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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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「ズルいよね君達だけ」


気がつくと真っ白な空間で、ロザリアンヌはグラタンを手に大陸の守護者の目の前に居た。


「えっとぉ・・・」


「君さぁ、僕を仲間にする気はない?」


ロザリアンヌはいきなりの大陸の守護者の申し出にかなり戸惑いしばらく考えてみた。

そもそも大陸を守護する立場の者が大陸から離れて良いものだろうか? というかそれで役目が果たせるのだろうか? それに人間であるロザリアンヌ達の仲間になるのは本当にあり得るのか?

平静を装い色々と考えてみても混乱していくばかりだった。


「僕はこの大陸の担当だけど殆ど何もしてないし。ダンジョンの事はそれぞれのダンジョン神に任せてあるから大丈夫なんだけど、でもそうだな他の守護者に知られたらかなり問題にされるだろうなぁ。それにやっぱりバレたらマズいよなぁ・・・」


守護者はロザリアンヌへの説明と言うより何やらブツブツと独り言を呟き始めていた。


「あのぉ、私の願いを叶えてくれるんですよね?」


「ああ、そうだ。そういう事になったんだっけ」


なんだか色々と拍子抜けする感じの守護者とのやり取りに、ロザリアンヌはあれこれ考えていた願いより、今思いついたことを言ってみたくなった。


「この大陸は何でずっと夜なんですか? もしかしてそのせいで環境が厳しいんですよね? だとしたらこの大陸にお日様を照らすのは無理なんでしょうか?」


そもそもの問題としてこの大陸にも朝が来て昼があればきっと環境は改善され、閉鎖的な風習も無くなるのではないかと考えた。

もっと農業や酪農が発展すれば少なくとも飢る人は居なくなるし、仕事も増え役立たずと廃棄される人も居なくなるだろうと。


「君ってさぁ、とっても難しいことを簡単に言うよね。僕たちに宇宙まで管理下に置けと言ってるの? それとも宇宙を作れと言う意味かな? 例えばだけど、地球の自転軸の角度を簡単に変えられると思う? それによってどこにどんな影響が出るかなんて君はまったく考えてもいないんだよね」


ロザリアンヌは大陸の管理者に睨まれた雰囲気と早口の言葉に、なんだか知らないけれど大陸の管理者が怒っているのだけは理解できた。


「そんなに難しい話をしたつもりは無くて・・・」


「はぁ・・・。思いつきでちょっと言ってみましたって感じ? まぁ良いんだけど。君がそういう子だって分かってたし。僕も面倒な事はしたくないから聞かなかった事にするし。それで願いって何? 叶えられる願いにしてよね。もう、ホント面倒くさいなぁ」


かなり投げやりになってしまった大陸の守護者にロザリアンヌは自分の迂闊な発言を反省し、以前から考えてあった願いを改めて口にする。


「この大陸で争いが起こらないようにして欲しいです」


「争いってどのレベルの事をいうの? 隣同士のいざこざや仲間内の喧嘩も争いだよね」


ロザリアンヌは自分がざっくり過ぎる願いを口にしたのだと指摘され慌てて補正を入れる。


「少なくともペナパルポ達が理不尽に搾取される事が無いようにあの街を認め守って欲しいです。あと閉鎖的な考えからの他者への横暴もなくして欲しいです。少なくとも他国の人を受け入れるくらいはして欲しい」


「随分と欲張りな願いだね。普通もっと明確に一つに絞るものだよ。でも、まぁ、その程度なら良いよ。その代わり僕の願いも聞いてくれる?」


「えっ?!」


ロザリアンヌはまさか大陸の守護者に願い事をされるなんて思ってもいなかったので、言葉に詰まり返事もできなかった。


「今ダンジョンで一緒に食事をしているあの子を君達の旅に同行させてくれないかな」


「あのダンジョン神をですか?」


「そうあの子を」


「でもダンジョンの守り神なんですよね? その神様を連れ出してダンジョンは大丈夫なんですか?」


「大丈夫大丈夫。あのダンジョンくらいなら僕がついでに管理できるし、気にしないで連れてって」


「でもでも、あの見た目じゃ目立ちませんか?」


「君がそれを気にするの? この世界に存在しない奇抜なそのファッションの方がどう見ても目立ってるよ」


ロザリアンヌは断る理由が思いつかなくなってしまい頭を抱える。

しかし考えようによっては神様が一緒って何かと便利かも知れないとふと思い始めていた。


「言っとくけど、あの子はあのダンジョンから出たら神様権限なんて持てないから、何か都合の良いことを考えてるなら無駄だよ。君達の邪魔にならない程度の自衛はさせるけどね」


「分かりました。その代わり本当にペナパルポ達に不利益な事が無いように絶対に守ってくださいね」


「大丈夫だって、もうちょっと僕を信じて任せてよ」


ダンジョンを踏破したら無条件で願いを叶えてくれる筈なのに、交換条件を出しておいて何を信じろと言っているんだとロザリアンヌは少し呆れ気味に大陸の守護者を見る。


「じゃぁ頼んだよ~」


なんだかとっても明るく軽い雰囲気の言葉を掛けられたのを最後に気づけば元の場所に帰っていた。


「おかわりお願い!」


目のに居るダンジョン神は元気におかわりを強請り、キラルはそれに答えグラタンを新たに作り提供している。

その小さな体のどこに入るのだと言うくらいにおかわりを重ねるダンジョン神に、仲間になったばかりのテンダーを思い出していた。


「あ~、美味しかった。じゃぁ行こうか」


ダンジョン神の突然の発言にロザリアンヌ以外が、いきなり何を言い出したんだと驚いた。


「その前に名前をき」


「君が適当に付けて良いよ!」


ロザリアンヌが名前を聞こうとしたらダンジョン神が言葉を遮るので少々イラッとした。

イラついた理由はきっとそれだけではなかったのだが、その上適当に付けろだなんて言い方もちょっとどうかと思う。


なんとなく大陸の守護者に言いくるめられた感もハンパなかったロザリアンヌは、それならばと思いついた名前を即座に口にする。


「じゃぁ、君の名前はチョロイよ」


「了解! チョロイだね。という事でみんなこれからよろしくね!」


何が何やらと訳も分からずにいるキラル達に、これからダンジョン神が旅に同行することを説明した。

いつの間にそんな話になったのかテンダーにツッコまれたが、ご飯を食べている間に念話で話し合った事にした。


上手く誤魔化せたかは分からないが、大陸の守護者の話は誰にもしていないし、今はまだするつもりも無かったのでそれ以上の説明はしなかった。

しかしそれ以上の詮索も無く、無事(?)ロザリアンヌ達一行にチョロイという新たな仲間が加わる事になったのだった。



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