表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/303

271


新しく手に入れた鍵で開いたフィールドはまたまた同じような石造りの街だった。

少し大きくなっている感じもあったが、一軒一軒家の中まで丹念に見て回らなくなった分探索的にはだいぶ楽になった。


どうして見て回らなくなったかって?


宝箱なんて見つける事もなかったし、鍵さえ手に入れば次に進めると分かったのが一番の理由。

だけれど、建物内に居る魔物に『勇者様それだけはお許しください』と土下座でもされる雰囲気があったからというか、そういう妄想をロザリアンヌがしてしまったのもあった。


この街は池や泉などの水辺が多いと思ったら出現魔物はリザードマンとマーマンで、どうもこのダンジョンは人型魔物の出現率が高く、どうしても魔物の街を問答無用で襲い蹂躙している気分にさせられた。


街があまりにも綺麗なままなので、魔物に襲われた街を奪い返しているというより、本当に魔物が平和に暮らす街を襲っているとしか思えないところがあった。


もっともここはダンジョンなので、どんな状況だろうが気にしてはいられない。ただ攻略するのみだとロザリアンヌは自分に言い聞かせた。


そしてボスが出現する条件は魔物の討伐数と出現時間だけでなくフィールドの探索率も関係しているらしい事が分かった。

要するに同じ場所で魔物のリポップ待ちをしているだけではボスは現れないという事だ。


どうして分かったかって?


このフィールドは強盗になっているようで気分が悪かったから拠点を決め、魔物の方から襲って来るように仕向けた攻略をしていたけれど、いつまで経ってもボスが現れなかった。

仕方なくまた街の探索を進めると、探索率的に八十%を超えた辺りで漸くボスが姿を現した。まったくもって本当に気分の悪いダンジョンだ。


そうして予定よりかなり時間をかけ漸く現れた大きなリザードマンを、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすかのようにロザリアンヌは珍しく魔法ではなく体術を使い倒した。


ロザリアンヌの堅く握られた拳はリザードマンの腹にめり込み、蹲るように倒れるリザードマンを蹴り上げた足は顎に見事にヒットし、飛び上がってからの華麗な回転蹴りでその脳天を打ち砕いた。


「あ~、スッキリした! 私もこれからは体術を極めてみようかしら」


思いの外気持ち良く決まった回転蹴りに、ロザリアンヌは戦闘手段の変更を考えてしまう程にかなり癖になる快感だった。


「その洋装で蹴りはどうかと思うよ」


キラルのツッコミに気づくとテンダーが顔を赤くし慌てて目を逸らすので、ロザリアンヌは思わずスカートの裾を抑える。


「ちょ、ちょっとー」


「テンダーは悪くない」


レヴィアスの冷静な擁護がロザリアンヌをさらに恥ずかしくさせ、これはもう色々、ホント色々と考え直さなければとロザリアンヌを慌てさせた。


キラルやレヴィアスは自分に宿った精霊という事で、今まで異性として特別意識していなかったが、今はテンダーという異性として意識できない異性が一緒だ。

本当ならこれからは少しは恥じらいを覚えお淑やかに過ごすべきなのだろうが今さらだった。


そして魔法主体で時々蹴りみたいな戦術を考えると、特にインナーウェアとブーツに蹴りの為の仕込みをするのは早急に解決させなければと思った。

それにそろそろ全員の装備を一度見直してみるのも良いかと考える。


「キラル、レヴィアス、装備を考えるわ。隠れ家に籠もるから後はよろしくね」


ロザリアンヌはボスがドロップした鍵と魔石を回収すると、ボスが出現したその場所に隠れ家を設置し早速錬成室に入る。


上下のインナーは肌触りの良いスパイダーシルクにミミズの皮を使い、超極薄タイプでウェットスーツのように体に密着させることを優先させた。

ひたすらに防御力を高め物理体制と魔法耐性も付与し、ローブに付与されていた快適温度効果を移し替える。

これで防御に関してはほぼ完璧なので、これからは上に着るものはTPOや気分に合わせ自由にできるとロザリアンヌは俄然ワクワクしていた。


この大陸に着いてからペナパルポ達の着ているものを見て、ファッション性欠片もないことにガッカリし、それとともにゴスロリ装備を作った時のことを思い出してもいた。

そう、コスプレ上等! 着てみたかったあんな服やこんな服にファンタジー衣装をもっと着てもいいよね?


そうと決まればTPOも大事だろうけれど、今は一番着たい服を優先して、これからはちょくちょく衣装替えを推奨する事にする。


まずはキラルは皇子様衣装、そしてレヴィアスは執事衣装。コンセプトは黒執事といった感じ。

そしてロザリアンヌ自身の服はキラルの皇子衣装を女の子風にアレンジして統一感を出してみる。テンダーは仕方ないから執事見習い。


アクセントにキラルには紺、レヴィアスはグレー、ロザリアンヌは紫を少しだけ使い、テンダーはシャツを白にして雰囲気は黒の軍団って感じ。


どうして衣装一つでこんなにテンションが上がるのだろう? 装備を変えたら気持ちも明るく新たにやる気が満ちて来る。


「レヴィアスお願いがあるの。もう少し髪を伸ばしてくれない」


できあがったインナーと衣装と絹の白手袋を手渡しながらロザリアンヌの個人的要望を伝える。


「構わないが、またどうして」


「この衣装には少し髪が長いくらいが似合うのよ。それと眼鏡と懐中時計も必須ね・・・」


ロザリアンヌは最後は口の中で一人呟くように言うとしばし妄想の世界に入る。


「ねえ、見て。どう、似合ってる?」


早速皇子衣装に着替えたキラルは想像以上に素敵に仕上がっていて、ロザリアンヌは思わず見惚れてしまう。


「とっても似合ってる・・・」


「私はどうですか!」


「ええ、とっても素敵よテンダー」


テンダーも黙っていれば本当に美人さんなので、何を着せても似合ってしまうのだろう。

そして最後となったレヴィアスは早速髪型まで変えてくれていて、肩に掛かるくらいのロン毛ができる大人の雰囲気を醸し出している。


「・・・・・・」


ドストライクに仕上がったレヴィアスをロザリアンヌは言葉もなく見詰めていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ