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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
4章 天下統一しちゃいますか?! 1部 後宮潜入編

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「ふふ、うふふっ」


テンダーは屋台を見て歩くのも忘れ、今にも飛び立ちそうなテンションで街中を歩いている。

そう変わった服でも無いちょっと上流階級の人達が着てそうとはいえ、それでもただの女性用普段着なのに何がそんなに気に入ったのか本当に嬉しそうだった。


「ねぇテンダー。その服のどこがそんなに気に入ったの?」


ロザリアンヌは今後服を錬成する上での参考として、テンダーのお気に入りポイントを知りたくなった。

多分キラルやレヴィアスには無いだろうけれど、あとで一度聞いてみるかとも思っていた。


「どこがって、この服は里で着ていた服にちょっと似ているからでしょうか。でも里の服はこんなに凝ったデザインのものもこんなに素敵な色をしたものもありませんでした。それに見てくださいココなど半分透けさせているこの技術。そしてココやこっちのこの複雑模様を作り上げる技術も本当に凄いと思います!」


熱く語るテンダーの説明によると服の色やデザインだけでなく、ベールのように透けている袖の部分と所々にあしらわれたレースや刺繍も気に入っているらしい。


「要するに着慣れていた服に似てるのに素敵な色とデザインだって事?」


「簡単に言ってしまえばそんな感じですかね・・・」


テンダーはロザリアンヌに話しても無駄だったとばかりに明らかにテンションを下げて溜息を吐く。


(何だろうちょっと馬鹿にされた気が・・・)


「じゃぁ壁に掛かっていたあの服も着たかったんじゃないの?」


キラルがロザリアンヌにとすすめた貴妃様の服を思い浮かべ、テンダーになら本当に似合ったかも知れないと思っていた。


「あんなにヒラヒラした服じゃ上手く動けなくなるじゃないですか!」


何言ってるんですかと言わんばかりにジト目で睨まれて、ロザリアンヌはテンダーの服に対する判断基準がなんとなく分かったような気がしていた。別に女性っぽく着飾りたい訳では無いんだと。


「ご飯の時間だよ!」


空気も読まずチョロイが目を覚ました。


「今日は屋台の料理を楽しむ予定だからチョロイも何か食べたい物があったら言って」


ロザリアンヌを人混みから守るように前を歩くレヴィアスと、屋台の料理を買いまくっているキラルと逸れないように歩いていたロザリアンヌは、チョロイにも屋台の中が覗けるように少しだけ屋台側に移動する。


「何だこれ。美味しそうな匂い。この料理も食べた事が無いやつだ。早く食べてみたい!」


チョロイも屋台の料理を見て興奮し始めていた。


「これでいいのね?」


「他にもあるのか!」


「他にもいっぱいあるけど、次はきっとキラルが作ってくれるよ」


キラルの一度食べたことのある料理の再現は、材料さえ揃っていれば既に完璧だ。

そのキラルが精力的に屋台の料理を買い漁っているからきっと大丈夫。いずれはどれもこれも食卓に上がるだろうとロザリアンヌは確信していた。


「それは楽しみだ」


ロザリアンヌは屋台で買った料理をチョロイに手渡す。肉まんの生地みたいなものに焼いた肉と野菜と何かのタレがかかっている。見た目は角煮まんかサンドイッチかといった感じの料理だった。


ロザリアンヌは自分の分をどうしようかと悩んでいてふとテンダーが居ない事に気がついた。


「あれっ、テンダーが居ない。まったくどこで逸れたのかしら」


「チッ、人が多すぎて気配が探れないな」


レヴィアスが急ぎテンダーの行方を捜してくれたらしいが、そもそもテンダーの気配は特別目立ったものでも魔物の気配とも違うから人混みで気配だけで探すのは無理だろう。


「あぁもう。テンダーとは念話が通じないんだった」


キラルやレヴィアスとなら念話で通じる事もできるが、ロザリアンヌがいくら呼びかけても返事がある訳がなかった。


「僕ちょっと探してくるよ」


「待って。この方向に行った先にいるよ。眠ってるみたいだけど移動してる」


「えっ、分かるの?」


「そのくらいはできるよ僕にだって」


チョロイがテンダーの気配を追えると聞いてロザリアンヌはちょっと驚いた。神様的権限を無くし自衛するだけだと言っていたのに、ちゃんと使える能力もあるじゃないかと。


しかしそれより驚いたのはテンダーが眠らされて移動していると言う点だ。それならばきっと誰かに拉致されたという事だろう。


あれほどの美人ともなれば拉致を考える不埒ものがいても可笑しくはないが、それでもそう簡単に拉致られるほどテンダーは弱くもないはず。

それに確かにかなり浮かれていて隙だらけだったとはいえ、いったい誰が何のために?


「テンダーの追跡をしたいの案内を頼める?」


「食べてる間くらいなら付き合っても良いかな」


チョロイは食べている間しか役に立つ気はないらしい。本当に困ったものだ。


「はぁ・・・。キラル、チョロイにキラキラドロップ舐めさせてあげて」


「了解! はい、口開けて」


チョロイはまだキラルの作ったキラキラドロップを知らない。

あれならば神々が愛する蜜で作った飴なので、チョロイも喜ぶだろうし時間も稼げるだろうとロザリアンヌは考えた。


キラルはチョロイの口にキラキラドロップを放り込むと「それは噛まないで無くなるまで舐めるんだよ」と説明する。


「う~ん、おいひい。これ僕好きかも~」


取り敢えずチョロイはキラキラドロップを気に入ってくれたようだし、飴を噛み砕くこともしなさそうなのでロザリアンヌは一安心する。


「じゃぁチョロイ案内お願いね」


「任せて~」


ロザリアンヌ達はチョロイの案内の元、テンダーを追って人混みの中を急ぐのだった。



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