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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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ソフィアの激励のお陰で毒の扱いにはかなり慣れたロザリアンヌだった。

一応いくつかのポーションを作ってみたが、ソフィアの言うとおりその効能効果を確かめるすべがなく、エリクシルやエリクサー同様マジックポーチの肥やしとなり少しモヤモヤしたものを抱える事になった。


「こんな調子でいったい何を得られると言うんだろう?」


毒成分も利用したポーション作りに費やした時間が勿体なかったかもしれないと少し後悔し始めていた。


「何を一人でブツブツと呟いている」


「レヴィアス! もう用事は済んだの?」


突然のレヴィアスの登場に驚かされたが、それよりもどこか安心するロザリアンヌだった。


「ああ、かの大陸の情勢も大分落ち着いた。商会の方も上手くいっている。詳しい報告は必要か?」


「多分聞いても分からないからいいよ。それより少しはゆっくりできるんだね?」


「ジュリオ達も戻ってきている。少し打ち合わせが必要な事もあるが急ぐことはないな」


ロザリアンヌはジュリオ達が戻ってきていると聞いてユーリの事を思い浮かべていた。


「使節団は全員戻ってきてるんだよね?」


あれからかなり頻繁に文のやりとりはしていたのに、メイアンに戻るとは聞いていなかった事を少しだけ寂しく感じていた。


「そうだと思うが気になるなら確認してみるか?」


レヴィアスにはロザリアンヌが何を考えているのか分かったらしく探りを入れてくる。


「ううん、必要ないよ」


ロザリアンヌには別にどうしても知りたいほどの情報でもなかった。

それにユーリもロザリアンヌにとって必要だと思うならきっと知らせていただろう。


「そうか。それより何を悩んでいた?」


「ああ、毒を使った新しいポーションを作ったんだけど、その効果を確かめようがないからどうしようかなって・・・」


「それならば植物で試してみればいい。植物が枯れるほどに有害なら人間にも害があるという事だろう」


レヴィアスに言われロザリアンヌは素直に納得していた。

確かに毒に強い植物もあるがそんなのは希で、大抵の草花は飼料の与えすぎ水のやり過ぎでも簡単に枯れてしまう。


人間にとって害になるかの判断がちゃんとできるかは分からないまでも、少なくとも植物を簡単に枯らすほどに有害なら人間にもそう簡単には使えないだろう事は分かる。

始めは植物で試し、大丈夫そうなら魚や動物で試してみればもっと確かになるだろう。


「そうだね。何もせずに悩んでるならまずは試してみるか」


ロザリアンヌは家の外に出て、綺麗な花を咲かせているプランターにポーションを挿し水やりをした。なんとなく前世でもよく使っていた植物活力アンプルの要領で使ってみたのだが・・・。


すっかりと成長し花を咲かせていたいわば成長しきって枯れゆくはずの植物が、なんと驚いた事に新しい葉を出し茎も太くなりそこからまた成長を始めた。

それもまるで早送り再生をしているかのようなスピードでみるみるうちに大きくなっていく。


「驚いたな・・・」


一緒に成り行きを見守っていたレヴィアスも言葉に詰まる。


「えっと、どうしようこれ?」


毒の効果や効能が強く、枯れるものだとばかり思っていたロザリアンヌは、想定外の出来事にただただ驚くばかりだった。


「植物成長促進剤としては優秀すぎる。だがこれがどの程度の範囲で有効かまた農作物などにも有効かも知りたいところだな。調整は可能か?」


レヴィアスは植物の成長していく様を見て別の可能性を模索しているようだった。

しかし調整は可能かと聞かれてもロザリアンヌには咄嗟に判断はできなかった。


何しろ植物の成長を促進する目的で作ったものではなく、テンダーから聞いた効能からある特定の病気の治療のつもりで作ったものだ。

人体の為に毒性の調整だけを考えていたロザリアンヌには、何をどう調整すればいいのかまるで思いつきもしなかった。


「薄めてみる?」


そんな話をしている間も目の前の植物はどんどんと大きくなり、すでにプランターには収まりきらなくなっている。


(このままじゃジャックと豆の木だな)


誰かに見られ騒がれるのも面倒だと考えロザリアンヌは咄嗟に土ごと燃やした。

勿論火事にならないように十分に気をつけて念のために結界を張る。


「ところで一つ聞いてもいいか?」


すっかりと燃えて灰になった植物と土を手に取り何かを確かめるようにしていたレヴィアスが聞いてくる。


「何?」


「いったいどんな効果を持つポーションを作ったんだ?」


「・・・育毛剤というか、増毛剤、かな?」


「なんだその自信のない曖昧な返事は」


「う~ん、薄毛で悩んでいる人も実際多いでしょう。でもそればかりはポーションで直そうと考える人はそういないかなって。だからピンポイントの効能を付けるにはちょうどいいかと思って」


実際にこの世界では薄毛に悩む人はいても病気とは考えないから直そうと思う人もいない。まぁ、あからさまに気にしている人もいないのだが。

でももし薄毛に効果があると分かれば、絶対に喜んでくれる人はいるだろうとロザリアンヌは確信していた。


「確かに薄毛にも効果はありそうだがこのままでは使えないな」


目の前でさっき実際に見た植物の成長のごとく頭髪が生え育ったならば、もはやそれはホラーでしかないだろう。嬉しいと言うより厄介でしかなくなる。

ロザリアンヌはレヴィアスの的確なツッコミに何も言えなかった。



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