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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
4章 天下統一しちゃいますか?! 1部 後宮潜入編

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「やっぱり付いてきたわね」


ロザリアンヌが警戒したように屋敷から付いてきた者が居たが、認識阻害を使った事で見失い慌てている。


(まぁ私でもきっとそうする)


ロザリアンヌは珍しく自分のした予測が当たった事に少し嬉しさを覚えていた。


「魔導艇に帰って作戦を練りましょう」


「僕たち用の女性ものの服は用意しなくていいの?」


「私はまだご飯を食べてません! 屋台へは行かないのですか!」


浮かれて歩いていたテンダーの自業自得だろうと一瞬思ったが、ロザリアンヌは口にはしない。少しは大人になったのだ。

それに服に関してはもう自分で錬成できる自信がある。今さら胡散臭い服屋に頼らなくてもみんなに似合いそうな服を作るつもりだ。


「多分屋台かあの服屋かその辺からあの奴隷商人に話が行ったのよ。また立ち寄ったら居場所を知らせるようなものじゃない」


「そっか」


「ええーーー。じゃあ私のご飯は!!」


「テンダー、僕に任せて。大丈夫かなりあれこれ買い込んだから」


「シェフーーー。ありがとうございますぅ~」


キラルに縋り付くようにするテンダーが、絶世の美女から一気に情けない大人にしか見えなくなるから不思議だ。


「テンダー。後宮に入ったら絶対にそういう態度はナシよ」


「そんな事よりもロザリー様。私、ここの人達が何を話しているのかまったく分からないんですけど大丈夫なんですか?」


「そうか。その問題もあったんだ」


テンダーはそのコミュ力のお陰か、いつの間にか言葉を覚えているというか話が通じるようになっているので、いつもついついテンダーの言葉問題を忘れてしまう。


(後宮に侍女として入るとなるとしゃべれないって訳にもいかないだろうなぁ・・・)


ロザリアンヌは一気に頭を抱えるが、そんな事で諦めたくはなかった。

大人のどす黒い思惑に巻き込まれ、母を亡くそうとしている女の子の話を知ってしまったからにはどうしても助けたいと思っていた。

自分でもどうしてそこまで思い入れているのか分からないが、今も不安を抱え泣いているのだろうと思うとすぐにでも駆けつけてあげたかった。


それに前世の中学生時代は『あさきゆめみし』が恋愛のバイブルだった。あれとは違うかも知れないが後宮のドロドロな物語は実は好物だ。たっぷり感情移入できる自信がある。


「仕方ないテンダーは話せないって設定で行きましょう。それで採用されなかったらその時はテンダーは留守番ね」


「ええぇっーー。私は留守番ですか! そんなのあんまりですぅ~」


「嫌だったら認識阻害でひっそりと付いてくるしかないわね。でも絶対に誰にも見つからないでよ」


「仕方ありません・・・。でもご飯は用意して貰えるのですよね!」


「もう・・・。ご飯くらい自分で作れるようになったんでしょう。それとテンダーはこれからチョロイと一緒に行動して!」


ご飯ご飯と煩い二人を一緒にすればロザリアンヌの面倒も少なくなると考えてしまった。

後宮に入ったら気も抜けない生活が待っているというのに、ご飯にばかり気を取られていられないだろうと。


「シェフのご飯は・・・」


「問題が片づくまでしばらくお預けよ」


「まあまあ、その分今夜は美味しいものをたっぷり作るから。ねっ、我慢して」


「はい・・・」


キラルのキラキラ笑顔の炸裂にテンダーは漸く大人しくなる。


「ロザリーよ。聞いているとさっきから自分は絶対に採用される自信があるようだな。だが最悪全員不採用かも知れないとは思わないのか?」


さっきまで黙っていたレヴィアスが急にロザリアンヌに厳しく問いかける。


「自信がある訳じゃないわ。でも絶対に後宮へ行って貴妃様とその子を助けたいって思ってる」


「何故そこまで?」


その問いにロザリアンヌははっきりとした返事は持ち合わせていなかった。

多分今まで関わろうとしなかっただけで、ロザリアンヌがその気になって知ろうとさえすればそういう不幸物語は山のようにあっただろう。


なのにたまたま耳にした今回の件に何故そこまで思い入れ執着するのかと聞かれると、同情したという安っぽいいい訳は思いつくが、レヴィアスの望んでいる答えはきっとそれではない。


「私が後宮って所にとっても興味があるって理由じゃダメ?」


レヴィアスはロザリアンヌの意外な答えに一瞬驚いたような表情を見せる。


「ふっ、そういえば興味をなくしたら人間終わりだとマスターも言っていたな」


レヴィアスはかつての大賢者様を思い出したのか、懐かしむような優しい表情になっていた。

そして何を思ったのか急に表情を厳しいものに変えるとロザリアンヌをじっと見詰める。


「人生楽しむに越した事はない。今回は私も楽しむとしよう」


表情とはまるで合わないレヴィアスの言葉にロザリアンヌは呆気にとられる。


「私に任せておけ。精神操作はこういう時に使うものだ」


ロザリアンヌは闇属性魔法にそういう魔法があるのは知っているが、敢えて自分から遠ざけて考えていた。明らかに対人魔法なのであまり使いたくないというのが本音だった。


その魔法を今回レヴィアスが使うと宣言しているのは、ロザリアンヌの気持ちを優先させただけでなく覚悟も問うているのだと思う。

きっと遊び気分で他人の人生に関わるなと言いたいのだろう。関わるからには覚悟と責任を持てと。


「分かった。ありがとう」


ロザリアンヌはしっかりとレヴィアスの瞳を見詰め返しその思いを伝えたのだった。



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