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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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キラルは神々が愛する蜜とジャスミンみたいな効果を持つ花を使ってダンジョン産べっこう飴を作り上げた。


キラキラと黄金色に輝くまん丸ドロップは、見ているだけでなんだか幸福感を与えてくれる。

試しに鑑定してみると精神の沈静リラックス効果特化で体力魔力気力集中力の微回復となっていた。

興奮や緊張に怒りや悲しみなどの負の感情を沈静しリラックスできるらしい。その効能を見て何ともキラルが作ったものらしいとロザリアンヌは納得していた。


「こんなに作ってこの飴をどうするの?」


「勿論みんなに配るんだよ」


「売り物にはしないの?」


ロザリアンヌはこの飴を商品にしないのはなんだか勿体ないと思った。


「僕が作った飴は売り物にはしないよ。飴のレシピはロザリーが考えたものだから好きに売って世界中に広めたらいいと思うけど、でも僕が作る飴は僕があげたい人にあげるんだ」


べっこう飴のレシピはロザリアンヌが考えたものではなく、たまたま前世の記憶があって作った事があったと言うだけだ。

だからレシピでお金儲けをする事など考えてはいないが、少しでも多くの人に知って欲しいとは思う。


「レシピは別にお金を取ることも無く世界中に広めて貰いましょう」


飴といえばお手軽な甘味というイメージだけど、キラルが作るからこれだけの効能が付くのだろうし、この飴を商品にしようとしたら材料費を考えてもそう安価で売れるものではないだろう。


だけどべっこう飴自体は作ろうと思えば誰にでも作れるのだから、それぞれが工夫し家庭の味というか作る人個人のレシピが色々あってもいいだろう。

それにそれぞれにきっと愛情という名の特別な幸せ効果が現れる筈だと信じたい。


「この飴と一緒に世界中に笑顔が広がったらいいね」


「そうだね」


ロザリアンヌはキラルの笑顔につられとても優しい気持ちになっていた。


「あっ、今ちょっと閃いたかも」


ロザリアンヌはこのジャスミンみたいな効果のある花を使ってアロマを作ることを閃いた。

入眠時に使うことで安眠できるアロマ。熟睡ししっかりと疲れを取ってくれるアロマを、この花なら作れるんじゃないかと思いついたのだ。


効能はジャスミンみたいだけど、匂いはちょっと柑橘系の雰囲気もあるベルガモットに似ている気がする。

ロザリアンヌ的にはもともと柑橘系の香りが好きなのでもっとオレンジに近い香りの方が好みだけれど、このくらいに爽やかで落ち着いた香りの方が安らげて万人受けしそうだ。


ロザリアンヌは早速アロマの錬成を始める。

ディフューザーで噴霧するかキャンドルにするかなど色々と悩んだが、使用者だけに効果が高くなるようにと結局首筋に塗るタイプを選んだ。


目覚める頃にはしっかり蒸発して無くなっているだろうし、結局は香りの好みも千差万別なのでこの世界で雑魚寝をする人の事も考えたらディフューザーやキャンドルの使用には無理がある。


気をつけるのは塗ることで肌に異常が出ないようにする事と香りがきつくならないようにする事だろう。

作りは回転式のリップや糊のイメージで、少量を首筋に塗ることで体温で溶け出しゆっくりと香りを漂わせる感じ。


最近は簡易錬成のレベルが上がり、マジックポーチを開くと錬成に必要な素材が自動的に錬成陣が作る渦の中に吸い込まれていく。素材が足りないとなんとなく事前に錬成は無理そうだと分かる。


今回は無理そうな雰囲気も無く素材を吸い込んだ渦がグルグルと回り、やがて渦が消えポン! という成功音を響かせて白い光の中からそれが姿を現した。

安眠アロマのできあがりだ。


「これの効果は誰に確かめて貰おうかしら」


ロザリアンヌはそう口にすると、きっと寝る間も惜しんで働いているだろうペナパルポの顔が一番に思い浮かんだ。


「要塞監獄の人達全員に必要なんじゃ無いかな」


キラルはペナパルポだけでなく要塞監獄の人達全員に必要だと考えたのを知り、ロザリアンヌは自分の考えの狭さを反省した。


「きっとキラルのその飴もね」


「じゃあそろそろ戻ろうか」


気づけばロザリアンヌとキラルはなんだかんだとダンジョンにすっかりと長居していた。


「そうね。今夜は私もこのアロマの効果を確かめる事にしようかな」


「僕は必要ないけどね」


「寝なくてもいいなんてホント羨ましいよ」


時間帯の変わらないダンジョンの中で時間も忘れ活動していたので、ロザリアンヌ自身もう何徹しているのか自覚も無かった。

精霊は寝なくても体調を崩す事もなく過ごせるのを本当に羨ましいと思う。


「ハイ! あ~んして」


キラルにキラキラドロップを差し出され、ロザリアンヌは恥ずかしさを感じるより先に素直に大きく口を開けていた。


そしてキラルの手によって口の中に放り込まれたキラキラドロップをゆっくりと舌で転がすと、なんだかとても幸せな味がして気分が落ち着いていく。


「帰ろうか。なんだか少し眠くなってきた」


「アロマを使うまでも無いって事かな?」


「そうかも」


ロザリアンヌとキラルは手を繋ぎゲートルームに入ると要塞監獄へと戻ったのだった。



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