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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
4章 天下統一しちゃいますか?! 1部 後宮潜入編

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「ねえ、見て。まただよ」


ロザリアンヌ達が大陸のマップを埋めるために魔導艇を飛ばしていると、彼方此方で大小の争いを見かける事が多かった。


一番初めに見かけた魔獣大戦争みたいなものから、学年対抗ドッジボールかといった感じのものまで様々で、今魔導艇の下で行われているのは何千人単位かの剣と剣がぶつかり合う天下統一映画そのまんまの争いだった。


この大陸は本当に呆れる程戦争が好きなようだ。というか、何をそんなに争う必要があるのかロザリアンヌにはその理由が分からない。


他国の領地を奪い合う必要もない程広大な土地があるのだから、大人しく自国の領地を開拓したり改良した方が余程健全だろう。


資源や技術にしても争うのでは無く外交として上手く交易していけば良いと思うけれど、そんな問題では修まらない何かがあるのだろうか。


「やっちゃいますか」


ロザリアンヌは相変わらず争いを見かけるたびに天罰を下さんとばかりに、雷暴風雨【テンペスト】による天災を起こして回っている。


しかし最近はキラルによる光の精霊の奇跡である天の奇跡は使っていない。

何しろ魔獣大戦争で神の奇跡だとキラルに手を合わせていたあの人達は、傷が癒えるとまた戦いだしたのにはさすがに呆れた。


戦える体力があるうちは戦いを止めないその熱意を別の事に向ければ良いのにとも思うが、キラルの回復を無駄にされたようで本当に腹が立った。

なのでロザリアンヌは一応手加減をして魔法を発動させているのだから、その後の事に責任を感じなくても良いだろうと思うことにした。


そうして大陸のマップの八割程を埋めた頃にその街を見かけ、ロザリアンヌは思わず立ち寄りたくなってしまう。


赤黄色オレンジといった暖色カラーの提灯で賑やかに飾られた路地に、中国宮廷風建造物が並びとてもノスタルジックな雰囲気がロザリアンヌの心を一瞬で鷲掴みにする。


(台湾やタイには一度行ってみたかったんだよ・・・)


いつか旅行ガイド雑誌で見た光景そのままに思え、これはもう絶対に寄るしかないと心に決めた。


「あの街に寄りましょう!」


「今すぐにか? まだマップは埋まってないぞ」


ロザリアンヌの提案にレヴィアスが待ったを掛ける。


「もう殆ど埋まったでしょう。それに多分あの街は屋台も多いと思うんだ」


ロザリアンヌはもうすっかりあの街と台湾やタイを重ねて考えていたので、まずはテンダーを味方に付けることにした。


「屋台ですか!」


「そうよ。きっとまだ見ぬ料理を提供している屋台ばかりだと思うわ」


「是非、絶対に寄りましょう!」


「そう焦らなくとも、マップを全部埋め終わってからでもいいんじゃないか」


「まだ見ぬ料理には僕も興味があるな」


(ふっ、勝ったね!)


キラルも味方に付いてくれた事で多数決で街に寄ることが決まり、逸る気持ちを抑え街の外で魔導艇から降りるとそのまま街に足を踏み入れた。


日暮れ時とはいえ提灯の明かりが賑やかでけして暗くは無く、思った通り路地の彼方此方に屋台が並んでいる。


前世で自炊をしない文化があり台所が無い家が普通だと聞いた時は信じられなかったが、この街も食事は外食が主流なのかどの屋台も賑わっていて、鍋を持参して料理を持ち帰る人も多く居た。


「どれから食べますか!!」


屋台を覗きながらはしゃいでいるテンダーにロザリアンヌが注意を促そうとした時だった。

明らかにごろつきですと言わんばかりの男とぶつかり睨まれている。


「あぁ~ん、テメェ誰にぶつかってんだゴラ!」


ロザリアンヌもキラルもレヴィアスも、街に入ってからずっとタチの悪そうなヤツらがわざとぶつかって来ようとするのを避けて歩いていたが、テンダーはまったく気づいていなかったようだ。

ロザリアンヌ的にスリか難癖かと当たりを付けていたが、ホントまんまハマったテンダーに呆れるより良い経験だと思ってしまう。


「ヒェッ!」


(ヒェッって何よヒェッって。少しは言い返すとかしなさいよ。仮にも優秀なエルフなんでしょうが)


すごまれて竦み上がるテンダーを情けなく思う。

実力的にテンダーの方がかなり上の筈なのに、ロザリアンヌ達に初めて出会った時のような闘志を見せることも無く怯えるテンダーに本気で呆れた。


しかしこういう悪意に初めて直面して戸惑っているのだろうと考えると呆れても居られない。

ロザリアンヌが助けに入ろうと一歩を踏み出そうとしたところでレヴィアスが手で制した。

すると六人ほど居たごろつきとその手下風男達が何故かその場に倒れ込み静かになる。


『眠らせただけだ。この場で騒ぎを起こすのは得策では無い。私達はかなり目立っているようだ』


見るとロザリアンヌ達黒の軍団風服装は人混みの中でかなり浮いていた。

ロザリアンヌの知る漢服とは少しデザインが違うが、貫頭衣をお洒落にして帯も布も色が豊富なのが特徴の衣装を着た人ばかりで確かにかなり浮いている。


ロザリアンヌは魔導艇に戻って新たにここの衣装に似せた服を錬成しようかとも考えたが、それよりもこの街の服屋で調達した方が早いだろうと思い直す。


「まずは着替えだね。服屋を探そう」


ロザリアンヌ達は目立たぬように急ぎ服屋を探すのだった。



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