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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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ダンジョンを出て受付記録窓口へ退ダン手続きに行くと、マリーや探検者達が待ち構えていた。

そしてロザリアンヌ達がSランクダンジョンを踏破したと知ると、お祭り騒ぎの様に喜んでくれた。


「良くやったロザリー、俺は信じてた」

「ああ良く頑張った、俺も嬉しいぞ」


探検者は口々にロザリアンヌを激励してくれていた。


「実は私は何もしてないんですよ。キラルとレヴィアスがあっという間に倒しちゃって」


「そうかそうか、だが俺は嬉しい」

「おい今日は祝いだ。今から飲みに行くぞ!」

「おおーー!」「良いぞー」「勿論だ!」


探検者達は一瞬のうちに皆で同意して既に祝賀会が決まった様だった。


「ダメですよ。ロザリーはまだ未成年ですからね」


探検者達がロザリーを連れて行こうとするのをマリーが慌てて止める。


「師匠に報告もありますし、みなさんで楽しんでください」


ロザリアンヌが辞退の意志を見せると、探検者達も諦めて自分達だけで移動を始めた。


辺りが静かになるとマリーが「ロザリー本当に良く頑張ったわね」と実に感慨深い表情でロザリアンヌを見詰めた。


「マリーさんのお陰です」


いつもこの窓口で元気を貰っていたので、ロザリアンヌは深々とお辞儀をする事で感謝の意を表した。


「やめてよもう照れるじゃない」


照れた様子はまったく見せていなかったが、嬉しそうな顔をしているのを見てロザリアンヌも嬉しくなった。


「それよりロザリー、Sランクダンジョンを踏破した事は大々的に公開する?」


「いえ、絶対にやめてください」


マリーに聞かれたロザリアンヌは咄嗟に断っていた。


「そう?ちょっと残念ね。最高難易度ダンジョンだから公開すれば名誉にもなるわよ。それに最年少記録ですからね」


マリーは諦め難いのか、残念そうにさらに進めてくる。


「絶対にやめてくださいね。知らない人にまで騒がれるのはちょっとくすぐったいです」


ロザリアンヌは思ったままに答えていた。


そしてそんな事よりもロザリアンヌは確かめたい事があり、再度入ダン手続きをした。

あの不思議な空間へまた行けるのかという疑問を解消する為だ。

ロザリアンヌにはまだまだ聞きたい事も確かめたい事も沢山あった。


あの声だけの男はロザリアンヌの選択にはあまり介入していないと言っていたが、そもそもそう選択せざるを得ないように調整されていたんじゃないだろうか?

所謂ゲームの強制力みたいな感じで。


それに他の大陸を冒険する為に与えた力だと言っていたが、他の大陸にはここより強い敵が存在するって事?

例えばドラゴンとかベヒモスとかフェンリルとか魔王とか・・・


そしてこの世界を冒険するのは決定されたと言っていたが、それでもこの大陸に留まる事を選択し続けたらどうなるのだろう?


調整すると言っていたが、その調整って実際に何をどう調整するというのだろうか?

ロザリアンヌは自分がこの世界の主人公だと言う事は認めたが、やはり自分の人生は自分の好きに生きたいと思っている。

結局調整されてしまうのだとしたら≪自分の好きに生きたい≫の範囲はいったいどこまで許されるのか、はっきりと知っておきたかった。


しかし残念なことに90階層を何度周回しても、再度あの空間へ転移する事はなかった。

この疑問は次の大陸の守護者に会って聞くしか無いのだろうか?

ロザリアンヌはそんな事を考えながら、アンナとソフィアにSランクダンジョン踏破を知らせるべくダンジョンを後にした。


「こんにちはー、アンナ、私Sランクダンジョンの踏破終わったよー」


ロザリアンヌがいつもの様に元気に魔導書店に入ると、アンナがいつもの様にニコニコ顔で店の奥から顔を出した。


「おめでとう、随分と早かったんじゃないの?」


「うん、キラルとレヴィアスのお陰」


ロザリアンヌがそんな話をしていると、アンナが久しぶりにロザリアンヌの頭を撫でだした。

随分と久しぶりの気がして嬉しい気持ちもあったが少し恥ずかしくなった。


「えっと、頭を撫でられて喜ぶ程幼くないよ」


「そっか、ごめんね。頑張ってたロザリーを見ていたからついね」


「違う違う、嫌だった訳じゃ無いから」


「それを聞いて安心したわ。それより私からも報告があるの聞いてくれる?」


「はい」


アンナが急に神妙な面持ちで話し始めるので、ロザリアンヌも姿勢を正し聞く態勢を取った。


「私ねマークスと結婚する事にしたの。それでこの店も廃業しようかと思うのよ」


ロザリアンヌはアンナの意外な告白に戸惑いより気持ちが付いて行かなかった。


アンナにもこの魔導書店にも今まで随分とお世話になった。

それにこれから魔導書の需要が高まると思っていたので、店を畳むのはとても残念に思えた。


しかしアンナがマークスと結婚するとなると一応貴族の奥方様になる訳だし、実際の所店を続けるのは難しいだろう。

それに何よりアンナと気軽にお茶をする楽しみが無くなってしまう。


「それって決定ですか?本当に店を止めちゃうの?」


ロザリアンヌは分かってはいたが、引き留めずにはいられなかった。


「ごめんね、私もロザリーともっと色々したかった。でもマークスは母の事も考えてくれているのよ、だからもう良いかなって・・・」


泣きそうになるアンナを見て、ロザリアンヌはこれ以上引き留めるべきではないと悟った。


「そうだよね、折角のおめでたい話なのに我儘を言ってごめんなさい」


ロザリアンヌは慌てて頭を下げた。

そしてお詫びとお祝いを兼ねて、アンナのお母さんの病気に効くポーションをマジックポーチから出して渡した。


(そうだ、折角だから手に入れた万能薬のレシピを使ってみよう)


ロザリアンヌは後で万能薬を作ったら、アンナのお母さんに試して貰おうと考えた。

大賢者様のレシピではなく、宝箱から出たレシピだからきっと副作用も無く安全だろう。


折角アンナが幸せになるのだから、お母さんにも長生きをして貰ってアンナの幸せが長く続く事を祈ろう。

ロザリアンヌはそんな事を考えていた。


「ありがとう、ロザリーのこのポーションは本当に良く効くのよ。母の体調が良いのはこれのお陰よ」


アンナに改めてそんな事を言われると、練習で作り慣れたただのポーションなのにと思いながらも何となく嬉しくなった。

そしてアンナにとても喜ばれた反応を改めて新鮮に受け止めていた。



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