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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ロザリアンヌ達が次に見つけたダンジョンは洞窟タイプのダンジョンだった。

洞窟といっても鍾乳洞に似て足下は水場も多く湿っていて、荒々しく削られた岩やゴロゴロとした石が転がりとても歩きづらかった。


下層はフジツボやナマコ中層はヤドカリにヒトデと、明らかに海辺の生物に似た魔物ばかりでボスはムール貝だった。

岩に数え切れない程のムール貝がびっしりと張り付いて居たのだが、その中の一つだけが気配探知に引っかかったので気づく事ができた。


今回は逃げるパターンじゃないのかと思いなが、念のためにいつでも発動できるように魔法を待機させると案の定群れからスクッと立ち上がり逃げ出した。

さすがに三度目ともなれば慣れたもので、ロザリアンヌは待機させた魔法を即発動させる。


「絶対零度結晶【ダイヤモンドダスト】」


凍った足下の海水に滑って転ぶムール貝がそのままの格好で凍り始めるとキラルがトドメを刺した。

そしてキラキラとした粒子となって消えるとそこには赤い魔石とアワビに似た貝がドロップしていた。

鑑定すると『神々が愛する貝』とある。


(うん、やっぱり美味しそう。コレは是非とも私も食べたい!)


しかし今までの神々シリーズは植物系だったので育てることができたが、アワビ似たこの貝を増やすとなるとやはり養殖でなければ無理だろう。


「養殖ってどうしたら良いんだろう?」


「私達が知る訳がない」


レヴィアスが答えるとキラルとテンダーも揃って頷く。


「餌が海藻だって事は知ってるんだよ。それに稚貝を育てるっていうのも」


前世で子供の頃磯遊びをしていて偶然にも岩陰に張り付くアワビを見つけた事があった。

アワビは海水が低く明るすぎない海底の岩場に居るものだと思っていたので、どうしてこんな所にと不思議で仕方なかった。


それもかなりの大きさだったので、子供ながらに宝くじでも当てたような気分で喜び、必死になって剥がして手に入れたのを覚えている。

何しろアワビは高級で養殖は難しいと大人達が話していたのをしっかり聞いて知っていたから。


家に持って帰ったは良いが、その時は貝殻から身を取り外すすべを知らず、良く洗った後酒蒸しにして焼いて食べたが、調理方法が悪かったのかとっても堅かったのしか記憶にない。


あれからアワビとは名ばかりのトコブシしか食べた事がないので、是非とも神々が愛する貝の味を堪能したい。

その為にも何が何でも養殖を成功させたい。


「取り敢えずコレを元に稚貝を錬成してみるか」


初めての貝から稚貝という生き物の錬成に緊張しながら、出来る出来ないではない絶対に成功させるんだという意気込みで挑む。


薬草だってキノコだって大きく括れば生き物なのだし、この錬成が失敗に終わる訳がないと自分を信じ錬成に集中する。


ポン!


錬成が成功した音とともに、かなりの数の稚貝が錬成できていた。


(おぉぉ、やれば出来るじゃん私!)


ロザリアンヌは出来上がった稚貝を見詰めニマニマとしてしまう。


そして適当な水深の水場を探しワカメに似た海藻を植物成長促進剤を使って繁殖させ、そこに稚貝を放流してみた。勿論念のため全部ではなく半分は残してある。


植物成長促進剤が稚貝に効果があるかは分からなかったが、稚貝が浮遊する場所に数滴垂らしてみる。

すると願ったとおりみるみるうちに大きくなり始め、次々と岩場に張り付き海藻を食べ始めた。


海藻は枯れることもなく食べられた分すぐに復活していて、コレならこの場での養殖も大丈夫だろうと思えた。


「獲るわよ」


十五センチ程に育った神々が愛する貝を見てロザリアンヌはみんなに声をかけた。

養殖するつもりでいたのにうっかり採り尽くしてしまったので、新たに稚貝を放流して様子を見る。

そして無事に成長し始めたのを確認してロザリアンヌは急ぎ祭壇を探す事にした。


この場を養殖場としてダンジョンに取り込んで貰えれば、この先神々が愛する貝がこの場から採り尽くされるという心配も無くなるだろう。


そこからは深層を目指し急ぐと案外と早くたどり着いた。魔物はタコに似た魔物だった。

海の悪魔とか言われるらしいが、ロザリアンヌには美味しそうにしか見えず、見かけるとつい相手をしてしまう。


そうして予定より時間をかけ祭壇にたどり着くと、神々が愛する貝を奉納し手を合わせる。

するとまん丸なフォルムに細い手足そしてつぶらな瞳でお馴染みになったダンジョンの守り神が現れた。

今回の神様は真っ白でパールを思わせる光沢があったのでパール神と名付ける。


「お願いです。私が作った神々が愛する貝の養殖場をダンジョンに取り入れてください」


「・・・・・・願いは叶えた」


ロザリアンヌはその返事に心から安堵し、祭壇傍に現れた転移紋を無視して急ぎ養殖場へと戻った。


そして神々が愛する貝を採取してみると、なんと不思議しばらくするとその場にまた新たに神々が愛する貝が復活した。稚貝ではなくしっかりと成長した大きさで。


「やったーーー!」


ちゃんとダンジョンの一部として取り込まれ、復活したのを確認してロザリアンヌは心から喜んだ。


それから勿論気の済むまで神々が愛する貝を採取して、海鮮バーベキューをたっぷり楽しんでからダンジョンを後にした。

当然だが神々が愛する貝は間違いなくとっても美味しかった。



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