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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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「この町の名前はポナペティーに決定だ!」


要塞監獄の改善が進み、かなり町らしくなり町の名前を決める事になった。

ロザリアンヌにも意見を求められたが自分達で決めた方がいいだろうと断ると、住人達で意見を出し合い最後は多数決で決められた。


この大陸はとても閉鎖的で共産主義なところがあるが、少なくともこの小さな町には民主主義的な考えが根付き始めたと言っていいだろう。


それがこの町にとって絶対に正しい事かどうかはこの先どう発展していくかにもかかっているのだろうが、少なくともこの町から役立たずと排除される人は居ないと思いたい。


木造建築化が進み町から撤去されたペナパルポの作ったゲルは意外に丈夫で、環境厳しい外に設置しても問題ないと分かり外で生活する人も現れた。

閉鎖された空間に息苦しさを感じていた人も少なからず居たのだろう。


またダンジョンにゲルを持ち込み活動の拠点にする人も出始め、かなり生活も多様化され自由度が目に見えて現れていた。


レヴィアスが連れてきた他国の人々も大分町に馴染み、商会も冒険者ギルドもすっかり町に根付き始めていた。


そして結局ロザリアンヌも手を貸し港を完成させた事で、ジュリオ達も近いうちにこの大陸を目指す事が決定したようだ。

政治的な問題はロザリアンヌには分からないが、ペナパルポ達の為にも交易は必要だろうから是非頑張って欲しいと思っていた。


「明日から最後のダンジョンに挑むわよ!」


ポナペティーにもうロザリアンヌ達の助けは必要ないと判断し、封印の祠にできているだろう最後のダンジョンへ挑む事を決め、決意表明とばかりにロザリアンヌは声を張り上げた。


「どんなダンジョンなのか楽しみだね」


「今回はどんな美味しい食材が見つかるのでしょう」


キラルとテンダーは楽しみらしい。


他の八つのダンジョンがワンフィールドダンジョンで、守り神に会えれば踏破とされていたのだから、同じだと考えたらそう気合いを入れる程でもないのかと思う。

そして今回も神々が愛する食材の何かが手に入ると思うと、テンダーのように楽しみにする気持ちも分からないではない。


しかしロザリアンヌはそんなに簡単じゃないだろうとなんとなく予感していた。

簡単に攻略させるつもりがあるなら、わざわざあんな意味深な場所に条件を満たすと現れるダンジョンを作る訳がないと思っていた。


そしてこのダンジョンを踏破すればこの大陸の守護者に会えるとなれば、どう考えても簡単に攻略できるなどと気楽には考えられなかった。


(そうだ。大陸の守護者に何を願うかも決めておかないと)


ロザリアンヌは前回守護者と会った時のことを思い出し、今回は焦ることもなく願いを口にできるようにちゃんと考えておかねばと思う。


もっとも今回の願いはもう既に心の中では殆ど決まっていた。この閉鎖的なこの国がもっと開かれ明るくなり、けしてペナパルポ達の努力が無駄にならず争いにならないように願いたいと考えていた。


ペナパルポが作り上げたものがむやみやたらに取り上げられるような事があったなら、手を貸したロザリアンヌもさすがに黙ってはいられなくなる。


それはけしてロザリアンヌの望むところではなく、最終的にレヴィアスや他の国を巻き込んでの戦争にでもなったら最悪だ。


平和が一番。争いはダンジョンの中で魔物相手に限るとロザリアンヌは一人そっと呟いた。

そして明朝ここを出発しダンジョン攻略を始める為に、今日は準備を兼ねてゆっくり休むことが決まった。


「キラル、良かったら私とデートしない?」


「デートって・・・」


「たまには二人だけでちょっと遠出してみる気はない?」


最近はすっかり別行動ばかりになっていて、ロザリアンヌ自身少し寂しさを感じていた。

それに飴作りに夢中になっているキラルに約束のリンゴ飴を作ってあげたくなったのだ。

ジュードに神々が愛する食材のお裾分けもしたいし、ついでだから転送ボックスの設置もしてこようと考えていた。


「どこへ行くの?」


「着いてからのお楽しみよ」


ロザリアンヌはキラルと手を繋ぎジュードの街へと転移すると、また人が増えたようで随分と賑やかになっていた。


「街が大きくなってるね」


「あのお酒工場がなかったら別の街かと勘違いしそうだわ」


「ホントだね」


ロザリアンヌはジュードを探し、ジュードの家に転送ボックスを設置して、神々が愛する食材をたっぷりとお裾分けをした。


そして忙しそうなジュードの誘いを断り約束のリンゴ飴を囓りながら、キラルと二人で賑やかになった街の商店街をお祭り気分で散策した。


中央の大通り沿いには色々な店が並び、森の中で寂れていた村の面影などもうどこにもなかった。

店や宿屋だけでなく住宅が増えているところを見ると、ダンジョン目当ての冒険者の他にこの街に定着した人も増えたのだと思うとロザリアンヌも感慨深かった。


「リンゴ飴って甘酸っぱくってちょっと癖になるね」


「それ一人で一個食べきるの大変だけどね」


ロザリアンヌとキラルは本当に久しぶりにのんびりとした時間を過ごしポナペティーに戻ったのだった。



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