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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ロザリアンヌが次に見つけたダンジョンは、高い山がいくつも連なる山脈地帯フィールドのダンジョンだった。


下層はあまり高くない木々が多く中層は熱帯雨林のような場所もあったりしたが、深層というか山頂付近は岩と氷の世界だった。

山脈の向こう側を知りたかったが、雲に覆われ下界を見る事も下りる事もできなかったのは、そこがこのダンジョンの端になるのだろう。


そして出現する魔物はどの階層もゴーレムで、ただ色や形や大きさに若干の違いを見せ、ドロップする鉱石もそれぞれ違った。


しかし珍しい鉱石を見つける事はなかったので、ロザリアンヌ達はかなりスルーして移動していた。

そして何故かダンジョン中を探し回ったが中ボスと出会う事が出来ず、先に祭壇を見つけてしまった。


今までかなり順調に見つけたというか、出会ってきたロザリアンヌとしてはここに来てちょっと躓いた気分だった。


他の神々が愛する食材をお供えしようかとも考えたが、やはりこのダンジョンで手に入るだろう神々が愛する食材を諦める気にはなれなかった。


「今までのパターンで言ったら中層に居る筈なんだよね」


「探したけど分からなかったね」


「何か見落としているのかもしれないな」


「何を見落としていると言うのですか先生!」


「それが分かれば苦労しないよ」


テンダーの間の抜けた問いにロザリアンヌは思わずツッコミを入れる。


「取り敢えずもう一度中層に戻ってみるか」


「そうね」


ロザリアンヌ達は揃って中層へ戻りどこをどう探そうかと考えていた。


「今までのパターンから言うと変わった魔物が歩いてると思うんだけど」


「でもムール貝は集団の中に混じってたよ」


「そうだな反応が小さいから見逃しているかもしれないな」


「それよりロザリー様、ここは芋が多く自生しているみたいなんですが少し採取しても構いませんかね」


「芋?」


「芋ですよ、芋! ご存じないですか? ちょうど収穫の頃合いみたいですしいいですよね」


「芋は知ってるけど・・・。ねぇもしかして」


「地中に居るとは考えても居なかったな」


レヴィアスが早速気配探知をして確認したようだった。


「あっ、ホントだ。僕にも分かったよ」


「多分アレだね」


キラルもロザリアンヌも多分それだろう気配を探知したが、即座に攻撃するのは避けた。是非ともその姿を確認したかったのだ。


「どうする、掘り返してみる?」


「ねぇテンダー、ちょうどいいからあの辺の芋を収穫してみてよ」


ロザリアンヌはキラルの問いに返事をするようにテンダーに指示を出した。


「了解しました! テンダー行きま~す!」


テンダーが意気揚々とソレに近づくと、ソレはムクムクッとまるで地中の穴から抜け出すように両手を地に着けて現れ、そしてそのまま予想通りにダッシュで逃げ出した。


その姿形はサツマイモなのに色はジャガイモに近い白っぽ芋だった。当然のように手足だけでなくちゃんと目もあった。


ロザリアンヌは即座に瞬間氷結【フリーズ】を発動させる。絶対零度結晶【ダイヤモンドダスト】はかなりの広範囲を凍らせてしまうので、このダンジョンのこのボスの事を考え特訓をして発動速度と命中率を上げていたのだ。


少しでも当たればそこから即座に凍り始めるので、関係ない周りへの被害が少なくて済むと考えていた。

レヴィアスが考えているように100%の命中率で追尾ができれば何も問題なくなるのだが、今のところはそこまでできていなかった。


しかしそんな心配も無く瞬間氷結【フリーズ】は芋を見事に掠め、凍り始める芋の後を追っていたテンダーがすかさずトドメを刺す。


そして芋が姿を消した後に残ったドロップ品を拾い上げたテンダーは、何故かとても自慢気に持って来る。赤い魔石とちょっと色が濃いジャガイモのような形の芋だった。


鑑定すると『神々が愛する芋』とあった。もうそのまんま過ぎてロザリアンヌはちょっとだけ拍子抜けした気分だった。


「この芋で酒を造ったらさぞかし旨いものが作れそうだな」


「酒?」


「芋は酒の原料にもなるのを知らないのか?」


「知ってたけど、そんな発想なかったよ。って事はあの神々が最も愛する酒の原料ってこの芋かしら?」


「そうかも知れないな」


「試してみれば分かるんじゃない。ジュードに頼んでみようよ」


「私はその前にこの芋の味も気になります!」


「そうね増やしてみましょう」


ロザリアンヌは神々が愛する芋から種芋を錬成し、植物成長促進剤で成長を促した。

みるみるうちに大きくなっていく芋を見てロザリアンヌはふと思い出しテンダーに指示を出す。


「テンダーが収穫しようとしていた芋を収穫しといてよ。後で味を比べてみようよ」


「了解しました!」


ダンジョン産の芋がどんなものなのかとっても気になり、ロザリアンヌ達はこうしてこのダンジョンで二種類の芋を手に入れた。


元々このダンジョンにあった芋は十分に美味しいねっとり系の甘みも見た目もロザリアンヌの知っているまんまのサツマイモだった。


しかし神々が愛する芋は皮は白っぽいのに中は黄色と言うよりオレンジに近い色合いで、ねっとりと言うよりはホクホク感の方が強いのにとても甘みも味も濃い芋だった。


「美味しいね」


取り敢えず味の確認の為に蒸かしただけで何も付けていない芋なのにとても美味しかった。


「コレでポテサラや天ぷらも美味しそうだよね。あっそうだチーズと合わせてグラタンも良いね」


「カレーにシチューにポトフに肉じゃがというのもありますよ!」


キラルとテンダーは既にどう料理しようかと考えているようだった。


「神様にお願いしてここを定着して貰ったら収穫祭よ!」


ロザリアンヌ達はもう既に場所の分かっている祭壇へと急いだ。

そして祭壇に神々が最も愛する酒の他にキノコに果物に貝にチーズに芋を供え手を合わせる。


「どうかあの芋畑をこのダンジョンに定着させてください」


すると目の前に現れたのは形はまん丸だけどジャガイモのように所々へこみがある紫色の神様だった。勿論細い手足とつぶらな瞳は当然のようにある。


「願いはしっかり叶えた。私は忙しい。他に願いがあればまたここへ供えに来ると良いぞ」


芋神は姿を現したと思ったら一方的に言うだけ言って姿を消してしまった。


「なんだかあっけなかったね。でもこれで収穫し放題よ。みんな頑張りましょう!」


ロザリアンヌ達は芋畑へと戻り全員で夢中になって収穫した。

キラルは要塞監獄の人達に振る舞うために。テンダーは自分が食べたい料理を想像しながら。

そして珍しいことにレヴィアスもかなり本気を出して収穫していた。どうも酒を造りたいようだ。


酒はテンダーの方が興味を持つかと思ったが、テンダーはもうあの神々が最も愛する酒があるので十分だと考えているのかお酒造りには興味を示さなかった。


どのみちロザリアンヌとの約束によってお酒を制限させられているので、酒がダメなら食の方でとでも思っているのだろう。


そうしていつも以上にたっぷりと満足するまで収穫を済ませ、ロザリアンヌ達はかなり疲れ果ててダンジョンを出るのだった。



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