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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
4章 天下統一しちゃいますか?! 1部 後宮潜入編

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「ロザリーは魔法とは違うと言ったが呪いは魔法の一種だ」


「そうなの?」


「見てみろ、かなりの魔力を感じる」


レヴィアスは大きく頷き、手にしていた香炉をロザリアンヌに見せるためか近づいてくる。


「そんなに近づいて大丈夫? 私も呪われたりしない?」


ロザリアンヌは急に怖くなり思わず後ずさってしまう。

もっとも呪われたとしても浄化で取り除けると分かった今となってはそう心配したものではないのだが、やはり心情的には怖いし気味が悪い。できる事なら近づきたくない。


「そこがこの呪いの面白いところだ。この穢れに長くあたれば体調を崩す程度の事はあるだろうが、あのような呪いの症状は特定の者にしか作用しないようになっている。逆に言えば、離れていても特定の者を狙って作用させられると言う事だ。実に面白い」


「えっとぉ・・・」


愉快そうに話すレヴィアスが何を言いたいのかロザリアンヌには良く分からなかった。と言うか、多分レヴィアスは呪いを少し勘違いしているのだと思った。


呪いが魔法の一種だというのはなんとなく理解できた。しかし呪いたい相手がいて怨念を込めればその相手に作用するのは当たり前だ。けれどそもそも呪いってそんな簡単なものだったかとロザリアンヌは首を傾げる。


「幽霊なんかは特定の相手がいなくても呪いをばら撒いたりしてたと思うよ。それに特定の物に宿った呪いはその物を手にした人を次々と呪ったと言う話も聞いた事があるし、装備したら外せなくなる呪いの装備品なんかもあったよ。だから呪いって結構色んなパターンがあると思うな」


「何だと。それは本当か!」


「いや、私はほら、ザックリとしたイメージでしか知らないから事実かどうかは分からないよ。でも聞いた話によると色んなパターンがあったのは確かよ」


ロザリアンヌは呪いなんて作り物の世界の話でしか見た事も聞いた事もなく、実際に誰かを呪った事も呪われた事もなく、本物の呪いを目にしたのは今回が初めてだ。

そうあくまでも物語やゲーム世界、二次元での話しか知らない。


だから実際に呪いが存在するのなら、今回のケースだけを実例にして思い込むのは危険な気がした。

それに華麗に『呪詛返し!』なんて事もしてみたいとちょっと思ってしまう。


「分かった。もう少し研究してみよう」


レヴィアスは何か考え事をしながらフラフラと部屋を出て行ってしまったので、ロザリアンヌは仕方なく夜中だというのに窓を開け一人貴妃様の部屋の掃除を始める。


そうして一通り掃除を済ませると部屋の中に残る穢れを祓って行く。

浄化はロザリアンヌにも使える魔法だが、熟練度がまだそうは高くないのでキラルのように綺麗に一度に穢れを祓えない。なので念入りに念入りに何度も何度も浄化を唱えて行く。


「ふぅ~、もう大丈夫よね」


すっかり綺麗になり嫌な感じも無くなった貴妃様の部屋を確認しながらロザリアンヌはホッと溜息を吐く。


後はあの香を焚いた侍女を見つけ誰に頼まれたか吐かせてやると意気込みながら、貴妃様を部屋に戻すために隣の部屋へと向かった。


「うふふ、本当にありがとうございました」


何と貴妃様は笑い声を立てられるくらいに復活していた。本当に嬉しい。

衰えた筋力や体力まではどうにもできないので、体を起こしているだけでも辛そうに見えたが少なくとも精神的ダメージは少しは癒やせたようだ。


「ところで皇女様はご一緒ではないんですね?」


ロザリアンヌは元気になった貴妃様に思い切って気がかりだったもう一人の存在を尋ねた。

親子だと言うから一緒にいるかもしくは傍に居るものだと思っていたが、貴妃様の部屋の傍にその様子も気配も無かった。


もっともあの部屋の気味悪さと呪いで寝込んでいた貴妃様を思えば傍に子供を置ける訳もない。寧ろあの状況で皇女様まで一緒に放置だったら今頃この宮殿の侍女や使用人は無事では居られなかっただろう。

間違いなくロザリアンヌが天罰を与えていたと思う。


「ええ・・・」


貴妃様がポツリポツリと説明してくれた話によると、そもそも親子とはいえ皇帝の子供である皇女様と一緒に生活する事はないそうだ。


皇帝のお子様方は皇帝と一緒に大寝殿で生活し見合った教育をされるのが一般的で、ロザリアンヌがそんなに大勢の子供達を教育するのは大変そうだと考えていると、そもそも子供が成長できる確率が低く愛人達は子供を産ませても貰えないらしい。


血が穢れるとか本当に皇帝の子か分からないというのが理由らしいが、そんな理由で無理矢理堕胎させられたり生まれたばかりの子供の命を奪うと聞いてロザリアンヌは震えるほどの怒りを覚えた。


「なにそれ。責任を取れないなら手なんか出すなよ!」


一国の王ともあろう者がそんなんじゃこの国はろくなもんじゃないとロザリアンヌは思わず叫んでいた。


「ロザリー、誰かに気づかれると厄介だよ静かにね」


キラルに窘められ微笑みかけられるとロザリアンヌの怒りも自然と弱まり気持ちも落ち着いていく。


「そうだった、ごめんなさい」


「だけどそれなら皇女様は取り敢えず心配ないわね」


キラルのその言葉に貴妃様は一瞬とても悲しそうな表情を浮かべる。やはり自分の子に会いたいと思うのは母として当然だろう。

ここしばらくは呪いのせいで寝込んでいたみたいだし、皇女様に合う事もできずにいたはずだ。絶対に寂しいに決まっている。


「一日も早くお目にかかれるようにこれからはもっと体力を付けて行きましょう」


「そうですよ。もっといっぱい食べてもっと元気になってくださいね」


ロザリアンヌとキラルは貴妃様を心から励ました。

そして絶対に貴妃様を悪意から守ってみせると新たに誓うのだった。



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