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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ロザリアンヌは転送ルームを錬成し要塞監獄とダンジョンを行き来できるように設置した。

魔石を燃料に部屋の扉が閉まると転送陣が発動される形で、魔石を交換できるようにしてある。


今のところは監獄要塞と苔玉神のダンジョン間しか行き来できないが、いずれは大陸にある全部のダンジョンと監獄要塞を繋げ監獄要塞の転送ルームからは行き先を選べ、ダンジョン側からは帰還のみにする予定。


多分帰りはドロップ品などダンジョンで採取した物が増える分使用魔力も増えるだろうし、疲れた状態で別のダンジョンに転送される事故を防ぐ為にもそうした方が良いと考えたのだ。


ペナパルポはゲルの暖房を開発していた。

ロザリアンヌは前世の知識からエアコンや暖炉やコタツみたいなものを予想していたが、ペナパルポが最終的に作った暖房装置は電気カーペットみたいな暖房器具だった。


元々要塞監獄で使われていた大量の毛皮を使って作った絨毯の中に、魔石を利用し熱を持たせたアルミニウムを挟み込み床から暖を取る方法だ。

勿論魔石交換方式で室内が熱くなりすぎる事もなく、床に直にゴロゴロする風習がないので低温やけどの心配も無く空調も綺麗なままなのがとってもいい感じ。


もっともその前にペナパルポがロザリアンヌに聞かせた設計は、熱を放つ球を天井からぶら下げゲルの天井付近の空気を攪拌させ部屋中を暖めると言うものだったので、危ないし部屋に居て落ち着かなくなるだろうと反対した。


ロザリアンヌがあれこれ提案するのは簡単だったが、ペナパルポが自分でやると決めていたのであくまでも相談に乗る形で助言を続け、何度か失敗をした後に電気カーペットみたいな暖房器具が作られたという、一応それなりの苦労はあった。


しかし失敗を重ねた事もペナパルポにはとっても良い経験だったのか、ペナパルポはさらに錬金術に魅せられたようだった。


「ロザリアンヌ、後はアイツらに何が必要だと思う?」


「それを考えるのも楽しいよね」


「ロザリー、そろそろこの要塞に扉を作ってくれないか。それとギルドと商会の店舗も頼む」


「それはペナパルポさんに任せようと思うの。良いよね?」


「ロザリアンヌ、俺はお前の弟子になったんだ。呼び捨てにしてくれ。なんだか落ち着かない」


「そう? じゃぁペナパルポ、レヴィアスと話し合いながらやってみて。私は自動翻訳機に取りかかるから」


ロザリアンヌはゲルや暖房カーペットなどに関わるすべてはペナパルポに任せる事にした。

ペナパルポに自分の作ったレシピだという自覚と責任を持たせようと思ったからだ。

ロザリアンヌも一番始めにソフィアから教わった事だった。


正確にはゲルはロザリアンヌのレシピだったが、ペナパルポも普通に作れるようになっているし、この地に必要な物と考えペナパルポに譲ったのだから今はしっかりペナパルポのレシピと言っていいだろう。


ロザリアンヌはユーリから貰ったメイアンの辞書と、ジュード達の居たクトラ大陸の辞書を使いそれぞれの翻訳辞書を錬成し、その後複製した翻訳辞書を元に自動翻訳機を作り上げていく。


そしてロザリアンヌは苔玉神のダンジョンへと移動すると、いまだに要塞監獄の人達とはしゃぎ回っているテンダーを探した。


「テンダーお願いがあるの~」


「ロザリー様、何でしょう!」


ダンジョン内でおもいきり大声で叫んでみると、聞きつけたテンダーが足早に移動してきた。


「これを使ってみて」


「これは?」


「自動翻訳機よ。テンダーはメイアンの言葉もここの言葉もまだ片言よね。しっかり言葉が通じるか試してみて」


「なるほど、了解しました! すぐ済ませてきます!」


またしても足早に立ち去っていくテンダーを見送り、ロザリアンヌは次にキラルを探した。

キラルは川辺で大鍋を使い何人かと一緒に砂糖を作っているようだった。

錬成鍋を使わないところをみるときっと要塞監獄の人達にも砂糖の作り方を教えているのだろう。


別々に行動していてもみんながみんなちゃんと自分のできる事を考え、要塞監獄の人達の役に立とうとしているのだと感じロザリアンヌは感激していた。


できる事はそれぞれ別々でも同じ方向を見て進んで行る。同じ思いを共有できる。今ロザリアンヌがしていることはけして間違いでは無いと言ってくれているようで心強くなり、ロザリアンヌはキラルやレヴィアスにテンダーが仲間で本当に良かったと改めて感じていた。


「キラル、べっこう飴はどうなったの?」


「作りすぎて砂糖が無くなっちゃったから今はまた砂糖を作ってるの」


「そんなに作ったの?」


「だってみんなが美味しいって喜んでくれるから」


(気持ちは分かるよ)


喜んでくれる人を目の前に調子に乗っちゃうキラルの気持ちも、今まで食事に飢えていただろう要塞監獄の人々に与えられた甘味に取り憑かれる気持ちもロザリアンヌにはとっても良く理解できた。


「甘い物の取り過ぎは体に毒よ。適度にね。それより向こうの準備が整ったからそろそろ戻る準備を始めて欲しいの。このダンジョンにはまたいつでも来られるようにしてあるわ。それに私達もそろそろ別のダンジョンの攻略を進めないとね」


ロザリアンヌは帰りたくないという要塞監獄の人達を説得するように話した。


そして自動翻訳機の機能はバッチリだったと意気揚々と戻ってきたテンダーにも同じ事を伝え要塞監獄の人々を集めて貰い、みんなに転送ルームの使い方を教えながら要塞監獄へと戻って貰った。


取り敢えず要塞監獄の問題はこれで一段落しただろうとロザリアンヌは一息吐き、明日からは別のダンジョン攻略を始めようとみんなと話し合うのだった。



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