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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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「認識阻害を装備品に能力付与するのはいいが何にどう付与するかが問題だよなぁ・・・」


テンダーに認識阻害機能を持つ装備品を錬成したいと考えていたが、なかなか名案が思いつかずにいた。

結界のように攻撃を受けるに対して自動発動させる訳にも行かないし、常時発動されるのも問題がありそうだ。


ロザリアンヌがしばらく錬成作業に集中したいと話したら、キラルがテンダーの面倒を見ると張り切って申し出てくれた。

キラルはテンダーにメイアンの街を案内しながら食べ歩く気満々だったらしいが、肝心のテンダーはリリとダリがソフィアから教わる錬金術に興味津々だった。


そしてリリとダリもとてもテンダーを気に入り「じゃあテンダーも師匠の弟子になりなよ」「そうそうテンダーも私たちと一緒にやろう」とすっかり懐き、片時も離れようとしなくなった。


テンダーもエルフの若者達の指導をしていた事もあってかリリとダリの扱いには慣れたもので、そう嫌でもなかったらしく一緒にダンジョンに行ったり錬金術の練習をしたりしている。


なので結局キラルはロザリアンヌの錬成の助手をしたり店が忙しいと手伝ったり、時折ウィルの所へ遊びに行ったりと暇を持て余しながら忙しくしていた。


そしてロザリアンヌはテンダーの装備の事を考えながら、今は新しく手に入れた素材でどんなポーションが作れるかを試行錯誤していた。


「毒も少量なら薬になる事もあるんだって。要するに使用方法と量が問題らしいんだ」


ロザリアンヌはテンダーから教わった知識をソフィアに得意げに披露した。


「作ったとして簡単に試せないところが難しいんだ。それにたとえ成功してもそのレシピを誰かに教え、万が一謝った処方をされ事故でも起こされては問題になりかねない。だから薬師も錬金術師も毒を扱うレシピは慎重に考え絶対に秘匿する。第一に苦労して作り上げたレシピは誰だってそうするだろう?」


「師匠もですか?」


「当然さ」


自慢気だったロザリアンヌはソフィアがすでに毒の知識を持ち、毒を使ったレシピを秘匿していると聞いて唖然とした。


考えてみたらロザリアンヌはほとんど基本のレシピでしかポーションを作っていない。

その後は回復魔法の練習がてら回復魔法の効能を付与したポーションばかりを作り、今では光の精霊の奇跡といわれた効果を持つエリクシルとエリクサーも実はかなりの数を作り持っていた。


身体欠損の完全復活とか万能薬並みに難病の完治までできてしまうポーションをそう簡単に世には出せないと思いながらも、つい回復魔法の練習のついでと言い訳をして作ってしまっていた。


作り上げるのに大量の魔力を必要とし時間もかかるのは確かだったが、魔導艇での移動中はそれほどまでに退屈で時間も魔力も有り余っていたのだ。


そうして今までポーションの作成でたいした苦労をした事もなかったロザリアンヌは、そのレシピを秘匿するなど思ってもいなかった。

というかロザリアンヌと同じ方法で作れる人が他にいるとも思えなかったから、ポーションの作り方を誰かに教えるなんて考えてもいなかった。


「じゃぁテンダーが簡単に教えてくれたのは奇跡みたいなものだね」


「テンダーが教えたのは別に何かのレシピって訳じゃないだろう。薬やポーションに毒も使えるって知識だけだ。それをどう生かすかが肝心なんだろうが」


「でもこの毒がどんな病気に効くかとか結構簡単に教えてくれたよ」


「ロザリーが今まで作ったポーションはそんな病気も良くしているというのに今さら何を言ってるんだい? これから薬師や治療師にでも転向する気かい」


ソフィアはロザリアンヌが回復魔法を付与して作ったポーションの事を言っていた。


体力を回復するポーションだけでなく、解毒作用のあるポーションに怪我を治すポーションの他に病気治癒効果のあるポーションなど、初級中級上級と回復魔法を駆使して作ったポーションはその効能も効果も確かなものだった。


勿論アンナのお母さんのように万能薬やエリクサーでなければ完治の難しい病気もあるが、薬としての効果があるのはその目で見て知っている。


考えてみれば聖女が使う回復魔法を付与したポーションなのだから当然なのだ。

ロザリアンヌは魔法の練習ついで程度にしか思っていなかったので、今までそんなたいそうなものを作っている実感もなかった。


「そっかぁ・・・」


今さら特定の病気に効くポーションを作ったとしてもそれに何の意味があると言われロザリアンヌはかなり戸惑っていた。

完治が目指せるのなら開発しても意味があるのだろうが、そうでないのだとしたら今まで通り回復魔法を付与したポーションで十分だと言われればまったくその通りだった。


「まあ、でも・・・。毒の扱いに慣れておくのも勉強だ。そこからまた新しい何かが閃く事もあるだろうさ。折角だからやってみな」


半ばしょげかえっていたロザリアンヌはソフィアに激励された事を感じ途端にテンションを上げた。


「頑張ってみます!」


きっと無駄な事なんてない。結果も大事だけれど、それよりも課程で何を得るかだろう。ロザリアンヌは自分にそう言い聞かせポーション開発に精を出したのだった。



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