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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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「ロザリーはもう少し人の感情を察知する事を学ぶべきだよ」


部屋に入るとすぐにキラルが叱るような口調で話し出した。


「何よそれ。ちゃんと分かってるつもりだよ」


感情は目に出ると前世で教えてくれた人がいた。だからちゃんと相手の目を見て話をしろとよく言われたのを覚えている。だから他人の感情くらい読み取れると自分では思っていた。


「言葉だけをそのまま受け取ると誤解が生じることもあるし、上手く説明できない人もいるだろう。だから言葉面ではなく何が言いたいのかをちゃんと考えるべきだよ」


「だから分かってるってば」


ロザリアンヌは自分でもちゃんと理解できている筈のことをわざわざ言い出したキラルにイライラした。


「いいや、全然分かってないね。分かってたらあの場で席を立つような事はしなかった筈だよ」


「どうしてそうなるのよ!」


きっぱりはっきりと言い切られロザリアンは思わず声を荒げてしまう。


「あの場で悪意を持って話をしている人は誰もいなかったよ。それにアンナが協力しているんだからそこに何かの思いがあるって理解できるだろう。もう少し冷静に話を聞いて対処しても良かったよね」


アンナが協力していると聞いてロザリアンヌは驚いた。だけど、そう言われてみれば納得がいくことが色々とあった。そして少なからずショックを受ける。


「っ、・・・・・・」


「ロザリーは感情的になりすぎるきらいがある。感情で動いて僕やレヴィアスがフォローできる場合はいいけど、もし今回のお茶会が悪意を持ったものだったなら後悔だけじゃ済まされなかったって分かってるんだよね?」


それは分かっていた。分かっていたから不安でもあったし反省してもいた。

キラルの言うことが正論すぎてロザリアンヌは何も言えなくなってしまう。しかしこれだけは聞かなくてはならなかった。


「じゃあキラルはお菓子目当てで残ったんじゃないって事?」


キラルは一瞬呆れ顔で溜息を吐くとまるで可哀想な者でも見るようにロザリアンヌを見た。


「僕のことをそんな風に見てたなんてがっかりだよ」


「だって・・・」


あんなに嬉しそうに目を輝かせてたら誰でもそう思うと思うよとは口に出せなかった。キラルの目に怒りが滲んでいるような気がしたからだ。


「少なくともロザリーにそう思われるような行動を取っていた僕が反省すべきだった。ごめん、前言撤回するよ」


キラルはがっかりだ発言を撤回したようで、すっかりといつもの朗らかなキラルに戻っていた。


「謝るのは私の方よ。私がいつまでもキラルを子供扱いしてたんだと思う。ごめんなさい」


封印が解け光の精霊としての記憶を取り戻し、中身は大人になっていることをすぐに忘れてしまう事を反省した。


「思い出してくれたならもういいよ。そんな事よりあのお茶会の本当の趣旨を知りたくない?」


そんな事じゃないよと反論しキラルの話をもっとしたかったのに、お茶会の本当の趣旨と聞いてすっかりとロザリアンヌはそっちに気持ちが傾いた。


「知りたい!」


「ユーリがロザリーに特別な感情を持っているのは知ってるでしょう。彼とロザリーの関係を進展させる為には旅に同行させるのがいいって考えたみたいだよ。あの場にいたみんなは少なくともそれを望んでいるんだね。もっとも他にもロザリーの情報を得やすいって考えもあったみたいだけどさ」


(特別な感情って・・・。そういえば告白された事があったけどちゃんと断った筈なのに・・・)


ロザリアンヌはキラルの言葉に困惑していた。

最近は文のやりとりで以前ユーリに抱いていた感情とは違うものを持ち始めていたが、それが特別な感情かと聞かれると違うとはっきりと答えられる気がする。

それなのにお節介にも周りにお膳立てされるのは絶対に面白くないと思ってしまう。


「そんなの迷惑よ。アンナも幸せボケしてそんな企みに乗るなんてまったく・・・」


「ロザリーならそう言うと思った。少なくともこちらにも何かしらの利がなければ聞けない話だよね。それにしてもユーリって面白いよね。自分を売り込むのにあの態度はさすがに無いと僕でも分かるのに変わってるよね」


ゲーム内のユーリは魔法以外に知識が薄く世間知らずで、少しズレた独りよがりな行動が多かったのは確かだ。

でも少なからず付き合ってみて気づいたが、そこに悪意は無くただ不器用なだけだったりする。

だからたとえキラルでもユーリを悪く言うのを聞いてロザリアンヌは少しだけ反論したくなってしまう。


「彼は魔法以外には不器用なお坊ちゃまなのよ。だからあまり悪く言わないで」


「ふ~ん」


「何よ?」


「そんな風に思えるなら旅の同行を許してもいいんじゃないの?」


「キラルは賛成なの?」


「僕の意見は関係ないだろう?」


試すようでもあり突き放しているようでもあり、ロザリアンヌはキラルが本当は何を考え何を言いたいのかがはかりきれずにいた。


「私はキラルとレヴィアスが居てくれればそれで十分よ」


ロザリアンヌの心からの発言にキラルは驚いたように目を剥いた。しかしすぐに表情を戻すとおどけるように聞いてくる。


「じゃあテンダーは?」


「・・・おまけ?」


「ふふ、ハハハハハハハ」


ロザリアンヌのおまけ発言が余程ツボったのかキラルの突然の大笑いに、ロザリアンヌのすっかり堅くなっていた心が解れていくようだった。



担当さんとの話し合いの結果更新時間を深夜の1時から昼の12時に変更しました。

深夜の更新をお楽しみいただいていた方にはご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。

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