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18.トモキア接触作戦

俺はヴェスパーの言う通り、トモキアの参加するイベントを徹底的に調べ上げた。


しかし、結果は惨憺たるものだった。


やつはまず表舞台になかなか出てこない。


出たとしても、観客は必ず個人情報が必要になる。


これでは、観客に紛れた殺しができない・・・。


「トモキアめ・・・。

 暗殺を極度に恐れているのか、警戒がすごいな。」


俺は途方に暮れていた。


そこへリラが来た。


「どうしたジェイク。

 また困りごとか?」


「ああ。トモキアに接触する方法がなかなか思いつかなくてな。」


「そうだ、ジェイク!

 私がアイドルとして応募するのはどうだ?

 私がアイドルになれば、トモキアに会う機会もできよう?」


「大胆だが、ありかもしれん。

 内部に入れば、トモキアの情報もつかめるしな。」


だが、アイドル応募にあたって問題点もある。


「住所を書かねばならんのだが、これはどうしようか?

 馬鹿正直にここの住所を書いては、後々警察にバレるぞ?」


「そんなことか。適当に空き家の住所を書いておけばよかろう。」


それもそうか。


空き家のポストを借りるだけだ。


もしアイドルに受かったら、その空き家のポストに合格通知書が届く。


俺がトモキアを殺し、住所をもとに警察が捜査に入っても、そこは空き家なのでもぬけの殻、というわけだな。


「リラ、頭いいな。」


「ふん。神だからな。」


こうして、リラをアイドルとして応募することが決まった。


さっそく、応募用のリラの写真撮影だ。


「なあ、ジェイク。

 セクシーな服にしたほうが受かるかな?」


「そりゃ、審査員は男だろうしなあ。

 でも、俺だけのリラにそんな破廉恥な格好はさせてやれんな。」


「ふっ。うれしいことを言ってくれるじゃないか。」


俺は以前購入したピンクの服を用意し、普通に撮影した。


そして、リラがいつもの白い服に着替えに行った。


と思ったら・・・。


「おい、ジェイク。」


「なんだ?

 って、おい!

 なんて格好していやがる!」


リラは超ドスケベな下着姿をしているではないか!


「ふん。興奮しているな、ジェイク。」


当たり前だ!


「ど、どうしたんだいきなり!」


「いや、ただこの姿を写真に収めてほしくてな?

 いいだろ?」


「あ、ああ。」


俺は勝手にカメラのシャッターをきっていた。


カシャカシャっ!


「どうだ、ジェイク。」


「とんでもなく似合ってるぞ!」


俺は鼻息を荒げる。


そして、撮影した写真が出来上がった。


何という素晴らしい出来だ、女神降臨といった感じ。


「その写真、お前へのプレゼントだ。

 大事にしろよ。」


こんなのもらってするのは一つ、自家発電しかないだろうて!


「あ、ああ。大事にするよ。

 こんな姿、他のやつに見せるんじゃないぞ。」


「ふっ。当たり前だ。」


こうして、俺とリラの撮影会は終わった。


撮影した写真と偽の住所などを書き、俺はポストに投函した。


「受かっているといいな、リラ。」


「まあ、私の美貌ならば受かって当然さ。」


何という自信だ・・・。


でも、そう言っていいだけの美しさが彼女にはある。


1か月後。


偽の住所に指定した空き家のポストにとあるはがきが投函されていた。


アイドル応募の合否だ。


俺とリラはかたずをのんで封を開ける。


そこには『1次試験合格』の文字があった。


本当に受かってしまった。


「やったな、ジェイク。」


「さすがだ、リラ!」


俺たちは抱き合った。


リラのおっぱい柔らかー。


「ジェイクは本当に破廉恥だな。」


おっと、俺の思考を読まれてしまった。


「う、うるせー!」


---


場面は変わり、俺たちはヴェスパーのもとへ進捗報告にいっていた。


「やあジェイク。

 トモキアの件、調子はどうだい?」


「ええ。実はリラをアイドルとして潜入させます。

 まだ最終試験が残っていますが・・・。

 俺はマネージャーとして変装して潜入します。

 それでトモキアのスケジュールを把握し、俺が叩く作戦です。」


「ほお。しかし、リラの個人情報は大丈夫なのか?」


「ええ。住所はテキトーな空き家にしてあります。」


「そうか。ならいいだろう。

 今回は少し大変な仕事になりそうだな。

 がんばってくれ!」


「はい!」


そうして、俺たちはヴェスパー事務所を後にした。


のだが、俺の服の胸ポケットから1枚の写真が・・・。


ヴェスパーがそれを拾った。


「なんだこりゃ。

 って、リラのエッチな写真だぞ!

 まったく、お前らは何をしとるんだ・・・。」


ヴェスパーに見られたし、呆れられてしまった・・・。


「あははは。ちょっとした出来心です・・・忘れてください・・・。」


「まあ、愛人ならばそういうこともあろうな。

 楽しそうで何より何より!」


こうして、俺とリラは最終試験に臨むのであった。



=== 作者あとがき ===


次回、リラのアイドル試験!


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