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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ロザリアンヌは前世の日本での結婚式を思い浮かべすっかりその通りなのだろうと思っていたが、実は貴族様の結婚式って婚姻届を書くみたいな契約の取り交わしをする為のものだと聞いて驚いていた。


教会はあくまでも結婚に関しての立会人兼市役所の住民課みたいな役割らしく、そもそも一般の平民などは教会関係なく式などしないそうだ。

なのでメインは披露パーティーの方で、結婚したことをみんなに知らせ祝われるかが重要らしい。


前世ではすっかりジミ婚が流行り、自分がもし結婚することがあったなら寧ろ結婚式も披露宴も必要ないと考えていた。

そこにお金をかけるなら別のことに使いたいとか貯蓄しておきたいとか、披露宴に呼ぶ人たちに余計なお金を使わせるのは申し訳ないとか思っていた。

もっとも親族以外で結婚式や披露宴に呼べるような知人友人などあまりいなかったが・・・。


しかしやっぱり誰かに祝われそしてこうして祝う事ができるイベントは、楽しく嬉しい思い出になるのだと思いながら披露パーティーに参加していた。


大きなベールを広げ盛大に登場したとても美しいアンナの姿に感動しながら、間違いなく今が一番綺麗に輝いている瞬間なのだろうと思い出のページに刻みつけていた。

そしてその瞬間を共有し一緒に祝える幸せをかみしめロザリアンヌは感極まっていた。


「ア、アンナが幸せそうで、グスッ。ほ、本当によ、良かったぁ~」


「ハイ」


自分で用意していたハンカチは握りしめられていたこともあり、すでにもうグチャグチャになっていた。

なのでキラルに差し出されたハンカチをありがたく受け取りロザリアンヌは溢れ出る涙を拭き鼻をかんだ。


「厚化粧してなくて良かったね。きっと今頃大変なことになってたよ」


ロザリアンヌは前世でもあまり化粧をする方ではなかった。なのでこの世界でも同様に普段は化粧をしていない。

しかし今回はさすがにドレスに合わせ薄化粧を施していたので、化粧崩れを心配してくれるキラルの言葉に思わずハッとした。


「大丈夫だと思う?」


「う~ん、気になるなら直してくれば」


「じゃぁそうする」


「僕は料理をチェックしてくるからゆっくりでもかまわないよ」


料理は立食バイキング形式だったのでキラルは早速料理を選びに行ってしまい、取り残されたロザリアンヌは化粧室へと足を向けた。


本当ならアンナの元へ祝いに駆けつけたいところだが、挨拶をしようとする貴族様方が列をなし始めているのでそこへ混じる気になれず遠慮した。


当然ジュリオやユーリなどロザリアンヌが知っている面々は同じように貴族様方に囲まれていたので、ロザリアンヌはもうすでにこの場に居る意味を見失い始めていた。


(アンナの幸せそうなウエディングドレス姿も見られたし、お祝いを言う為の時間はなさそうだし、もう帰ってもいいかなぁ。でもキラルは料理を食べたがるだろうしなぁ・・・)


ロザリアンヌはゆっくりと化粧を直し念入りに自分の姿をチェックしながら時間を潰しホールへと戻った。


するとすっかり仲良くなった(?)ユーリとキラルがロザリアンヌを待ち構えるように雑談している。


「あっ、ロザリー。ロザリーの分も料理を持ってきてあげたよ」


ロザリアンヌの姿を確認したキラルは両手に料理皿を持ち何やら嬉しそうに声を上げる。お皿の上には一口大にされた見た目も美しい料理が飾られるように乗せられていた。


「あ、ありがとう」


差し出されるお皿を受け取りながらロザリアンヌはユーリに失礼のないように会釈をする。


「思った通りよく似合っている。そのドレスを選んだ僕としても鼻が高い」


(ドレスを選んでくれたのは店員さん達だよ? 私が本当に美しく見えるのだとしたらそれは店員さん達のお陰で賞賛すべきは店員さん達のセンスだよね)


「褒めすぎですよ。でも本当にありがとうございました」


ロザリアンヌは内心とは裏腹にユーリにお礼を言う。


「そこは素直に綺麗だって言うだけでいいんじゃないかな」


「グホッ。ゴホッ」


ユーリはキラルのツッコみに顔を赤くしむせるように咳き込んだ。

ロザリアンヌはユーリのこういうところが女性に対して不器用と言える所以なのだと理解する。


「大丈夫ですか?」


「いや、そ、その、今日の君はとても美しい・・・」


「だからその『今日の』ってのは余計なフレーズだよ」


「・・・・・・」


キラルのまたのツッコみに今度は顔を青くするユーリにロザリアンヌは可笑しさが込み上げてくる。


「学校当時の先生からは想像もできませんね」


「だから、その、ユーリと・・・」


「はい?」


あまりに小さな呟きを上手く聞き取れなかったロザリアンヌは聞き返す。


「・・・もう私は教師ではない。だから、その、先生ではなくユーリと呼んで欲しい」


「えっとぉ・・・」


突然の申し出にロザリアンヌはちょっとだけドギマギした。いきなり呼び捨てにしろと言われても困ってしまうが、そう思う反面意識してしまったのだった。

そして意識してしまうと尚更に呼び捨てになどできるはずもなかった。


「呼び捨てになどできません。ですからユーリ様でどうぞお許しください」


「元々許すも許さないもない話だ。そ、それでかまわない」


ロザリアンヌの提案にユーリは少しだけガッカリした様子を見せる。


「取り敢えずお友達からってヤツだね」


「やだなキラルったら、そんな言葉どこで覚えてきたのよ」


ロザリアンヌは前世でよく耳にした台詞がキラルの口から出たことに驚いた。


「転送文箱を持ち合っているのだからすでに私たちは友達以上ではないのか?」


ユーリはロザリアンヌに聞いてくる。


「えっとぉ、そうなります。よね?」


「何故疑問形なのだ!?」


実際どうしてそうなったかロザリアンヌはもうすでにまったく覚えていなかった。

ただ転送文箱を錬成した嬉しさからそうなったような気がしないでもないと思っていた。


「あっ、大分列が空いてきました。私たちもアンナにお祝いの挨拶に行きましょうか」


ロザリアンヌはおもいっきり話を逸らし挨拶の為の行列に並んだ。

そしてアンナとマークスにしっかりとお祝いの言葉を継げ、逃げるように披露パーティーを後にしてユーリと別れた。



作者「この先ロザリアンヌとユーリの関係に進展がるのでしょうか?」

キラル「どうなんだろうねぇ」

レヴィアス「あるとしたらそうとう時間がかかるな」

テンダー「なになに、なんの話?」

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