまだタメ口が出そうになっていた。まぁ聞いた話そういう教育は受けていないっぽいし、これからゆっくり私が教えてあげるか。少なくともフェリクス君が信用しているから悪い奴では無いのだろうから。


「貴様はその歳で敬語も使えないのか」


 すると従者達と雑談をしていたアーレンス少佐が、丁度良く戻ってきていたようでイリーナ少尉を言葉通り見下していた。


「あ?今練習してんだよ」

「敬語抜けてますよ~」


 これは先が長そうだなとイリーナ少尉とアーレンス少佐を窘めていると、さっきから聞こえ続けていた轟音がすぐそこまで迫ってきた。夜中だと言うのに随分強行軍をしているっぽいけど、何か急がないといけない程の案件なのだろうか。

 

 そう疑問を抱きつつも関係のない事だと私達が夕食を取っていると、その軍の先行部隊らしき兵士たちが私たちの馬車を見つけて駆け寄ってきた。


「フェレンツ中佐ですね!?」

「え、えぇまあそうですけど」


 中佐と言っても権力も部下もあまりいないのだが。

 そう自虐を心の中で思っていると、やたら急いでいるのか私の返事を聞くなり胸元から何か伝令を見せてきた。


「勅命です!申し訳ないのですがご同行をお願いしたいです!」


 そう差し出されたやけに紙質の良い手紙を受け取って中を開けると、目の前の兵士が言うように陛下からの手紙だった。てか事前に聞かされていない以上突然決まった事なのだろうか。そう思いながら手紙を開くとその強行軍の意味が分かった。


「ロタール様を討てと、、、」


 私がそう呟くとアーレンス少佐も驚いたように私の顔を見ていた。イリーナ少尉は意味が分かってないのかどうでもいいと思っているのか、相変わらずスープを啜っているが。


「反乱を企てているとの事です!ですので急ぎ支度を済ませていただきたく!!」


「え、ええ。それは分かったのですが、私達が行った時にはそのような反乱の様子は見えませんでしたよ?」


 イリーナ少尉の話からしても館内には見張りはいなかったし、最後館から出るときも兵士が並んでたとは言え十数人程度だったから、あれで反乱を起こすわけないと思うのだが。それに今その反乱を起こす意味なんてないはず・・・・。


「それは自分にも分かりかねます!詳しい事は後でブリューゲル大佐にお伺いを立ててください!」


 まぁ親書を持っているとは言え大尉にそこまで分からないか。私はそう一度疑問を収めてイリーナ少尉とアーレンス少佐に指示を出してすぐに身支度を始めた。


「私達が先導すればいいのですね!?」

「そうです!自分達と一緒に進ませろとの指示ですので!!」


 じゃあ私たちは実質偵察任務をさせられていたって事なのだろうか。どうも誰かの手のひらの上で動かされている様で気に食わないな。

 

 そんな疑念を抱えながら私達は荷物を纏めて馬車に押し入れると、すぐに乗り込んで御者に馬を走らせた。すると後ろからは馬にまたがったさっきの大尉達の部隊が追いかけてきており、その更に後ろには本隊らしき大きな影が見えた。


「また私の睡眠時間が無くなりそうだなぁ」


 私は車窓の縁に頬杖を突きながらそう深くため息をついたのだった。

 

 そうして私達の馬車は一度も休むことなく進み続け、三日かけて進んできた道を一日で駆け戻った。そして私たちは次の日の夜にはロタール様の館付近に到着していたのだった。





 


 




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