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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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「弟子って、あなたが、私に?」


要塞監獄で牢名主のようにみんなを纏めていたペナパルポがロザリアンヌの弟子になるなど想像することもできず、ロザリアンヌは思わず指さし確認してしまう。


「そうだ」


「なんで!?」


大きく頷くペナパルポにロザリアンヌはつい大声を出してしまった。

話の流れからして魔導書が作れるからって事なんだろうけれど、ペナパルポのように魔方陣を描いて魔法を発動させられるのなら魔導書なんてすぐに作れるだろうし、人に教えるのも簡単だから魔導書なんて必要ないだろう。

実際にロザリアンヌは魔導書もなく転送魔法をすぐに習得できた。


「なんでって、俺も魔導書を作れるようになりたいからだが」


何を当然のことを聞くとばかりに顔をしかめるペナパルポの表情はそれだけで怒っているようだった。


「だからなんで魔導書を作れるようになりたいのか聞いてるの。だって魔方陣で魔法を発動させてる時点で魔導書を作ったも同然じゃない」


「この国じゃ魔法など作業の一部のようなものだ。俺には師が居て適性があったから教えて貰えた魔法もいくつかあるが、欲のあるヤツは人が発動しているのを見て盗む。細部まで覚えきれないから結局は自分で試行錯誤する事になる。しかしそんな事が上にバレたら粛正対象になりかねないから、大抵は教えられた魔法を使い与えられた役目を果たすだけだ。そんなのはつまらんだろう。魔法とはもっと便利である筈なんだ」


「えっとぉ、魔法を覚えるのは大変って言いたいのかな?」


普通は適性があれば初級魔法を習得し、熟練度が上がると中級上級と魔法を覚えていく筈なのだが、ここでの魔法は魔方陣を覚えることでしか習得できないという事だろうか?


「そうだ、俺は知っている。魔導書さえあればどんな魔法も使えるようになるのだろう?」


やはりまだ全然話が噛み合っていない気がして、ロザリアンヌはペナパルポが何を考えているのか何を言いたいのかかまったく理解できないでいた。


「一応覚えることはできるわね。でもそもそも自分が使える魔法しか魔導書は作れないのよ。ペナパルポさんはそんなに沢山の魔法を使えるって事?」


「今は使えない。だが魔導書は作れると思うしこれから考える事も可能だ!」


「自分で考えるって事? 魔法を?」


「だから始めからそう言っているだろう。自分で考えた魔法を魔導書にする事で魔法にできるのだろうが」


「???」


「あぁ~、もう分からんかな! 俺の頭の中にはこんな魔法があればと言う構想はある。それを魔方陣にしてみても発動させる事ができない。だが魔導書にさえできれば覚えられるだろうが!」


ロザリアンヌは漸くペナパルポが何を言いたいのかが分かった気がした。

よく魔法はイメージが大事と言うが、きっとペナパルポの頭の中にはそんな沢山のイメージがあるのだろう。そしてその一つ一つを魔導書にできれば使えるようになると思い込んでいるのだ。


「それは無理よペナパルポさん。そもそも魔法は適性がないと使えないのよ。ペナパルポさんは光と水の属性を持つと言っていたけれどそれ以外の魔法を習得しようとしているんじゃないの?」


「そんな属性の話をしているんじゃない! 俺にだってそのくらいの事は知っている。例えばだ、さっきゲルを作るのに皮を三重に張るのに少々手間取ったがアレを貼り付け一枚にできる魔法があったらもっと便利だっただろう? もっと言うなら組み立てるのも魔法でできたらもっと楽だっただろう? 多分俺ならアレを魔導書にさえできればできるようになると考えている」


「ペナパルポさん。それは錬金術の分野だわ」


「錬金術?」


「そう錬金術」


そういえばペナパルポは生活を楽にする魔法を考えていたと言っていた。

ペナパルポはきっと魔導具製作や錬金術に従事する方が向いているのだとロザリアンヌは理解した。


今までペナパルポの周りに錬金術を使う人は居なかったから知識にないのだろうが、考え方も発想も魔法使いと言うよりそのまま錬金術師だ。


そしてペナパルポはロザリアンヌより発想が豊かで生活の役に立つ錬成をするのだろうと、ロザリアンヌは少々悔しく思いながら確信する。


「試しに今やって見せるわね」


ロザリアンヌは今度は錬金術を使いゲルを錬成してみせることにした。

さっきはここで暮らすペナパルポ達の事を考えわざわざ手作りしたが、今度はペナパルポに錬金術を教える為に。


一カ所に纏められた素材の上に錬成の紋章を描き魔力を流していく、すると素材全部がグルグルと渦巻く空間に飲み込まれ白く発光し始める。

光はだんだんと眩しく大きくなりやがてボン! と言う成功を合図する音と共に収束し、そして目の前にはさっきペナパルポ達と作り上げた物と同じゲルが出来上がっていた。


「ねっ、こういう事でしょう?」


「ああ・・・」


ペナパルポの中にイメージがしっかりあるというのなら、きっと錬成もコツを覚えればすぐにできるようになるだろう。

ロザリアンヌは魔導書作りではなくペナパルポには錬金術を教えることにしたのだった。



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