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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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教皇の部屋は他の部屋と比べ少し広いが、意外に質素なのは予想外だった。

何と言うか、偉い人の部屋ってもっとずっと豪華なものだと思い込んでいた。

執務机も椅子もけして安物でないのは確かだが、ごちゃごちゃごてごてとした権力を示す様な飾り物が何一つ無かった。


そして地下室への階段は教皇の部屋の続き部屋の奥にあって、一応幾つかの衝立を使い入ってすぐには見えない様になっている。

厳重に隠されている様子が無いのは、そもそもこの部屋に出入りできる人も限られているのだろう。


「教皇様いないね」


部屋に入るなり緊張感の欠片も無くキラルが言った。


「今の教皇は本物の聖職者の様だ。神に祈りでも捧げているか信者の声でも聞いているのだろう」


「地下室に居るって事は無いよね?」


今から地下室へ忍び込み結界を解こうというのだ、ロザリアンヌは罪悪感でドキドキしていた。


「居たら眠らせるまでだ、任せておけ。それよりキラル頼んだぞ」


「任せておいて、派手にやるんだよね」


「ああ、加減はする必要などない。できるだけ派手にな」


ロザリアンヌは二人の会話を聞きながら本当に大丈夫なのかと心配になっていた。


「漸く騎士団が到着した様だ、そろそろ始めようか」


聖女候補が攫われたと先に通報し、教会に警備隊か騎士団が来るように仕向けてあった。

その通報を受けて漸く騎士団が教会に到着したのだろう。


レヴィアスの合図で3人は地下へと続く階段を下りて行くとすぐにその部屋は見つかった。

地下にある部屋だというのに重厚な作りの豪華な装飾を施した立派な扉がとても目を引き、余程大事な宝でも仕舞ってあるのかと思わせた。


ロザリアンヌが扉に一歩近づくと結界が反応し、キーンと言う高い音を響かせた。

慌てて後ずさるとすぐに音は止んだが、結界が反応して音を出した事にロザリアンヌは驚き、これは防犯に最適な結界じゃ無いのかと感心する。


「結界に触れると音が出るってどんな結界なんだろう?」


「そんな事よりキラルそろそろ始めてくれ」


「分かった、じゃあ始めるね」


ロザリアンヌにとってはとても重要な問題だったのに、二人に軽く流された事を少し不満に思っていた。

しかしレヴィアスもキラルもロザリアンヌに構う事無く結界の解除を始める。


キラルが結界に触れるとキーンと響く音が徐々に高く大きくなって行った。

そして何かの警報かと思わせるキーーンキーーンという大音量を響かせ始め、ロザリアンヌはたまらずに耳を塞ぎ蹲った。


『ロザリー力を貸して、早くしないとみんなが集まって来ちゃう』


地下室の通路は細く狭いので、いくら認識阻害を掛けていようと人とぶつかり見つかる危険が高くなる。

キラルやレヴィアスは元が精霊なので飛ぶように回避できるだろうが、ロザリアンヌはさすがに同じ様に回避はできない。


『どうしたら良いの?』


『ロザリーの魔力を僕に流して、早く!』


ロザリアンヌは押さえていた耳から両手を離し、キラルの背中に掌を当てると思いっきり魔力を流した。


その瞬間≪パリン≫ととても派手な音を立てガラスが割れる様に結界が解除された。


「早い所この場を去るぞ」


駆け出したレヴィアスの後を追ってキラルもロザリアンヌも慌てて教皇の部屋へと戻る。

と同時に、司祭や司教に混じって騎士団も駆けつけて来た。


地下への階段が見つかり易いように勿論衝立はどけてある。

レヴィアスの目論見通り地下への階段を怪しむ騎士団と戸惑う司祭達。


しかしいち早く階段を降りようとしていた王家の諜報員を見つけ、レヴィアスはそれを阻止する様に諜報員の認識阻害を解いていた。

認識阻害を解かれた諜報員はそれに気づかず地下に降りようとして、騎士団に取り押さえられていた。


『今のどうやったの?』


ロザリアンヌにはレヴィアスが軽く指を鳴らす仕草をした様にしか見えなかった。

しかしそのちょっとした動作と同時に認識阻害を解かれた諜報員を見て、ロザリアンヌはレヴィアスが何かしたのだと思い咄嗟に聞いていた。


『魔力を飛ばして当てただけだ』


聞いてみればとても簡単な事にロザリアンヌはなるほどと唸ってしまった。

そして自分で考える事もせずにさっきから聞いてばかりだったと、ロザリアンヌは少し恥ずかしくなった。

聞く事も大事だろうが、自分でちょっと考えたら思いつきそうな答えだった事に、自分で考えるのを放棄していたと気付き情けない思いだった。


そんなロザリアンヌの考えに気付いたのか、レヴィアスはロザリアンヌの頭に手を置くと顎をしゃくる様にして地下室の方角を指した。


『騎士団まで居合わせたのだ、教皇は誤魔化しきれんだろう。それにこれで王家も証拠の入手は諦めるだろう』


『そうだね、後は地下室に仕舞われていた物が公開されるかどうかだね』


キラルは公開されるのを望んでいる様だった。

もしかしたらキラルは、記憶は受け継がれていなくても光の精霊として何かを感じているのだろうかとロザリアンヌは思った。


そして同時に当時の聖女様に本当は何があったのかロザリアンヌも知りたいと思った。

それに事実が知られれば、聖女候補も教会に縛られる事に抗ってくれるかもと僅かな期待を抱いた。


『教皇に会いに行くぞ』


レヴィアスは人の出入りが無くなった教皇の部屋の出入り口を確認し部屋の外に出た。


『ちょっと待って~』


レヴィアスがこれ以上何をしようと考えているのか、ロザリアンヌはまったく思いつかないままキラルと一緒にレヴィアスの後を追った。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] >少子抜け 拍子抜けの間違いだと思いますが、拍子抜けは(ライバルがいなくなって)張り合いが無いとか、(思っていたよりも弱くて)手応えが無いという落胆(がっかり)する意味なので、清貧そう…
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