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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ダンジョンを探しているうちに何度か街を見つけたが、ペナパルポに聞いた話もありロザリアンヌ達が街に寄る事はなかった。


それにこの大陸全土を雪が降り積もる極寒の地だと思っていたがそれは誤った考えで、殆どの地域は寒いとはいっても雪に覆われていない大地が広がっていた。

ただ日の差さない極夜の影響か農業が盛んには見えず、耕された畑を見かけることも少なかった。


しかしその分魔法が盛んなのか、街は魔力由来の明かりで異様に明るく感じた。

そしてそんな明るさに引き寄せられるように集まる魔物を、高い石壁の上から狩っているのを見かけ、これが環境の厳しさから必然的に統制された街なのかと少しだけ感心していた。


だからといって弱者を排除して良いという事にはならないと思うが、今は要塞監獄にはペナパルポが居ると力強く頷いた。


そして次に見つけたダンジョンは黄昏迫る草原フィールドのダンジョンだった。

草原と言っても丘もあり湖もあり、まるでアルプスの放牧地にでも来たかのような景観だった。


下層にはウサギや色の綺麗な雀のような魔物が生息し、中層には雷鳥みたいな変わった模様の鳥にオコジョみたいな魔物が生息していた。


そして漸く見つける多分中ボスだろう不思議な魔物。白いモヤモヤとした何かに全身を覆われていて姿形ははっきりと分からないが目だけはちゃんと見えていて、そしてしっかりと目が合った。


そして思った通り逃げ出す魔物。だが遅い。ロザリアンヌは即座に絶対零度結晶【ダイヤモンドダスト】を放つ。

ピキピキと固まり始めると魔物を覆っていた白いものがボロボロと落ちその魔物本来の姿を現した。


「豆?」


それは色は違うがロザリアンヌが前世で見た事のある枝豆のような、さやのままの枝豆に手足に顔がある不思議な魔物の姿だった。


「倒して良いのか?」


ロザリアンヌが観察しているとでも思ったのかレヴィアスが確認してくる。


「あっ、うんお願い」


「じゃあ、今回は私にやらせてください!」


ロザリアンヌの返事を聞くと、喜々したテンダーが名乗りを上げ手にしていた弓でトドメを刺した。

それ程大きくもない魔物に見事に命中した事を自慢したいのか胸を張りドヤ顔をして見せたが、ロザリアンヌは敢えて視線を逸らしドロップ品を楽しみに待った。


そしてキラキラとした粒子になって魔物の姿が消えた後に残ったのは赤い魔石と薄い白い膜のようなものに覆われた何かだった。

鑑定してみると『神々が愛するチーズ』とでた。


「チ、チーズ?!」


ロザリアンヌは思わず大声を出していた。


(チーズって牛や山羊の乳で作るんじゃないの? あっでも植物性のチーズがあるって話には聞いた事がる。って事はコレは植物性のチーズって事?)


ロザリアンヌは湧き上がる疑問とともにふとある考えも浮かぶ。


(もしかしたらこのチーズは植物の実って事になるのかな? だとしたら植えたら増やせる?)


ロザリアンヌは神々が愛する貝の稚貝を錬成できたように、このチーズの種も作れないかと考えた。


(味も気になるがまずはやってみるか)


ロザリアンヌは自分の思いつきのまま錬成を試みる。もし失敗しても他の神々が愛する食材を供えれば大丈夫だと分かっているので既に迷いはなかった。


さっき倒した枝豆風の魔物の種をイメージしようかと考えてやっぱり止める。別に枝豆を育成したい訳じゃない。今回はこのチーズの実がなる植物を錬成したいのだ。


ロザリアンヌはしっかりとチーズが実っている植物をイメージして種の錬成をした。するといとも簡単に種の錬成に成功する。

あまりに簡単すぎてロザリアンヌは自分の錬成の腕がまた上がったのかと思う。


そしてロザリアンヌはそのまま植物成長促進剤を使い錬成した種を育てると、思った通りグングンとチーズの成る植物に成長した。

一見幹が太く木にも見えるが色からしても木ではなく普通に畑に植わっているような植物だった。

ただその枝に実っているのが白い膜に覆われたチーズという不思議な光景ではあったが。


勿論ロザリアンヌは迷うことなくしばらく収穫を繰り返し、十分な量を確保したところで祭壇を探しに深層へと向かう。


深層の魔物は鹿か山羊かといった感じの角が立派な魔物だった。

襲いかかってくれば当然倒したが、優先すべきは祭壇を見つける事だと無視できる時は放置した。

そして見つけた祭壇に神々が最も愛する酒とともにキノコに果物に貝にチーズも並べて捧げ手を合わせた。


「どうかあのチーズ畑をダンジョンに取り込んでください」


すると現れた神は文旦じゃないのかといった感じのまん丸な姿に細い手足が付いたつぶらな瞳の黄色い神だった。

ただ今までとちょっと違いがあるとしたら白い髭があったことだろうか。


「ふぉっふぉっふぉ。殊勝な心がけである。願いはしっかり叶えた。あの畑はこの儂が自ら管理してやるから安心せい。これからも励めよ」


とても機嫌良さそうで嬉しそうな文旦神の姿にロザリアンヌも何故かとっても嬉しくなった。

そしてダンジョンに取り込まれても管理が必要なのかとロザリアンヌはふと疑問に感じたが、折角の申し出をありがたく受け取り、ロザリアンヌ達は祭壇傍に現れた転移紋でダンジョン入り口へと戻るのだった。



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