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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ミミズの魔物の皮は薬の材料になるだけで無く、軽くて丈夫で伸縮性に富み衝撃にも強く思いの外大きかったのでかなり応用が利いた。

なのでロザリアンヌはそれを活用し、まずはモンゴル式の移動型住居のゲルを川の側に作った。


ゲルならば大型テント扱いで、間違っても開拓扱いにはならないだろうと考えていた。

フェンリルは開墾と言っていたが、万が一開拓し住居を建てても同じように魔物が成長しないとは言い切れなかったからだ。


出来上がったゲルは鶏のような魔物や木の根っこみたいな魔物の突然の襲撃からは十分に身を守れるだけの強度はあったので、このまま魔物が成長することがなければ問題ないだろう。


ただこのダンジョンは天候も季節も時間的太陽の変化も起こらないので、ありがたいのか不便なのか良く分からないダンジョンだった。

だから問題があるとすれば今まで薄暗い環境で過ごしていた人々が、この夜の来ないダンジョンで過ごしつづけて変調をきさないかという心配だけだ。


なのでロザリアンヌはミミズの魔物の皮を三重に張ることでできるだけゲルの中を暗くし、主に寝るために過ごす空間になるようにした。


今回ロザリアンヌは錬金術を使わずにペナパルポ達と一から試行錯誤をしながら手作りしたので結構な時間がかかってしまったが、かなり満足のいく物が出来上あがった。


「これは良い拠点ができた。助かったぞロザリアンヌ」


要塞監獄に居た他の人々は既にここでの生活を始めていた。

主にテンダーが森での生活の知恵を色々と授けたようで、今は川で魚を捕るのに夢中になっている。

川には他にもエビや沢ガニのようなものも居たらしく、生き生きとした声が上がっているのをロザリアンヌだけでなくペナパルポも嬉しそうに聞いていた。

この分なら武器や防具の作成は少しばかり後回しにしてもいいだろうとロザリアンヌは判断する。


「じゃぁそろそろ転送魔法を教えて貰おうかな」


「そうだな。約束だったな。アレはただ単に召喚魔法を応用したものだ。遙か昔召喚を盛んに行っていた時代があったが、生け贄と大勢の魔力を必要とする割に期待通りの召喚ができない事が多かったのでだんだんと廃れていった。そして生け贄を省き少ない魔力での召喚が転送に使えると気づいた師匠がさらに使いやすいようにと改良した魔法が転送魔法だ。だがそれが失敗だった」


ペナパルポはそこまで話すととても辛そうな表情を浮かべ黙り込んでしまう。


「何かあったの?」


「師匠は生活の利便性を考えて転送魔法を作ったんだ。だが実際は此奴らをこの地に転送するために使われる事になった。街で死刑にする訳に行かない此奴らを、実際には何も犯罪を犯していない此奴らをこの地に送り見殺しにする為にな。師匠はその結果に絶望していたが俺に残してくれたのは幸いだったな。この魔法のお陰で今まで此奴らを生きながらえさせる事ができたんだからな」


ペナパルポは今までずっと生物反応を探知しては自分の元へ転送させ、魔物を仕留め糧にして生活していたそうだ。

しかし最近ではかなり遠くまで探知を広げないと魔物の数が少なくなっていて困っていたところ、ロザリアンヌ達の気配を察知し、特に大きな魔力の反応にどんな大きな魔物かと恐れと期待とで話し合いが白熱していたと聞いてちょっと笑ってしまった。

どおりで転送された時大勢に取り囲まれていた訳だ。あの時一気に襲いかかられていたらと思うとけして笑えないのだが。


「少なくとももう食料の心配はないわね」


「ああ、実際にロザリアンヌは大物だったって事だ。みんなの腹がこれだけ膨れたんだからな」


ロザリアンヌはどこかほっこりした気分で転送魔法を教わっていた。

この大陸の魔法は魔法と言うより魔術といった感じで、魔法の紋章所謂魔方陣を描き魔力を込める事で魔法を発動させる。

なのでよく使う魔法は魔方陣をあらかじめ書き留めた物を用意しておくか、体の一部に入れ墨のように刻んでおくのだそうだ。

そして自分の得意な属性があるのは変わらないらしく、ペナパルポは特に光属性と水属性が得意なのだそうだ。


「ペナパルポさんはもしかしたら聖者なの?」


ロザリアンヌはペナパルポの牢名主のようなごっつい見た目からは想像できない職業だと思うが、その性質や気質は聖者そのものかもしれないと思っていた。


「何だそれは?」


「職業よ。ステータスにある職業」


「ステータスなんて聞いたこともないな。そもそも職業とは仕事に従事する者達の区分だろう。俺は税も払えないただの罪人だ。そんな事よりどうだ転送魔法は使えそうか?」


この大陸にはステータスは存在しないらしい・・・。


「当然よ。魔方陣を書くのは得意なの。一応これでも魔導書も作れるのよ」


実はロザリアンヌは転送魔法の魔方陣を教えられた時点で習得できてしまっていた。

そして既に魔導具化の構想もできていて、実際に錬成してみたいとウズウズしていたのだ。


「魔導書を作れるのか!?」


「ええ」


驚くベナパルポの様子にロザリアンヌの方も驚いてしまう。メイアンでは普通に魔導書は販売されていたしそこまで驚く事もないだろうにと。


「・・・俺に。いや、ダメだな」


「何よ、はっきり言ってくれないとなんだか気持ち悪いわよ」


「俺を弟子にしてくれ!」


「えっ、ええぇぇぇーーー」


いきなりのペナパルポの思いもしない弟子発言に心から驚くロザリアンヌだった。



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