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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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封印の祠へ入ると何もなかったはずの扉前の広間に地下へと続く螺旋階段ができていた。

中を覗き込んでみるが地下に向かって続く階段が見えるだけで、底がどうなっているのかはまったく確認できなかった。


ロザリアンヌ達は手摺りのない螺旋階段を慎重に下り始める。


「どこまで続いてるのかしら」


「下まで一気に落ちてみる?」


「お、落ちるんですか?!」


そんなことを話していると壁と一体化していて気づかなかった扉が突然開いた。どうやら扉の前に立ったことで開いたようだ。


ロザリアンヌ達は顔を見合わせ中へと入ると、外からは真っ暗で何も見えなかったその空間に突然明かりが点る。舞台のセットに一気に照明が当てられたかのように。


今までが自然のフィールドだったのに対し、ここにはどこかの街をそのまま再現したかのような空間が広がっていた。

大中小様々な石造りの家々が立ち並び、所々にちょっとした広場もあり畑や畜舎もあった。

ただそこに人の気配や動物の気配は無く、あるのは魔物の気配だけだった。


ロザリアンヌはなんだか魔物に滅ぼされた街を見ているようで気分が悪かった。

しかし街を徘徊していたのは物語でしか知らなかった人型のゴブリンで、まるでここはゴブリンの街のようにも思えた。


ロザリアンヌはこの大陸のダンジョンは何が踏破の条件になるのか分からないので、取り敢えず隅々まで探索する事に決め家の中も丁寧に見て回わることにした。


勿論襲ってくるゴブリンはすべて倒していく。よく見るとゴブリンにも色々と種類がいるようで、武器もそれぞれ違うし中には髭を生やしたゴブリンや体の大きなゴブリンも居た。


人の家にズカズカと入り込み家の中に引き籠もっているゴブリンまで討伐していると、まるでどこかの勇者にでもなったようで気分が落ち込んでいく。

家の中は人々が生活していたままの様子を留めてたので、これで家の中を漁りだし樽や壺を壊す強盗のような所業をしたら、どちらが悪者か分からなくなってしまうと思っていた。


(ここはダンジョン。ここはダンジョンなの。ここはダンジョンなんだからね)


ロザリアンヌは懸命に自分に言い聞かせ、家々を確認して回りゴブリンを討伐していく。


しかしゴブリンは何をどれだけ倒そうが、それぞれ多少大きさの違う魔石しかドロップしなかったのもロザリアンヌのテンションを下げさせた。


(確かに魔石は錬金にも使えるんだけどさぁ・・・)


美味しい食材は期待しないが、何か他にも目新しい錬金素材となる物を落としてくれてもいいのにと溜息を吐いた。

そして街は思っていたより広く、一軒一軒見て回っていると意外に時間を消費した。


「そっちに何かあった?」


「別に変わったものは見当たらないな」


「こっちも何もないみたい」


「そもそも何かって何を探してるんですか?」


テンダーの暢気な返事はロザリアンヌのテンションをさらに下げさせた。


「今日はこのくらいにして残りはまた明日にしようか」


ロザリアンヌ達は大賢者様が残してくれた隠れ家を設置できる広場を見つけ、その場で明日まで休憩することにした。

結界を張り、一応レヴィアスによる隠蔽系の罠も張りダンジョンの中でのんびり寛いでいた。


そして食事を済ませベッドに入ろうとした時だった。ダンジョンの中だというのに大きな地震が起こり、ロザリアンヌ達は慌てて隠れ家から飛び出した。


「いったい何事だ?」


「この揺れはなんなの」


「な、何が起こってるんですか!」


部屋から飛び出しそれぞれ不安を口にする。


ロザリアンヌは前世で地震を経験しているが、キラルもレヴィアスもテンダーも地震の経験はなかったのだろう。


辺りを見回し震源地を探ると少し離れた場所で一際大きなゴブリンが地団駄を踏んでいた。


「あれか!」


「アイツがこの揺れを起こしてるの?」


「・・・」


テンダーは揺れに立っていられなかったのか、それとも憤怒の形相のゴブリンに恐ろしさを感じたのか地面に座り込んでいる。


「もう煩いわね!」


ロザリアンヌは下がったテンションの中今まさに寝ようとしていたところを邪魔された怒りが込み上げ、咄嗟に最大級の魔力を込め魔法を放っていた。


「光魔槍雨【シャイニングレイン】!」


ズサズサズサズサズサズサッ!!


雨のように降り注ぐ光の槍が憤怒のゴブリンに次々と突き刺さると、憤怒のゴブリンは抵抗する間もなく光の粒となって消えていった。

ロザリアンヌはこれでゆっくり寝られるかと安堵の溜息を吐く。


「ねえ見て何か光ってるよ」


憤怒のゴブリンが消えた場所には何か光る物が残されているのが見えた。

ロザリアンヌ達が確認に行くと、赤い大きめな魔石とちょっと大きな鍵のような物が残されている。光っていたのは鍵のような物だった。


「鍵だよね?」


「鍵だな」


「鍵だね」


「いったい何の鍵なんだろう?」


「何にしてもこのダンジョンで使う鍵だというのは間違いないな」


「取り敢えず明日また考えよう。今日はもう寝たい」


ロザリアンヌは考えるのを先送りにして眠る事にした。


「もう、置いてかないでくださいよ~」


遅れて追いついてきたテンダーを無視してロザリアンヌ達は隠れ家へと戻るのだった。



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