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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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誤字報告いつもありがとうございます。

少し書き溜めましたので、少しの間1:00と13:00の2回UPしたいと思います。

いつも読んで下さり本当にありがとうございます。


ロザリアンヌがいつもの様に登校すると学校では教師陣が何やら大騒ぎをしていた。


何事があったのかと耳を澄ますと、どうやら聖女候補と一緒にいた女生徒とが共に攫われたらしい。

学校内で攫われた事で、教師達の騒ぎは生徒の心配より自分達の身の心配をしている。


「大変、まだそんなに時間も経っていないみたいだし私達で何かできる事は無いかしら」


ロザリアンヌは不穏な事件の情報に、思わずキラルに声を掛けていた。

次の機会には絶対に名前を聞こうと思いながら、あれから接点も無くつい聞きそびれていた。

ロザリアンヌはずっとその事が気がかりだった。

多分この学校でロザリアンヌの事を一番意識して気に掛けてくれていただろう聖女候補を、できる事なら助けたいと考えるより先に心に会った思いを叫んでいた。


「私に任せておけ」


認識阻害を掛けたレヴィアスが傍に居たらしく、声だけを残し既に立ち去ったらしかった。


「僕も行くよ」


キラルにはレヴィアスの気配が分かるらしく、レヴィアスの後を追って行った。


「置いてかないでよ~」


既に姿が見えなくなったキラルに向かってロザリアンヌは呟いていた。


一人になってしまったロザリアンヌは結局何をしたら良いか思いつかず、情報を収集しながらキラルとレヴィアスが戻って来るのを待つ事にした。


気配探知のスキルを得てから聴力も良くなったロザリアンヌは、辺りで囁かれる話を選別しながら聞き耳を立てる。


その中で事件を目撃した生徒が友達に話しているのを聞いていると、どうもロザリアンヌの時の様に襲撃されたという感じではない様だ。

校門前で待ち伏せしていた一行に取り囲まれた聖女候補本人が自らの意志で同行し、一緒にいた女生徒も聖女候補を心配して付いて行ったというのが真相らしい。


しかしその待ち伏せしていた一行が教会関係者と言うのが問題で、教師陣もどう対処して良いのか意見が分かれている模様。


ある程度の知りたかった情報を集め終えたと判断したロザリアンヌは、学校の発表を待つべく教室へと移動した。


教室でもいろんな噂が囁かれていた。

ここのところ聖女候補はあられもなくダンジョンの攻略を進めていたらしいとか。

最近予知夢を見る様になったと言い張り、父親に意見をした事から親子関係に微妙な亀裂が生じ始めたとか。

飛び級試験に失敗した関係でクラヴィスとのパーティーも解消された等、嘘か本当かまことしやかに囁かれ、話題が尽きない様子にロザリアンヌは辟易した。


みんなの情報収集力も凄いとは思うが、それが事実かどうかも分からないのに広めるってどうなの?

今現在聖女候補がどんな状況にあるのか心配する気配も見せず、聖女候補を話題の中心にして話を楽しんでいる様でロザリアンヌは聞いていて気分が悪かった。

こんな時くらい自分が聖女候補の立場だったらとどうして考えられないのかと、憤りさえ感じていた。


そしてそんな中担任が現れ、まるで何事も無かったかの様に普通に授業が始まった。

学校側は事件に関して生徒に発表も説明もする気が無い様だった。

もっとも本当に聖女候補が自ら付いて行ったのなら、学校側は事件にする気も無いのかも知れないとロザリアンヌは思った。


それにしても薄情すぎる学校の対応にそれで良いのかと言う思いと、きっと影ではちゃんと動いてくれていると信じたい思いがロザリアンヌの中でせめぎ合っていた。

そして何もできずただ心配するだけの自分自身にももどかしさを感じていた。


こうなったらやはりレヴィアスとキラルに期待するしかないと、二人が戻るのを心待ちにしていた。

しかし午前の授業が終わり、昼になっても二人が戻って来る様子は無かった。


午後からまたダンジョン攻略かと思っていたが、さすがにユーリはこの騒ぎの中やる事があるらしく休みになった。

ロザリアンヌとしてもレヴィアスもキラルも別行動の今、一人でユーリ達に付き添うのはさすがに不安があったので胸を撫で下ろした。


そしてこうして時間が空き改めて考えると、ロザリアンヌは今聖女候補達の為に一人でできる事など何も無いと思い知らされた。

今までいかにキラルやレヴィアスやアンナ、そして周りの誰かに助けられていたかをつくづく実感していた。


(私にだって聖女候補の為にできる事がきっとある筈)


ロザリアンヌは心のどこかでもしかしたら【プリンセス・ロザリアンロード】のパート2が始まっていて、聖女候補が主人公なんじゃないかとずっと気になっていた。

もしかしたら今回の件は多分ストーリーに何か展開があったのじゃないかという思いのロザリアンヌ。

今なら本当にそうなのかどうか確かめられるかも知れない、ロザリアンヌはそう思うとじっとしていられなくなった。


聖女候補を連れ去ったのが教会関係者だというのなら、教会へ出向けば何か掴めるかも知れない。

ロザリアンヌもレヴィアス同様の完全な認識阻害が使えるのだから、忍び込んで様子を見るだけなら大丈夫だろう。

いつもはキラルやレヴィアスが情報を集めてくれていたけれど、たまには自分でもやってみるかとロザリアンヌは決意する。


今まで何となく人の家に忍び込んだり誰かの行いを覗き見るのは犯罪だろうと気が咎め、自分がやるのは躊躇っていたが、そもそもキラルに頼んでいる時点で同罪だった。

自分で手を汚すのを躊躇っていた分だけ質が悪い。


それに悪だくみを暴き事件を事前に防ぐとか解決する為なら、諜報活動だと割り切り許される行為だと思いたい。

認識阻害を使っていれば誰に見つかる事も誰に捕まる事も無いだろう。だからこそ自分で自分が許せなくなる行為さえしなければ良いのだ。


自分のする事した事のすべてをいつも自分だけは知っていて、誰に見られていなくてもいつも自分だけは見ている。

自分の行動に責任を持つってきっとそういう事なのだろう。

だから誰のせいにもできない行動にはいつも勇気が必要なんだ。


ロザリアンヌは今初めて自分の中の自分を意識して一歩を踏み出し、聖女候補達を助けるべく教会へと走った。



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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の行動に責任を持つってきっとそういう事なのだろう。 だから誰のせいにもできない行動にはいつも勇気が必要なんだ。 それをわかっていながら、聖女候補は自らの意思で同行して行った わけで、な…
[気になる点] 「聖女候補と一緒にいた女生徒の二人が攫われた」 最初、聖女と一緒にいる女生徒二人と読みました。 ⇒女生徒二人(計2人) 話を読み進めると、聖女もさらわれてるとわかりましたので、意味…
[一言] あんまり仲良くないし、自分の意思で行動したってのがわかってても それでも他人を心配するってのはわからんでもない。 騙されてるかもしれないし でもこのタイミングで行動の責任云々を言いながら単…
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