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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ロザリアンヌはソフィアの錬金術店に転送ボックスを設置しその使い方の説明をした。

そして急遽夕飯を家族全員で一緒に食べるようにセッティングし、ソフィアだけでなくリリーとダリアそして父母兄達にもそれぞれ改良された転送文箱を渡し使い方を教えた。

これで家族全員といつでも連絡が取れるようになったと安心し、キラル達が待っているダンジョンへと急ぎ戻った。


「遅くなってごめん~」


「あれっ、今夜は泊ってくるかと思ってたよ」


心配しているだろうキラルに声をかけるが、予想外の反応にロザリアンヌは少しだけ寂しさを感じた。

いつも傍にいて笑ってくれているキラルがどこか遠くへ行ってしまうような不安もあるが、キラルがロザリアンヌ意外のことに興味を示し夢中になっているのが嬉しいような複雑な心境で、話に聞いた親が子離れに感じる感情はこんな風なのかもしれないと思っていた。


「何をしてるの?」


キラルはさっきから錬成鍋から目も離さず腕組みをした体勢でロザリアンヌの相手をしている。きっと何か考えているところなのだろう。


「折角甘くて美味しいシロップがあるんだからそれを使った何か美味しいものを作ろうって思ってさ」


「それはいいわね」


「でもこのダンジョンにある材料だけでってなるとちょっと難しくて。牛乳があればプリンを作れるんだけどなぁ・・・」


キラルの知っているスイーツは小麦を必要とする物が多いので、このダンジョンで手に入る材料だけでとなると結構難しいのだろう。


「普通にシロップを煮詰めたらいいんじゃない。固めて飴にするのよ」


ロザリアンヌは前世で手作りしたことのあるべっこう飴の事を思い出しキラルに助言した。


「砂糖だけを煮詰めるの?」


そういえばキラルはまだ飴を食べたことがなかったのかとふと可笑しさを感じた。

クッキーやケーキなどのスイーツは色々と食べているのに、一番素朴な甘味に触れていなかったというかロザリアンヌも教えていなかったのだ。


この世界にコンビニやスーパーがないから余計にお手軽甘味が普及しづらいのだろうが、子供達に駄菓子は絶対に必要だとロザリアンヌは思う。

その第一歩の為にも是非べっこう飴に留まらず色んな味のキャンディーを作って貰いたい。


「リンゴ飴やミカン飴も久しぶりに食べたい! なんだかとっても懐かしい」


ロザリアンヌはべっこう飴の話をしていて、前世のお祭りで食べたリンゴ飴やミカン飴を思い出し無性に食べたくなった。


「リンゴ飴って何?」


「リンゴを飴でコーティングした物よ。リンゴの味の飴もあるんだけどそれとはまた別物なの」


「え~、何それ美味しそう。僕食べたことないよ」


「私もこの世界では食べたことないわよ。キラルが思い出させてくれたの。作って見せようか?」


「うん、お願い。あっでも、ここにリンゴは無いからリンゴ飴はまた別の機会にしよう」


「そうね・・・」


ロザリアンヌの気分は既にリンゴ飴だった為、マジックポーチからリンゴを取り出そうとしてキラルに止められ泣く泣く諦めた。

仕方なく始めに話したべっこう飴を作って見せ、果汁を足すと味を付けられるとか生クリームや牛乳を入れるとキャラメルになると教えた。


「美味しい~」


「でしょう。溶け終わるまで口の中で楽しむの。幸せな時間が少しでも長く続くように」


「えっ僕噛んじゃったよ」


「まぁそれも楽しみ方のひとつよ。別にどう食べてもいいの決まりはないわ」


「これ、僕も沢山作ってみんなに配るね」


キラルは新しいレシピが増えたのが嬉しかったのか早速やる気満々だ。


「ところでテンダーはどうしてるの?」


「みんなを連れてシロップの元のになる蔦を取りに行ってるよ。砂糖の作り方を教えるって張り切ってる」


「えっ、だってテンダーって言葉が通じないじゃない」


ロザリアンヌには言語理解があるし、キラルとレヴィアスは精霊の特別な何かがあるから別として、テンダーはこの大陸の言葉を話せなかった筈なのにとロザリアンヌは疑問に思う。


「片言だけどみんなと普通に意思の疎通はできてたよ。テンダーって言葉を覚えるの早いよね。きっと知能が高いのかな」


ロザリアンヌはテンダーが既にこの大陸の言葉を理解し始めていると聞いて本気で驚いた。

要塞監獄の人々と接触し始めてからまだそんなに時間が経っていないのに、もう意思の疎通ができるとかロザリアンヌの常識では考えられなかった。


コミュニケーション能力が高い人は身振り手振りでも意思疎通できると聞いたことはあるが、テンダーのコミュニケーション能力が飛び抜けて高いようには思えない。


「知能が高いってだけでは説明が付かない気がする。何か特別な能力でも持ってるのかな?」


「分からないけど、あの大陸では一応エルフって精霊種族って事になってるんでしょう。だったら何か特別な能力があってもおかしくはないよね」


「あぁ~、言われてみればそうね」


ロザリアンヌはテンダーがあまりにも人間くさいのでつい忘れがちになるが、テンダーはエルフで、エルフは精霊種族と呼ばれる一応特別な種族なのだった。


「テンダーはただの食いしん坊じゃないって事だよ」


テンダーを認めるかのようなキラルの発言にロザリアンヌはちょっとだけ動揺し、そして何故かほっこりとした気持ちになるのだった。



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